セッション中でも触れられていたWPFの関連APIの説明も参考になります。Microsoftからの説明があまりないので、こういう実際の動作まで調べたものは有り難いです。
WPFに関しては、モニターのカラープロファイルを取得する部分を除けば標準APIの枠内で対応でき、さほどハードルは高くないので(Windowsフォトビューアーのように同じ画像内で同時に違うカラープロファイルを適用するなどという変態的なことを目指さなければ)、画像の色を真面目に表示するアプリを作る場合は必見だと思います。
で、モニターのカラープロファイルについては、マルチモニター対応のためには各Windowが現在属しているモニターのものが必要になるので、これをWindowの添付プロパティで取得するものを書いてみました。
この添付プロパティを持つクラスはColorProfilePropertyですが、
- Freezableを継承しているのは、バインディングターゲットとなれるようにするため。DependencyObjectだとバインディングソースにしかなれないので、バインディングを張るときの自由度が落ちる。
- 添付プロパティの値を自分自身のインスタンスとしているのは、このクラス中の依存関係プロパティを複数、自由に参照できるようにするため。"AttachedProperty"という名前にとくに意味はない。
private string GetColorProfilePath(Visual sourceVisual) { var source = PresentationSource.FromVisual(sourceVisual) as HwndSource; if (source == null) return null; var monitorHandle = NativeMethod.MonitorFromWindow( source.Handle, NativeMethod.MONITOR_DEFAULTTO.MONITOR_DEFAULTTONEAREST); var monitorInfo = new NativeMethod.MONITORINFOEX { cbSize = (uint)Marshal.SizeOf(typeof(NativeMethod.MONITORINFOEX)) }; if (!NativeMethod.GetMonitorInfo(monitorHandle, ref monitorInfo)) return null; IntPtr deviceContext = IntPtr.Zero; try { deviceContext = NativeMethod.CreateDC( monitorInfo.szDevice, monitorInfo.szDevice, null, IntPtr.Zero); if (deviceContext == IntPtr.Zero) return null; // First, get the length of file path. var lpcbName = 0U; NativeMethod.GetICMProfile(deviceContext, ref lpcbName, null); // Second, get the file path using StringBuilder which has the same length. var sb = new StringBuilder((int)lpcbName); NativeMethod.GetICMProfile(deviceContext, ref lpcbName, sb); return sb.ToString(); } finally { if (deviceContext != IntPtr.Zero) NativeMethod.DeleteDC(deviceContext); } }この中でもコアなのはGetICMProfile関数を使う部分ですが、ファイルパスを格納するlpszFilename(第3引数)のサイズを決めるのに少しややこしいことをしていて、初めにこれにnullを入れて実行するとlpcbName(第2引数)にlpszFilenameのサイズが入ってくるので、これを使ってStringBuilderを用意し、lpszFilenameに入れて再度実行することで取得しています(@veigrさんのサンプルのとおり)。
2回実行するのはどうも……という場合は、lpcbNameを通常あり得るパスの最大長である260に決め打ちしても動きます。
var lpcbName = 260U; var sb = new StringBuilder((int)lpcbName); NativeMethod.GetICMProfile(deviceContext, ref lpcbName, sb);万一サイズが足りなかった場合を考えて戻り値を取って処理を重ねることもできます……細かい話ですが。
サンプルアプリを実行すると、カラープロファイルのファイルパスが表示されます。
モニター間をまたいでWindowを移動かリサイズするとファイルパスが変わり、画像がColorConvertedBitmapで再描画されます。ただ、この処理が結構重いので、滑らかに切り替わるというわけでもないです。まあ移動かリサイズを止めたタイミングで反映させるようにすれば、目立たないだろうと思いますが。
実はこれまでセカンダリモニターのカラープロファイルは適当で済ませてましたが、きちんと設定して試してみるとプライマリモニターとはっきり分かる違いがあるのを発見して、意外と馬鹿にならないです。