(このエントリは一続きのエントリの2/2)
2.1. ファームウェア・アップデート
ReadyNAS Duoには、大きな罠がある(既にさんざん指摘されているが)。ただし、これはベアボーンモデル(RND2000)限定かもしれない。
箱を開けると、一番に「インストールに関してお知らせ事項」という紙とTranscendのUSBメモリ(1GB)が目に入る。「これでファームウェアをアップデートしろ」というわけで、これ自体は決して良くはないが、特にどうということはない。むしろ、アップデート後にはUSBメモリがおまけに付くのと同じだから、ラッキーと思わないでもない。
ところが、この指示どおりに何回アップデートを試みても失敗する。問題は、一般的にファームウェア・アップデートの進行中に電源を切ると致命的なことになるので大人しく待つしかないが、この場合、アップデート開始に成功して進行中なのか、初めからアップデート開始に失敗しているのかも分からず、見分ける方法も説明がなく、その間ファンが高速回転で風切り音をまき散らし続けること(この状態は失敗している)。かつ、アップデートはHDDを挿した状態で行う必要があるので(これもウェブサイトのFAQを見て知るのだが)、もしかしてHDDの初期化に時間がかかっているのか(容量にもよるが2時間以上かかる)と思うと切るに切れない。
結論。初めからこのUSBメモリは捨てた方がよい。
代わりに、自分はTFTPを使う方法で(Version 4.1.4に)アップデートした。手順は一応以下のとおり(10月2日修正)。
- 英語版FAQのページから「TFTP Boot Recovery package」(TFTP_Flash_Recovery.zip)をダウンロードする。これには古いファームウェアも同梱されているが、下の2.で新しいファームウェアをダウンロードするので、使わない。(なお、古いバージョンの「TFTP Boot Recovery package」でもアップデート自体はできるが、下の6.で自動的に電源が切れず、アップデート完了が分かりにくい。)
- 「ReadyNAS Downloads」のページの「RAIDiator」のところから新しいファームウェアをダウンロードする。10月2日時点ではVersion 4.1.4(RAIDiator-4.1.4)。
- 上の1.でダウンロードしたファイルを展開する。tftpd32.exeの入ったフォルダができるが、この中の「RAIDiator3」と「RAIDiator4」は古いファームウェアなので削除する。代わりに上の2.でダウンロードしたファームウェアをこのフォルダにコピーし、「RAIDiator4」にリネームする。
- 後は、このフォルダ中のREADME.txtに従えばよいが、まずPCとReadyNASをLANケーブルで直結し、PCのLANアダプターのIPアドレスを192.168.125.1に、サブネットマスクを255.255.255.0に設定する。PCのファイアウォールは一時的に無効にしておく。
- このフォルダ中のtftpd32.exeを実行する。Tftp32が起動するので、「Settings」ボタンを押して、「TFTP configulation」の「Timeout (seconds)」を10に設定して「OK」ボタンで戻る。
- (電源が切れた状態の)ReadyNASの電源ボタンを長押しし、ディスク1と2のLEDが同時に2回点灯したところで指を離す。この後は自動的にReadyNASがPCのTftp32にアクセスし、最初に「kernel_conf」と「initrd_conf」を読み込み、次にファームウェアを読み込むのがTftp32で表示される。しばらくすると(5分程度)自動的にReadyNASの電源が切れる。
- 続けて初期化を行う(これをしないと新しいファームウェアが反映されない)。今度はReadyNAS後面のResetスイッチをピンで押しながら電源ボタンを長押しし、ディスク1と2のLEDが同時に1回点灯したところで指を離す。後はReadyNASが作業を完了するのを待つ。以上で終わり。
2.2. X-RAID
対応リストにはない2.5インチHDDのSeagateのST9320320ASだが、X-RAIDで普通に使えている。Frontviewの「ボリューム」で見ると以下のとおり。
「ステータス」で見ると以下のとおり。特に問題は見られない。ファンはキャリブレーション済みだが、常に1000RPMを少し超える程度。
さらに、同じく2.5インチHDDであるHGSTのHTS543232L9A300と東芝のMK3252GSXも試したところ、普通に認識される(10月4日追記)。「ボリューム」で見ると以下のとおり。
「ステータス」でも特に問題はない。
これらのプラッタ当たり最大160GBの世代では、動作音は、HGSTが最も小さく(シーク音も小さい)、Seagateがそれに次ぐ。東芝は音が小さくも大きくもない。
さて、ST9320320ASはPC(ThinkPad X60s)に直結した状態では、CrystalDiskMarkで計測すると、シーケンシャルで70MB/s前後が出る。
これがPCとReadyNASを直結した状態では、25MB/s前後になる。
さらにハブ(BuffaloのLSW-GT-5W)を介した状態でも、あまり変わらない。シーケンシャルとランダム(512KB)のWriteが上がっているが、これらの数字にあまり再現性はないので、特に意味はない。なお、PCの有線LANアダプタ(Intel PRO/1000 PL)の制限でJumbo Frameは使っていない。
2.3. Flex-RAID(RAID0)
ファームウェアのVersion 4.1.3からReadyNAS DuoでもFlex-RAIDが使えるようになっているので、RAID0を試してみた。切り替えには一旦初期化すること(ファームウェアまで元に戻るわけではない)が必要。
初期化を開始すると、起動時にRAIDarの「情報」に「設定ボタンをクリック」が出る。なお、初期化の開始はFrontviewの「システム」の「OSアップデート」からもできるが、再起動時にこの「設定ボタンをクリック」の出るタイミングを逃して「インストール中」に進んでしまうことがあるので、Resetスイッチを使ってハードウェア的に初期化を開始した方が余裕ができる。
「設定」ボタンを押すと、以下のダイアログボックスが出る。
それぞれの詳細を押すと説明のメッセージが出る。X-RAIDの場合。
Flex-RAIDの場合。
Flex-RAIDのRAIDレベルの選択リストを開くと、0、1、5の3種類が出る。このうち、RAID1ではX-RAIDと同じであり、HDD2台ではRAID5にはならないので、変えるとすればRAID0。
選択して「初期化の開始」ボタンを押すと、以下のメッセージが出る。なお、ここでRAID0を指定したはずなのにRAID1になってしまったことが複数回あったが、謎。
RAID0になった状態をFrontviewの「ボリューム」から見ると、ディスク容量がHDD2台分になっている。
「ステータス」で見ると以下のとおり。2番目のHDDが「故障」と表示されており、下のLEDアイコンの「ボリューム」のところも故障マークが出ているが、実際に故障しているわけではない。
この状態でPCと直結してCrystalDiskMarkで計測すると、X-RAIDの場合とあまり変わらないが、ランダム(4KB)のWriteの値だけが2倍になる。
特に見るべきものがないので、X-RAIDに戻した。