2020/06/12

Lenovo 500 FHD Webcam

数少ないWindows Hello対応のUSBカメラの新製品であるLenovo 500 FHD Webcamが到着したので、レビューします。この製品に関しては、Lenovo公式から以外の情報があまりないので。

1. 外観


パッケージをLogicool C920sと並べたところ。店頭陳列用に派手なデザインのLogicoolに対して、色もサイズもおとなし目です。

最初にこの製品の名称ですが、Lenovo公式では「Lenovo 500 Full HD Windows Hello対応 Webカメラ」という、どこまでが製品名でどこからが機能説明なのか分からない表記になっていますが、パッケージにある表記が本来の名称なのでしょう。というわけで、「Lenovo 500 FHD Webcam」です。

Windows Hello対応のUSBカメラとしては、長らくマウスコンピューターのCM01とその後継のCM02が実質的に唯一の選択肢で(Logicool Brio Webcamはこれだけのためには高すぎ)、ようやく選択肢が増えたことになります。

DellのU2720QMの上に設置したところ。C920sはカメラ本体が台座の前にあるのに対して、500 FHDは台座の上にあるので、カメラの位置は少し奥になります。

デザイン的には、レンズとマイクのモチーフが盛り込まれたC920sとは対照的に、500 FHDは余分な装飾も凹凸も一切ないミニマルなデザインになっています。

高さはC920sは本来もっと低いのですが、台座のモニターの前に掛ける爪が長く、そのままだと表示域(縁から6mmぐらい)にかかってしまうので、3mmのゴムを挟んで上に上げています。これはC920sの元設計が古くてベゼルレスのモニターが考慮されてないのでしょう。500 FHDの方は台座の爪が短く、そのままで問題ありません。ちなみに、台座の幅はどちらもきっかり45mmです。

首振りは上下のみのC920sに対して、500 FHDはボール雲台式で自由度は高いです。ただ、C920sは俯角が大きく取れるようになっているので、それには及びませんが、台座自体の設置角でも調整幅は増やせるので(油気圧サスペンションの戦車の如く)、問題にはならないかなと。

上面にはLenovoのロゴがうっすら入っています。これは表面仕上げの違いでロゴだけツヤを付けて見せているだけなので、角度によって見えることがあるという程度です。

USBケーブルはC920sが直出しなのに対して、500 FHDはUSB-Cコネクタに挿す形式(USB-C to USB-Aケーブルが付属)で、この方が自由度は高いですが、ケーブルが宙を走ることになって収まりが悪い面もあり、良し悪しという気がします。

2. 機能


カメラには4つ窓があって、中央から左側に向かって普通のカメラ、赤外線カメラ、赤外線ライト、プライバシーライトです。右側にも何かありそうに見えますが、ここには中にプライバシーシャッターがあるので、センサーはないです。

このシャッターは上のつまみを押さえて横にスライドさせると、中のシャッターも動く仕組みです。

シャッターには赤丸があるので、よく見れば閉じているのが分かります。ただ、カメラに赤丸は一般的には録画中を示すサインなので、閉じている状態を示すにはUI的にどうかなという気がします。つまみの大きさから見て、頻繁に変えるというより念のために付いている感じですが。

普通のカメラの撮影中はプライバシーライトが点灯します。

Windows Helloの認識中は、赤外線ライトが点滅します。色はSurface Proと同じく赤ですが、光はもっと強いです。認識はうまく行けば一瞬なので、Surface Proと変わりません。

画質


500 FHDの普通のカメラは、基本スペックとしてはFull HD(1920×1080)で、C920sの1080pモード、Surface Pro 4のフロントカメラと変わりません。

画質については……自分ではそれほど差が分からないというのが実際のところです。C920sはさすがに自動調整がうまく効いているぐらいは分かりますが……一番古いSurface Pro 4のカメラでも映りは悪くないと感じるので。試していて気づいたのは、むしろ映りにダイレクトに影響するのは、カメラというより照明の方かなと。

なお、LogicoolのLogi Captureのようなカスタマイズソフトは付属しません。余談ですが、Logi Captureは、使ってみるまで知らなかったのですが、カメラの設定ソフトではなく、それ自体がカメラ入力を受けて画像をリアルタイムに加工して他のソフトに出力するもので、当然リソースを結構使うのですよね。カメラ入力は他のソフトで直接受けられるので、画像にこだわりがなければ使わなくていいかなと。

互換性


試した範囲では、Microsoft Teams、Cisco Webex、Zoomで入力元に使えるのを確認しました。

なお、C920sとは違ってマイクはありませんが、個人的には別に求めていないので問題ありません。

3. Windows Helloカメラの切換え


自分は数年来、Surface Pro 4に外部モニターを接続して使っていますが、そのときにはSurface Pro 4の画面に被せる形にするので、Surface Pro 4に内蔵のWindows Helloカメラは使えなくなります。これが500 FHDを購入した理由ですが、実はWindows 10には複数のWindows Helloカメラを切り替える機能がないらしく、500 FHDを接続してもそのままではWindows Helloに内蔵カメラを使おうとします。

対処療法として、内蔵カメラをデバイスマネージャーで無効にしてしまえば、代わりに500 FHDが使われるようになるのが分かったので、500 FHDの有無に応じてこれを自動化するツールとしてHello Switcherを作成しました。 注意点として、OSのサインイン前には動作できないので、前回サインアウト時の最後の状態は次回サインイン前には変更できません。具体的なケースで言うと、前回サインアウト時に500 FHDがある状態だった場合、内蔵カメラは無効化されているので、次回サインイン時に500 FHDがない場合は、有効なWindows Helloカメラが存在しないことになり、Windows Helloが使えません。こういう場合はPIN認証などでサインインして下さい。サインイン後にこのツールが実行された際に内蔵カメラは有効化されます。

4.評価


まとめると、良い点は以下のとおりです。
  • ミニマルですっきりしたデザインがとても良い。
  • Windows Helloカメラとして問題なく使える。
  • 普通のカメラとしても使える。
個人的に悪い点はないですが、一般的な注意点としては以下のとおりです。
  • カスタマイズソフトは付いてこない。
  • マイクはない。
以上です。