1. デザイン的なこと
デザイナーのSam Hechtのインタビューで、その意図が語られている。このデザイナーのサイト(Industrial Facility)にもこのHDDの紹介がある(ProjectsのElectronicsの項)。±0のデザイナー家電にあるようなミニマルデザインだが、それが徹底している。カバーを嵌めた状態では寂しく見えるぐらいに。
ちなみに、自分はミニマルデザインだから良いというより、変なディティールが付いているのが気に入らないので、それに対する消極的選択という面が強い。全く方向性は違うが、SeagateのFreeAgent Goは格好いいと思う。Western DigitalのMy Passportは特に文句はないので、他に選択肢がなければ選ぶと思う。FreecomのToughDriveは微妙だが、面白さで選ぶことはあるかもしれない。日本メーカーでは、BuffaloのHD-PEU2は頑張っていると思うが、Rの付け方があまり好みではない。I-O DataのHDPN-UはこのデザインならUSBケーブルを中に収めてほしいと思う。
ともあれ、LaCie Little Diskの500GBモデルを購入したが、期待通りの部分もあれば、期待外れの部分もある。
特別な形は何もなく、透明感のある光沢の黒(ピアノブラック)の外装には全て同じRが付けられている。コネクタ部のカバーを外した内装は、一転して梨地でエッジが立てられている。合わせ目があるのは外装と内装の境目だけで、後は一体の作り。
USBコネクタは、一杯に引き出した状態で先端まで89mm。USBコネクタとケーブルは一体成形のようで、硬めの素材なので、ケーブルはあまり曲がらない。それを中にどう収めているかといえば、
ケーブルの根本ごと中でスライドする構造になっており、一杯に引き出した状態(左)ではケーブルの根本が見えているが、少し戻した状態(右)では見えない。この部分の奥行きは114mmなので、内蔵HDDの横一杯をこのスライド機構が占めていることになる。
アクセスランプも外装と内装の境目の溝にあるので、通電しないと存在が分からない。
ここまではデザイナーの狙い通りなのだろうし、自分の期待通りでもあるが、期待外れなのは実際に手に持ったときの素材感。
一言でいえば、プラスチッキー。光沢から来る硬質感に反して、あるいはアルミ押し出し材に光沢塗装したHDDケースと比べて、柔な感触があり、細かい傷も付きやすい。また、光沢があるからこそ分かるが、成形部分の角や端に微妙に平面が出てない部分がある。この辺はデザイナーの意図に製造能力が追いついてないようで、残念さを感じる。
さらに、カバーを嵌めるときの感触が今一つ。少しずれたりして、すっと入ってパチンと留まるような小気味よさに欠ける。デザイン的に、ガイドとなる突起を付けたりできなかったのかもしれない。
外装の傷防止程度のポーチが付属する。
2. 性能的なこと
この個体の内蔵HDDはSeagateのMomentus 5400.6の500GBモデル(ST9500325AS)。以下はCrystalDiskInfoによる表示。
変換チップは、ログのDisk Listを見るとJMicronのようで(CrystalDiskInfo 2.5.0 裏リリースノート)。
(2) ST9500325AS : 500.1 GB [1-X-X, jm1] (VID=059Fh, PID=1005h)
速度的には、CrystalDiskMarkで確認するとUSB接続としては並。シーケンシャルではHDDの素の性能の半分以下だと思うが、そこはそれ。
耐衝撃性については、別に期待はしてないが、外装からHDDまでは意外と余裕がある。光沢のせいでサイズ感がつかみにくいが、MomentusつながりのST9160310ASを重ねてみたところ。
厚さは18mmある。これに対して、よくあるアルミ押し出し材そのままのHDDケースであるScytheのESATA-KMZ2.5では13mmなので、これに入れるよりかはHDDは壊れにくいだろうと思う。無論、もし落としてしまえば外装のプラスチックにダメージが入るのは避けられないが。