2009/04/22

LaCieのデザイナーHDD

USB接続のポータブルHDDに「LaCie Little Disk, Design by Sam Hecht」というものがある。このジャンルのHDDには耐衝撃性を売りにする一方、デザイン的には微妙なものが多いが、これはデザイン側に完全に振ったデザイナーHDDである。

1. デザイン的なこと


デザイナーのSam Hechtのインタビューで、その意図が語られている。このデザイナーのサイト(Industrial Facility)にもこのHDDの紹介がある(ProjectsのElectronicsの項)。±0のデザイナー家電にあるようなミニマルデザインだが、それが徹底している。カバーを嵌めた状態では寂しく見えるぐらいに。

ちなみに、自分はミニマルデザインだから良いというより、変なディティールが付いているのが気に入らないので、それに対する消極的選択という面が強い。全く方向性は違うが、SeagateのFreeAgent Goは格好いいと思う。Western DigitalのMy Passportは特に文句はないので、他に選択肢がなければ選ぶと思う。FreecomのToughDriveは微妙だが、面白さで選ぶことはあるかもしれない。日本メーカーでは、BuffaloのHD-PEU2は頑張っていると思うが、Rの付け方があまり好みではない。I-O DataのHDPN-UはこのデザインならUSBケーブルを中に収めてほしいと思う。

ともあれ、LaCie Little Diskの500GBモデルを購入したが、期待通りの部分もあれば、期待外れの部分もある。
LaCie Little Disk 500GBLaCie Little Disk 500GBLaCie Little Disk 500GB

特別な形は何もなく、透明感のある光沢の黒(ピアノブラック)の外装には全て同じRが付けられている。コネクタ部のカバーを外した内装は、一転して梨地でエッジが立てられている。合わせ目があるのは外装と内装の境目だけで、後は一体の作り。
LaCie Little Disk 500GB

USBコネクタは、一杯に引き出した状態で先端まで89mm。USBコネクタとケーブルは一体成形のようで、硬めの素材なので、ケーブルはあまり曲がらない。それを中にどう収めているかといえば、
LaCie Little Disk 500GBLaCie Little Disk 500GB

ケーブルの根本ごと中でスライドする構造になっており、一杯に引き出した状態(左)ではケーブルの根本が見えているが、少し戻した状態(右)では見えない。この部分の奥行きは114mmなので、内蔵HDDの横一杯をこのスライド機構が占めていることになる。

アクセスランプも外装と内装の境目の溝にあるので、通電しないと存在が分からない。
LaCie Little Disk 500GB

ここまではデザイナーの狙い通りなのだろうし、自分の期待通りでもあるが、期待外れなのは実際に手に持ったときの素材感。

一言でいえば、プラスチッキー。光沢から来る硬質感に反して、あるいはアルミ押し出し材に光沢塗装したHDDケースと比べて、柔な感触があり、細かい傷も付きやすい。また、光沢があるからこそ分かるが、成形部分の角や端に微妙に平面が出てない部分がある。この辺はデザイナーの意図に製造能力が追いついてないようで、残念さを感じる。

さらに、カバーを嵌めるときの感触が今一つ。少しずれたりして、すっと入ってパチンと留まるような小気味よさに欠ける。デザイン的に、ガイドとなる突起を付けたりできなかったのかもしれない。

外装の傷防止程度のポーチが付属する。
LaCie Little Disk 500GB

2. 性能的なこと


この個体の内蔵HDDはSeagateのMomentus 5400.6の500GBモデル(ST9500325AS)。以下はCrystalDiskInfoによる表示。

変換チップは、ログのDisk Listを見るとJMicronのようで(CrystalDiskInfo 2.5.0 裏リリースノート)。
(2) ST9500325AS : 500.1 GB [1-X-X, jm1] (VID=059Fh, PID=1005h)

速度的には、CrystalDiskMarkで確認するとUSB接続としては並。シーケンシャルではHDDの素の性能の半分以下だと思うが、そこはそれ。

耐衝撃性については、別に期待はしてないが、外装からHDDまでは意外と余裕がある。光沢のせいでサイズ感がつかみにくいが、MomentusつながりのST9160310ASを重ねてみたところ。
LaCie Little Disk 500GB

厚さは18mmある。これに対して、よくあるアルミ押し出し材そのままのHDDケースであるScytheのESATA-KMZ2.5では13mmなので、これに入れるよりかはHDDは壊れにくいだろうと思う。無論、もし落としてしまえば外装のプラスチックにダメージが入るのは避けられないが。

2009/04/21

X25-Mのファームウェア

手許のX25-Mは、かなりの回数のベンチマーク、リカバリーを含めて半年ぐらい使ってきたが、CrystalDiskMarkで見る限り速度の低下は起きていない(当初最近の例)。それはそれとして、ファームウェアをアップデートしてみた。


アップデート自体は、ThinkPad X60s本体に入れ、SATA設定を「AHCI」にした状態で、ウルトラベースX6からCD-Rで起動し、簡単に終了。

1. Writeの変化


HD Tune Pro 3.50で見ると、シーケンシャルでは、Readは一直線でとくに変化がないが、Writeの方は波形がかなり変わった。ただし、当初の状態での記録はないので、これが当初に戻ったのか、単に変わったのかは不明。

アップデート前。全体を通じて激しく上下動している。

アップデート後。上下動が安定した代わりに、一定間隔で大きく下がる。下がる位置は試行で変わるので、何かの処理が一定時間ごとに入る感じ。

ランダムでは、Readはこれもとくに変化はないが、Writeの方は転送サイズが大きいときに少し速くなった。試行によるバラツキが大きいが、以下は代表的な例。

アップデート前。

アップデート後。64KB、1MBでのIOPSの向上、access timeの短縮、speedの向上が見られる。

これらはPC Watchの記事での結果に近い。

2. S.M.A.R.T.の項目


CrystalDiskInfoで見ると、S.M.A.R.T.の項目が増えている。

E1からE4が増えているが、これらはHDD特有のような気が(IDの意味自体が違うのかも)。PC Perspectiveの記事が注目している05の「Reallocated Sectors Count」も意味のある値ではないような。

なお、使用時間はいつの間にか49から増えなくなったので(実際ははるかに長い)、正しくない。

[追記]

このS.M.A.R.T.のE9(Vender Specific)の値が寿命に関係しているという説が出ている(CrystalDiskInfo 2.5.3のひとこと)。
  • Intelは寿命に関係する値を記録しているはずである。
  • E8とE9は何のためのものか不明。
  • E9は99となっている個体が多いが、使用時間の長い個体でこの値が低いものがある。
ということからの推測とのこと。手許の個体の97は、そういう意味で少し低いが、残念ながら当初の値の記録がないので、使用時間を経るにつれ下がったものかは分からない。ただ、主に使っているわけではないので、世にあるX25-Mの中での使い込み度は低い方ではないかと思うが。いずれにせよ、注意していこうと思う。

(この点については新しいエントリでまとめた。)