2011/03/05

AtomなReadyNASの速度を計る

ReadyNAS Ultra 2の速度については、CPUのAtom 1.8GHzは現時点のAtom機としては最高クロックで、ソフトウェアRAIDもミラーリングだけだから負荷は低そうだし、同時に色々とやらせるのでもなければSingle coreもDual coreも変わらないだろうから、ReadyNASの中で速度に劣るということはないと思う。

そのUltra 2がどれぐらいの速度を示すのか。

(このエントリは一続きのエントリの2/5)

2.0. 環境

最初に、計測環境は以下のとおり。
  • 使用するHDDの素の性能(PCに内蔵した場合、シーケンシャルアクセス)は以下のようなもの。

  • ディスク構成は全て同じHDD×2によるX-RAIDまたはX-RAID2。Flex-RAIDにすれば何か変わるかもしれないが、ReadyNASのメリットを半分捨てるようなものだと思うので。
  • ネットワークは全てハブ(BuffaloのLSW-GT-5W)を介しての接続。前に見たとおり、このハブがボトルネックになることはないと思う。
  • Ultra 2のRAIDiatorは4.2.15。Duoの方は4.1.7で、メモリは1GBに換装してある。
2.1. ネットワーク速度

Windowsで普通にCIFSで共有したときの速度はどうか。

改めてDuoについて

先に、改めてReadyNAS Duoの速度について幾つか確認しておく。というのも、クライアントPCにWindows 7を使うようになって結構変化があったので。

第一にジャンボフレームについて、クライアントPCのThinkPad X61sのネットワークアダプター(Intel 82566MM Gigabit Network Connection)にはジャンボフレームの設定がないが、ReadyNAS側のジャンボフレームの設定を変えるとどうなるか。

まずX61s上のXP SP3からCrystalDiskMark(3.0.1)で計測したのが以下。HDDは7K2000と5400.5の状態。

7K3000ではジャンボフレームはほとんど関係ないが、5400.5ではジャンボフレームを有効にするとシーケンシャルアクセス、とくにライトが激しく落ちる。

次に同じくX61s上のWindows 7 64bitから。

傾向はXPと同じで、5400.5ではジャンボフレームを有効にすると速度が激しく落ちる。これは5K500.Bの状態でも全く同じだった。ということを踏まえて、以下では基本的に無効にしている。

ジャンボフレームが無効のときで比べると、Windows 7の方がシーケンシャルリードで10MB/sぐらい速い。

そこで第二に、Windows 7とXPでテストサイズを100MBと1000MBにした場合を、それぞれ7K3000と5400.5の状態で比べる。

全体的にシーケンシャルアクセスはWindows 7の方が速いことが分かる。

第三にボリューム使用量について、使用量によって速度に変化があるか。言い換えれば、ボリュームが埋まっていくと速度が遅くなったりするか。ということで、使用量を0%、33%、66%の三段階に調整した上で、Windows 7から7K3000と5K500.Bの状態で確認する。なお、5K500.Bは1年ぐらい常用していた状態で、細かいファイルが大量にあるので、フラグメンテーションが進んでいると思う。

使用量によってほとんど差は出なかった。

第四に、Windows 7からでテストサイズが1000MBの場合の、3種類のHDDの結果を並べると、

HDDによって見るべき差ははないことが分かる。

まとめると、
  • ReadyNAS側でジャンボフレームを有効にしても、(X61sからは)速度が上がらないばかりか落ちることがある。これはジャンボフレームの設定が合ってないときにはあり得ることだが。
  • Windows 7にしただけでXPより速くなる。
  • HDDによって、または、ボリューム使用量によって、速度はほとんど変わらない。したがって、こういうことを気にかけても意味はない。
Ultra 2の場合

さて、Ultra 2であるが、初っ端にいきなり問題にぶつかった。

デフォルトの状態ではリードの速度がまるで出ない。初期不良かと思ったが、調べてみると、デフォルトで有効になっているLowLatencyという機能をOFFにすることが有効だった(CIFSでのNAS→PCのコピーが異常に遅い)。以下はこのLowLatencyのON/OFFによる違い。

LowLatencyがOFFのときが正常だと思うので、以下は全てこの設定で行く。

気を取り直して、第一にジャンボフレームについて確認しておく。Windows 7から7K3000と5400.5の状態。

ジャンボフレームが有効でも5400.5はさほど変わらないが、7K3000の方はライトが落ちている。いずれにせよ、ジャンボフレームでいいことはないので、無効で行くことにする。

第二に、ボリューム使用量による差をDuoと同じように見てみる。7K3000の状態。

やはり違いは出ない。

第三に、3種類のHDDの結果を並べると、

よく分からないことになった。7K3000が一番速いのは順当なのでそれはいいとして、5400.5もリードではそれほど変わらない。これらに対して、5K500.Bは大きく落ちている。確かに5K500.Bは1年ぐらい使用歴があるが、それはその前に使っていた5400.5も同じだったりする。いずれにせよ、素の性能差ほどの違いがあるわけでも、素の性能が素直に出てくるわけでもない。

一応、Duoとの比較では、全体的にリードもさることながら、ライトが大きく上昇していることが分かる。

Iometer

別のやり方として、Netgearが性能の示標に使っているIometerではどうなるか。設定ファイルのiometer.icfはNetgearのもの(How to optimize the ReadyNAS performance)を利用し、テストサイズはUltra 2の製品紹介ページと同じ9GBにして計測してみた。

このIometerによる計測はこれまでやったことがなかったが、何これ? という結果。確かにライトではUltra 2はDuoより10MB/sぐらい上がっているが、リードではDuoの時点でGbEの実用上の上限に近い100MB/sに達している。結果として、Ultra 2でさほど上がっているわけでもない。また、HDDによる差もあまり出てない。

性能の示標としては継続性が大事なのは分かるが、このIometerの計測方法ではGbEの上限に引っ掛かってしまって、本当の差が(あるとして)見えなくなっている可能性がある。これを今時の示標に使うのはどうかと思う。

Acronis True Image

また別のやり方として、 Acronis True Image 2010 Homeによるバックアップ/リカバリーの時間を計測してみた。USBメモリからブートし、X61s上のX25-Mに対して、ReadyNASへ直接バックアップ/ReadyNASから直接リカバリーを行う。対象はWindows 7のシステム兼ブートパーティションで、サイズは18.4GiB、使用領域は13.2GiB、ファイル数は73,836。
HDDReadyNASへの
バックアップ
ReadyNASからの
リカバリー
処理時間
(sec)
処理速度
(MB/s)
処理時間
(sec)
処理速度
(MB/s)
Ultra 2
7K300060723.5134541.36
5400.560023.7834940.89
Duo
7K300086016.5966621.43
5400.586316.5465521.79

それぞれの処理中にずっとReadyNASにアクセスしているわけではないが、処理時間ではUltra 2はDuoよりバックアップで約30%、リカバリーで約50%の短縮を見せている。一方、HDDによる差はほとんどない。

まとめ

ネットワーク速度は突き詰めると深いし、手間もかかるのでこれぐらいに留めるが、
  • Ultra 2でシーケンシャルリードはDuoから最大1.5倍(HDDによる)、ライトは2倍に上がった。
  • 内蔵するHDDによる差はそれほどない。HDDの速度がそのままReadyNASの速度に反映されるわけでもないので、とくに気にする必要はないと思う。
  • ボリューム使用量による速度への影響はほとんどない。
2.2. USB3.0ポートの速度

NAS上のデータのバックアップもやり方は色々あるが、外付けHDDを繋げてさくさくコピーできれば、それが一番シンプルで楽だと思う。が、DuoのUSB2.0ポートは遅すぎて、バックアップに使うにはあまり実用的でなかった。

その点、Ultra 2は前面のUSBポートがUSB3.0になっていて、普通のPCでのUSB3.0ポートの例を見るとほぼHDDの素の速度で接続できるようなので、Ultra 2でもそういう速度が出ればと結構期待していた。

とりあえず、USB HDDとして、USB3.0対応のシンプルBOX2.5(CSS25U3BL)に5K500.Bの120GBモデルを入れ、X61sからNTFSのパーティションを作成の上、Ultra 2とDuoにそれぞれ接続し、X61sからCIFSで共有してCrystalDiskMarkで計測した。テストサイズは100MBと1000MBで、同時にReadyNAS側の「高速USBディスクの書込み」の設定の違いも確認してみる。

まず「高速USBディスクの書込み」を有効にすることによる速度向上は見られない。となれば、わざわざ有効にする必然性がなくなる。

問題は、Duoのライトの壊滅的な遅さは放っといて、Ultra 2のライトも微妙なこと。これぐらいの速度ならUSB2.0でも出ないことはない。

確認として、CSS25U3BLに7K3000を繋げた場合と、Green HouseのUSB3.0対応のGH-HDC3035AKに5K500.Bを入れた場合、それからUSB2.0のLaCie little diskの500GBモデルも計測してみる。テストサイズは1000MBで(100MBではLaCie little diskで異常に高い値が出る)、「高速USBディスクの書込み」は無効。

USB3.0の3つの場合は、どれも大体同じ結果が出ている。リードの方はさすがUSB2.0ではあり得ない速度だが、ライトの方はLaCie little diskとほとんど変わらない。

ただ、これはあくまでネットワークを介してX61sから見たときの話なので、Ultra 2との間だけならどうか、というのが次。

バックアップジョブ

ReadyNASではFrontviewから設定するバックアップジョブで直接ファイルの転送ができる。これを使ってReadyNAS内のフォルダとUSB HDDの間でファイルを転送するバックアップジョブを作成し、この所要時間をログで見てみる。

対象はAcronis True Imageのイメージファイル計31.5GiB。USB HDDはCSS25U3BLに5K500.Bを入れて、ファイルシステムをそれぞれExt3とNTFSにした場合で、比較のためLaCie little diskも加えた。
速度(MB/s)
CSS25U3BL
+ 5K500.B
LaCie
litte disk
高速USBディスクの書込み有効無効
USB HDDのファイルシステムExt3 NTFS
Ultra 2 --> USB HDD13.7513.8818.2717.04
USB HDD --> Ultra 249.8149.8946.4627.08

左側から順に行ったが、「高速USBディスクの書込み」はやはり意味がなかった。また、Ext3よりNTFSの方がリードは速いことが分かる。

USB HDDからUltra 2へのリードはUSB2.0を超えているが、Ultra 2からUSB HDDへのライトはLaCie little diskと大差なかった。つまり、X61sからCrystalDiskMarkで計ったときと傾向は同じ。

まとめ

結局、Ultra 2のUSB3.0ポートは、リードではともかく、ライトではUSB2.0並みというのが現段階での結論(Slow USB3 Backup - No faster than USB2)。勿論、それでもDuoのUSB2.0ポートよりは、はるかにましだが。

また、単純に速度の問題だけでなく、USB HDDの認識などにも変なところがあるので(Ultra 2におけるUSB3.0の動作)、根本的にRAIDiatorのUSB3.0関連部分がまだ熟成されてない様子。

いずれも今後のアップデートに期待。

[追記]

RAIDiatorを4.2.19にアップデートして、どうなったかを確認してみた。まずは速度。CSS25U3BLに5K500.Bを入れてX61sから見た場合で、以下のとおり。

とくに変化なし。いい加減速度については諦めが入ってきた。ちなみに、X61sのUSB2.0ポートに直接接続した場合は以下のとおり。

一応、Ultra 2経由でもUSB3.0で接続した方が、直接USB2.0で接続するよりかは速い。

次に認識などについて、4.2.15時点であった問題は以下の2点。
  1. CSS25U3BLを挿した状態でUltra 2をブートすると、CSS25U3BLが認識されない。
  2. バックアップボタンの長押しでCSS25U3BLがアンマウントされない。
このうち2.は4.2.16で解決していたが、1.はまだだった。それが4.2.19では解決していた。よって、この問題は終了。

なお、自分が気づいた若干の注意点。
  • アンマウントするときは、バックアップボタンをその上のLEDが消えるまで押し続けた方がよい。アンマウントの所要時間は一定していないので、中途半端に指を離すとUSB HDDへのバックアップ動作が始まってしまう。

  • USB HDDには「usb_hdd_6」など番号の付いたフォルダー名が割り当てられるが、この番号はHDDがフォーマットされると変わる(ファイルシステムなどが同じでも)。したがって、ネットワークドライブに割り当てている場合は、フォーマットの度に割り当て直す必要がある。

次に動作音について。

2 コメント :

いろいろ知りたい さんのコメント...

非常に参考になりました
このサイトは私の悩みにどんぴしゃりです

ネットワークオーディオやビデオ観賞をするにあたり、HDDをNASでぶら下げるか、PCにUSBでぶら下げるか迷っておりました。
転送速度の遅いNASだと大量の写真をサムネイル等で表示させながら画面をスクロールさせたりするととてもストレスになったり、メモリカードから写真や動画を転送するのにとても時間がかかるので、メインのPCにUSBでぶら下げるしかないかとあきらめていたのですが、ReadyNASならUSB並みに転送速度がありそうなので通常使いにはよいかなと思いました

そこで質問なのですが、メモリカードから取り込む時にはやはり転送速度がなるベく早い方が理想なのですが、PCにあるUSB3.0接続のカードリーダを使うのと、NASのUSBを使うのではどちらが早いでしょうか?
PCは、CPUはCorei7 メモリは8G WIN7 64BITです
また、ULTRA4に興味があるのですが、USB2.0しか実装されてません、ULTRAのUSB2.0はDUOより早いのですか?

もしご存知でしたらご教授ください

EMO さんのコメント...

いろいろ知りたいさん

現物を見てないのでたいしたことは言えませんが……

PCとしての純粋な性能では、ReadyNASのAtom機はネットブック並みですから、お使いのようなパワフルなPCとは比較にならないと思います。したがって、メモリカードの読み込みもPCの方が速いだろうと思います。

ただし、メモリカード自体の速度がボトルネックになる可能性もあるので、それ次第では差は出ないかもしれません。そういうことを含めて利便性で選択することになるのかなと。

Ultra 4のUSB2.0の速度は分かりませんが、DuoのUSB2.0が遅いのはCPUが非力なことに影響されているのではないかと思いますので、Atom機であるUltra 4の方が(とくにライトでは相当)速いだろうとは言えます。