1. X6x用バッテリー比較
12時の位置から時計回りに、拡張ライフバッテリー、標準の4セル拡張容量バッテリー、8セル大容量バッテリー、4セルスリムラインバッテリー。
この拡張ライフバッテリー、表面積はやたらでかいものの、持ってみると予想を裏切る軽さ。ずっしりした大容量バッテリーと比べると歴然たる差で、中は空いているのが分かる。
それぞれのバッテリー詳細情報は以下のとおり(スリムラインバッテリーは4本あったうちの一番新しいもの)。
4セルスリムラインバッテリー | 4セル拡張容量バッテリー |
8セル大容量バッテリー | 拡張ライフバッテリー |
スペックをまとめると以下のようになる。
セル | FRU | 重量 (g) | 定格 容量 (Wh) | 比率 (注2) | 持続 時間 (注3) | 満充電 容量 (Wh) | サイクル カウント | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
4セル スリムライン バッテリー | 角形×4 | 42T4629 | 189 | 28.80 | 0.77 | 1.6 | 23.29 | 55 |
4セル 拡張容量 バッテリー | シリンド リカル×4 | 42T4570 | 240 (注1) | 37.44 | 1.00 | 2.1 | 37.44 | 23 |
8セル 大容量 バッテリー | シリンド リカル×8 | 42T4632 | 450 (注1) | 74.88 | 2.00 | 4.2 | 75.96 | 8 |
拡張ライフ バッテリー | 不明 (角形×4?) | 40Y7904 | 365 | 28.08 | 0.75 | 1.6 | 28.08 | 1 |
(注1)スペーサーを含む。
(注2)拡張容量バッテリーの定格容量を1とした場合の比率。
(注3)大容量バッテリーの持続時間を4.2とし、定格容量の比率から計算したもの。
- バッテリ持続時間は使い方によって大きく変わるが、このX61s(CPU: Core2Duo L7700 1.8GHz、メモリ: 4GB、Windows 7 64bit)では、自分の使い方では大容量バッテリーで4時間強といったところ。
省電力マネージャーの計算ではこれぐらい。ただし、これはふらふら変わるので、たいして当てにはならない。
これでLenovoのバッテリー時間対応表の半分ぐらいになる。
- このスリムラインバッテリーはあまり優しい使い方をしてなかったので、サイクルカウントの割に満充電容量の落ちが大きい。
- 大容量バッテリーの定格容量は拡張容量バッテリーの丁度倍で、セル数を反映している。
- この拡張ライフバッテリーは、新品だが、製造日は一番古い。つまり蔵出し品で、そんなに生産されなかったらしい。定格容量はスリムラインバッテリーよりやや小さい程度なので、たぶん同じ角形セル×4の構成で、セル自体の型が少し古いのではないかと思う。
それはともかく、大容量バッテリー+拡張ライフバッテリーというX6xのバッテリー最強構成でも持続時間は6時間ぐらいなので、一日の日中をずっとバッテリ駆動させるのは無理で、やはりスポット的にバッテリ駆動を組み込んだピークシフトプランにせざるを得ないと分かった。
2. 拡張ライフバッテリーを追加すると
拡張ライフバッテリーは、省電力マネージャーに出るとおりセカンドバッテリーという扱いになり、これに対して普通に本体の後ろに付くバッテリーはメインバッテリーとなる。これらの違いは、放電と充電の両面でメインバッテリーが優先されるということにある。
まず放電のときは、セカンドバッテリーの方から使われ、その後にメインバッテリーが使われる。これにより、使い終わったセカンドバッテリーを取り外して軽くすることができる。つまり、航空機のドロップタンクと機内燃料タンクの関係と同じ。
最初はメインバッテリー(これは大容量バッテリー)は使われず、 | セカンドバッテリー(拡張ライフバッテリー)の方から使われ始める。 |
次に充電のときは、メインバッテリーの方から充電され、それが終わってからセカンドバッテリーが充電される。
最初にメインバッテリーの充電が始まるが、 | セカンドバッテリーの方は放置。 |
メインバッテリーが満充電になってから、 | セカンドバッテリーの充電が始まる。 |
ということで、拡張ライフバッテリーを付けたときに充電が同時に行われると消費電力がどうなるのか気になっていたが、充電は(放電も)片方ずつ行われるので、そういう問題は起こらない。
3. ワットモニターでチェック
サンワサプライのワットモニターを使ってX61sの消費電力を確認してみた。
[参考]
家電Watch: 家電製品ミニレビュー: サンワサプライ「ワットモニター」~いますぐにできる、数十ワットの“節電募金”
家電Watch: 家電製品ミニレビュー: サンワサプライ「ワットモニター」~いますぐにできる、数十ワットの“節電募金”
しばらく計測していて気づいたのは、バッテリ充電中は、その空き容量によってバッテリに流れる電流(A)が変わり、それに伴って消費電力(W)も変わること。また、バッテリによる差も結構ある。
消費電力(W) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
充電して いない | 充電中 バッテリ空き容量(注1) | |||||
50% | 20% | 10% | 5% | |||
AC駆動中 (LCDオン) (注2) | 4セル拡張容量バッテリー | 17~21 | 53 | 41 | 25 | 23 |
8セル大容量バッテリー | 60 | 48 | 34 | 25 | ||
拡張ライフバッテリー | 49 | 39 | 30 | 25 | ||
AC駆動中(LCDオフ、外部ディスプレイ使用) | 15~18 | |||||
ピークシフト機能によるバッテリ駆動中 | 0.4 | |||||
電源オフ (待機中) | WOLオフ | 0.7 | ||||
WOLオン | 1.1 |
(注1)小刻みに変動するので、大体これぐらいを中心に動くという数字。
(注2)ディスプレイ・ブライトネスを15段階中の6に設定。
- 通常のAC駆動中は低消費電力のノートPCでも、バッテリ充電中は消費電力が跳ね上がる。
- 充電中は、放電したてで空き容量が大きいと消費電力も大きく、充電が進んで空き容量が小さくなるにつれ消費電力も小さくなっていく(充電速度も遅くなって……)。
- 容量の大きいバッテリーほど、充電中の消費電力も大きい。大容量バッテリーのときなどはACアダプターの容量(65W)の上限に近い。
- ピークシフト機能によるバッテリ駆動中にも、わずかながら電力の消費はある。
- LCDのオン/オフによる差はそれほど大きくない。
- 待機中はWOLオンの方が消費電力が高い。これは理解できる。
さらに、大容量バッテリー+拡張ライフバッテリーの最強構成の場合は、大容量バッテリーの充電終了後に拡張ライフバッテリーの充電が行われるので、充電の山が2回来ることになる。
いずれも一見して分かるとおり、ピークシフト実行中に通常のAC駆動分を節電する代償として、バッテリ充電時にはその倍以上の電力を消費するわけで、充電を始めるタイミングはよく考える必要がある。
ついでに、手近な機器も計測してみた。
消費電力(W) | ||
---|---|---|
LCDディスプレイ (Eizo S2110W) | ブライトネス5% | 40 |
ブライトネス50% | 59 | |
ブライトネス100% | 66 | |
未入力時 | 1.3 | |
電源オフ(待機中) | 0.6 | |
PCスピーカー(Bose MediaMate II) | 4.5~5 | |
ReadyNAS Ultra 2 (5K500.B-500×2) | アイドル時 | 19~20 |
使用時 | 20~22 | |
スピンダウン時 | 17.8 | |
電源オフ(待機中、WOLオン) | 1 | |
電源オフ(待機中、WOLオフ) | 2.8 | |
ReadyNAS Duo (5400.5-320×2) | アイドル時 | 12~13 |
使用時 | 13~15 | |
スピンダウン時 | 10.6 | |
電源オフ(待機中) | 0.4 | |
プリンター (Canon MP630) | アイドル時 | 5 |
電源オフ(待機中) | 0.4 | |
ハブ(Buffalo LSW-GT-5W) | 6.5 | |
ADSLルーター(Aterm WD701CV) | 5.8 |
- LCDディスプレイの消費電力が馬鹿にならない。X61sに接続して使ってきたが、本体の倍も消費していたとは……。
- BoseのPCスピーカーには電源スイッチがなく、少し気になっていたが、入力がなくても音量に関係なく消費していると分かった。よって、途中に電源スイッチを挟むことにした。
- ReadyNAS Ultra 2は、ノートPC並みに消費することが分かった。Atom機だからか。待機中はなぜかWOLオフの方が数字は高い。普通は逆だと思うが、変なことを見つけてしまった。
- ReadyNAS Duoは、さすがというべきなのか、Ultra 2より低消費電力。
- ハブも新しい省電力のものに換えたいところ。数字はたいしたことないが、常時通電しているものだけに。
- ADSLルーターも数字は低くないが、レンタル品だし、これを切るわけにもいかず。
4. 拡張ライフバッテリーを見る
拡張ライフバッテリーについてはそんなに情報が出てないので、少しだけ紹介。
大容量バッテリーと一緒にX6x本体に付けたときと同じ状態に重ねてみると、こんな位置関係になる。
本体との接続にはウルトラベースなどとのドッキング用コネクタを使用するが、他のバッテリーと同じ端子も付いている。たぶんバッテリーチャージャー用。
スリムラインバッテリーと一緒にX61sに付けたところ。隙間が空いて見えるが、中で足が突いているのか、とくにがたつきはない。
以下、大容量バッテリーと一緒に付けた状態。
裏側から見るとかなりぼてっとした感じになるが、表側から見ると意外とすっきりまとまる。日常的に付けていても違和感はなさそう。