2008/09/30

ReadyNAS Duoを設定する

静音化に続いて、ReadyNAS Duoをセットアップするための設定について。

(このエントリは一続きのエントリの2/2)

2.1. ファームウェア・アップデート


ReadyNAS Duoには、大きな罠がある(既にさんざん指摘されているが)。ただし、これはベアボーンモデル(RND2000)限定かもしれない。

箱を開けると、一番に「インストールに関してお知らせ事項」という紙とTranscendのUSBメモリ(1GB)が目に入る。「これでファームウェアをアップデートしろ」というわけで、これ自体は決して良くはないが、特にどうということはない。むしろ、アップデート後にはUSBメモリがおまけに付くのと同じだから、ラッキーと思わないでもない。

ところが、この指示どおりに何回アップデートを試みても失敗する。問題は、一般的にファームウェア・アップデートの進行中に電源を切ると致命的なことになるので大人しく待つしかないが、この場合、アップデート開始に成功して進行中なのか、初めからアップデート開始に失敗しているのかも分からず、見分ける方法も説明がなく、その間ファンが高速回転で風切り音をまき散らし続けること(この状態は失敗している)。かつ、アップデートはHDDを挿した状態で行う必要があるので(これもウェブサイトのFAQを見て知るのだが)、もしかしてHDDの初期化に時間がかかっているのか(容量にもよるが2時間以上かかる)と思うと切るに切れない。

結論。初めからこのUSBメモリは捨てた方がよい。

代わりに、自分はTFTPを使う方法で(Version 4.1.4に)アップデートした。手順は一応以下のとおり(10月2日修正)。
  1. 英語版FAQのページから「TFTP Boot Recovery package」(TFTP_Flash_Recovery.zip)をダウンロードする。これには古いファームウェアも同梱されているが、下の2.で新しいファームウェアをダウンロードするので、使わない。(なお、古いバージョンの「TFTP Boot Recovery package」でもアップデート自体はできるが、下の6.で自動的に電源が切れず、アップデート完了が分かりにくい。)

  2. ReadyNAS Downloads」のページの「RAIDiator」のところから新しいファームウェアをダウンロードする。10月2日時点ではVersion 4.1.4(RAIDiator-4.1.4)。

  3. 上の1.でダウンロードしたファイルを展開する。tftpd32.exeの入ったフォルダができるが、この中の「RAIDiator3」と「RAIDiator4」は古いファームウェアなので削除する。代わりに上の2.でダウンロードしたファームウェアをこのフォルダにコピーし、「RAIDiator4」にリネームする。

  4. 後は、このフォルダ中のREADME.txtに従えばよいが、まずPCとReadyNASをLANケーブルで直結し、PCのLANアダプターのIPアドレスを192.168.125.1に、サブネットマスクを255.255.255.0に設定する。PCのファイアウォールは一時的に無効にしておく。

  5. このフォルダ中のtftpd32.exeを実行する。Tftp32が起動するので、「Settings」ボタンを押して、「TFTP configulation」の「Timeout (seconds)」を10に設定して「OK」ボタンで戻る。

  6. (電源が切れた状態の)ReadyNASの電源ボタンを長押しし、ディスク1と2のLEDが同時に2回点灯したところで指を離す。この後は自動的にReadyNASがPCのTftp32にアクセスし、最初に「kernel_conf」と「initrd_conf」を読み込み、次にファームウェアを読み込むのがTftp32で表示される。しばらくすると(5分程度)自動的にReadyNASの電源が切れる。

  7. 続けて初期化を行う(これをしないと新しいファームウェアが反映されない)。今度はReadyNAS後面のResetスイッチをピンで押しながら電源ボタンを長押しし、ディスク1と2のLEDが同時に1回点灯したところで指を離す。後はReadyNASが作業を完了するのを待つ。以上で終わり。
なお、一旦ReadyNASが正常に起動するようになれば、ファームウェアの更新はFrontviewの「システム」の「OSアップデート」から簡単にできる。

2.2. X-RAID


対応リストにはない2.5インチHDDのSeagateのST9320320ASだが、X-RAIDで普通に使えている。Frontviewの「ボリューム」で見ると以下のとおり。

「ステータス」で見ると以下のとおり。特に問題は見られない。ファンはキャリブレーション済みだが、常に1000RPMを少し超える程度。

さらに、同じく2.5インチHDDであるHGSTのHTS543232L9A300と東芝のMK3252GSXも試したところ、普通に認識される(10月4日追記)。「ボリューム」で見ると以下のとおり。

「ステータス」でも特に問題はない。

これらのプラッタ当たり最大160GBの世代では、動作音は、HGSTが最も小さく(シーク音も小さい)、Seagateがそれに次ぐ。東芝は音が小さくも大きくもない。

さて、ST9320320ASはPC(ThinkPad X60s)に直結した状態では、CrystalDiskMarkで計測すると、シーケンシャルで70MB/s前後が出る。

これがPCとReadyNASを直結した状態では、25MB/s前後になる。

さらにハブ(BuffaloのLSW-GT-5W)を介した状態でも、あまり変わらない。シーケンシャルとランダム(512KB)のWriteが上がっているが、これらの数字にあまり再現性はないので、特に意味はない。なお、PCの有線LANアダプタ(Intel PRO/1000 PL)の制限でJumbo Frameは使っていない。

2.3. Flex-RAID(RAID0)


ファームウェアのVersion 4.1.3からReadyNAS DuoでもFlex-RAIDが使えるようになっているので、RAID0を試してみた。切り替えには一旦初期化すること(ファームウェアまで元に戻るわけではない)が必要。

初期化を開始すると、起動時にRAIDarの「情報」に「設定ボタンをクリック」が出る。なお、初期化の開始はFrontviewの「システム」の「OSアップデート」からもできるが、再起動時にこの「設定ボタンをクリック」の出るタイミングを逃して「インストール中」に進んでしまうことがあるので、Resetスイッチを使ってハードウェア的に初期化を開始した方が余裕ができる。

「設定」ボタンを押すと、以下のダイアログボックスが出る。

それぞれの詳細を押すと説明のメッセージが出る。X-RAIDの場合。

Flex-RAIDの場合。

Flex-RAIDのRAIDレベルの選択リストを開くと、0、1、5の3種類が出る。このうち、RAID1ではX-RAIDと同じであり、HDD2台ではRAID5にはならないので、変えるとすればRAID0。

選択して「初期化の開始」ボタンを押すと、以下のメッセージが出る。なお、ここでRAID0を指定したはずなのにRAID1になってしまったことが複数回あったが、謎。

RAID0になった状態をFrontviewの「ボリューム」から見ると、ディスク容量がHDD2台分になっている。

「ステータス」で見ると以下のとおり。2番目のHDDが「故障」と表示されており、下のLEDアイコンの「ボリューム」のところも故障マークが出ているが、実際に故障しているわけではない。

この状態でPCと直結してCrystalDiskMarkで計測すると、X-RAIDの場合とあまり変わらないが、ランダム(4KB)のWriteの値だけが2倍になる。

特に見るべきものがないので、X-RAIDに戻した。

ReadyNAS Duoを静音化する

NAS的に使ってきたデスクトップPCを処分することにした。SSDが普及期に入り、高速なストレージのために3.5インチHDDにこだわる必要がなくなったので、デスクトップPCを維持する必要もなくなったことが大きい。

これに伴って手頃なNASを探した結果、NETGEARのReadyNAS Duoを導入。容量はそんなに必要ないが、冗長性は一応あった方がよく、HDDを簡単に交換できる、という条件に合う。コンパクトで、デザイン的にも黒一色の直方体ですっきりしていて良い。ファームウェアのアップデートも継続的に行われている。自分的には、ほとんど一択。

購入したのはHDDなしのベアボーンモデル(RND2000)で、これを静音化してみた。

(このエントリは一続きのエントリの1/2)

1.0. 内部配置


まずは内部配置の確認。筐体の両側板は後面にあるネジを外せば簡単に外せる。筐体は側板を含めてスチール製で、小さなサイズに似合わずごつい。HDDベイの後ろには25mm厚の6cmファンがある。

マザーボードの裏にはSO-DIMMのメモリスロットがある。DDR400の256MBメモリが付いていた。

HDDベイの上下には滑らかなプラスチックのレールがある。バックプレーンにはSATAコネクタと、通気のための穴多数がある。

1.1. 2.5インチHDDを使用


HDDには、2.5インチHDDのSeagateのMomentus 5400.5の320GBモデル(ST9320320AS)×2を選択。静音上2.5インチHDDの方が相対的に有利だし、速度的にはLANがボトルネックになるのでそこそこでよく、容量的にも300GBもあれは十分で、値段もこなれてきている。勿論NETGEARの対応HDDリストにはないが、SATAのHDDの場合、3.5インチと2.5インチでサイズ以外は大きく違うわけでもない。Seagateということに深い意味はないが、対応リストにSeagateが多かったこと、RMAの安心感ということはある。

トレイへの固定のために84.5mm×101.5mmの0.8mm厚アルミ板を使用。まずはこれをHDDの裏面に取り付ける。HDDのネジ穴は4つあるが、SATAコネクタ側はどうせコネクタで固定されるので、反対側の2つだけで固定。なお、よくある2.5インチHDDを3.5インチベイに固定するためのマウンタは、位置が合わないので使えない。

これをトレイに取り付けた図。トレイの左側のネジは固定できないが、特に問題はない。右側にあるのは比較用のBarracuda 7200.10の250GBモデル(ST3250410AS)。対応HDDリストにあるもので、あまり見ない20mm厚の3.5インチHDD。HDDのサイズは違うが、HDDの左端からのSATAコネクタの位置は同じ。

回転音を抑えるため、HDDの上蓋にゲルシートを介して2mm厚のアルミ板を貼り付けた。通気口の部分は一応穴を開けてある。

トレイの先端からSATAコネクタの先端までの距離は14mm。

これをHDDベイに挿して、コネクタがうまく嵌ることを確認。

[追記]

SATAの2.5インチHDD/SSDを入れる3.5インチHDD型のケースが発売された。このケースの外部SATAコネクタは3.5インチHDDと同じ位置にあるようで、かつ、このトレイで使われるHDD底面のネジ穴もあるので、そのまま利用できそう。

[参考]
ICY DOCK: MB882SP-1S-1
Akiba PC Hotline!: CREMAX MB882SP-1S-1Bの概要

1.2. ファンの交換


標準のファンは高速回転時の風切り音もすごければ、低速回転になっても軸音が大きい。個人的に許容範囲外なので、ファンを交換した。

丁度、山洋の1000RPMの6cmファンが出ているので、これを使用した。風量は大きく落ちるが、電源はACアダプタだし、2.5インチHDDであればたいした発熱ではないし、ファン自体の信頼性も上がりこそすれ下がることはないだろうという計算。

メーカー型番定格回転数
(RPM)
音圧
(dBA)
風量
(CFM)
標準品Crown Precision
& Electoronics
AGE06025B12H50003325.62
交換品山洋電気F6-SS
(9AH0612B4031)
1000104.9

標準品(左)と交換品(右)を並べたところ。ボスの直径は山洋の方が大きい。

山洋のファンを取り付けた図。コードが長いので、うまく収めるのが面倒。音は、間近に耳を近づけない限り、風切り音、軸音ともまず聞こえない。

これらの結果、HDDのスピンアップ時とシーク時以外は、ほぼ無音といえるNASになった。

設定については次に。