2009/09/28

32bit vs 64bit(ストレージ的に)

Windows 7の32bit版と64bit版について、ASCII.jpの記事「32bit vs 64bit Windows 7を入れるならどっちだ?」では64bitの方がHDDアクセスがかなり速いという結果が出ているが、これはダウトという話。

1. 前振り


Windows 7に移行するときは64bit版にしようと思っているが、従来、64bitのメリットが出るのは64bitのアプリケーションを使うときだけで、HDDアクセス自体はOSが64bitになったからといって速くなるものではないと認識していた。例えば、ITproの記事「Windows 7の64ビット版は“速い”のか」ではWindows 7 BetaとVistaのそれぞれ32bitと64bitについて、
  • PCMark05のHDD(XP Startup、General Usage、Virus Scan)
  • PCMark VantageのHDD Test Suite
の結果を出しているが、64bitの方が特に速いということはない。

ところが、ASCII.jpの記事「32bit vs 64bit Windows 7を入れるならどっちだ?」ではWindows 7(RTMか)の32bitと64bitについて、
  • CrystalDiskMark
  • PCMark05のHDD
  • PCMark VantageのHDD(HDD Test Suiteのことか)
の結果を出しているが、64bitの方がCrystalDiskMarkのシーケンシャルアクセスで3割程度速く、PCMark VantageとPCMark05でもかなり上回っている。中でもPCMark VantageとPCMark05は64bit版があるわけでもないので、OSが64bitになっただけでHDDアクセスが速くなるというなら、これは見過ごせない。

2. 実測


それではと、手持ちのHDDをWindows 7 RTMの32bitと64bit上で計測してみた。対象のHDDはTravelstar 5K500.Bの500GBモデル(HTS545050B9A300)で、ThinkPad X61s(メモリは4GB。32bitと64bitでドライバは基本的に同じで、Intel Matrix Storage Managerは8.9.0.1023)を使用。

まずはCrystalDiskMark(2.2)。
(注)HDDの先頭に2GBのパーティション(NTFS、クラスタサイズは4KB)を作成し、X61s本体に入れた状態で、ウルトラベースX6からWindows 7 RTMを起動して計測。64bitではDiskMarkX64.exeの方を使用。

続いてHD Tune Pro(3.50)。
(注)HDDにパーティションがない状態で、同様に計測。

結果は32bitと64bitでほとんど同じで、従来の認識を確認しただけに終わった。

3. 比較


改めてASCII.jpの記事を見ると、対象のHDDはWestern DigitalのWD10EADSの1TBモデルで、CrystalDiskMarkのシーケンシャルアクセスの値は32bitでは60MB/s前後台後半、64bitでは90MB/s前後になっている。テストサイズは50MBらしい。

一方、WD10EADSのCrystalDiskMarkでの値を検索してみると、環境とテストサイズによって差があるが、大体100MB/s前後で、値が低く出る1000MBのテストサイズのときでも90MB/s程度だった。

これから見ると、ASCII.jpの記事の64bitの値は普通といえるが、32bitの値は異常に低い。ハードウェア的には、Intel環境ではCPUはCore2QuadのQ6600、チップセットはP35 Express、メモリは4GBと、十分なもので、足を引っ張るようなものではない。上の2.の結果と比べても、スペック的に上回るこのハードウェアで大差を付けられるのは断然おかしい。

すなわち、ASCII.jpの記事の32bitの環境にたまたま何か足を引っ張る要因があり、32bitの値が低く出た結果、普通の値の64bitとの間で差があるように見えたに過ぎない可能性がある。

この可能性を潰さないと比較として疑問が残るが、64bitの方が速いという記事にしたいがためのバイアスがどこかで働いたのではないかと思う。

[追記と訂正]

ASCII.jpの記事中のCrystalDiskMarkのシーケンシャルアクセスの値は以下のとおり。

32bit64bit増加率
Intel環境
Sequential Read68.60687.13427.0%
Sequential Write68.18786.33126.6%
AMD環境
Sequential Read69.28691.26831.7%
Sequential Write67.85191.41934.7%

32bitの数字を「60MB/s前後」と書いていたが、「60MB/s台後半」に訂正。

2009/09/20

新型ThinkPad USBキーボードのブラウザキー

ThinkPad USBトラックポイントキーボードの具合が良いのでしばらく使っていると、気になるのがブラウザキーの問題。Scancode Mapを使うやり方やキーボード・カスタマイズ・ユーティリティーを試してみたが、無効化できない。

では、これらがどういうスキャンコードを出しているのか、窓使いの憂鬱で見てみると、
ThinkPad USB Keyboard: Forward Key or Back Key

それぞれ2つのコードを同時に出すようになっていた。これではScancode Mapではうまく行かない。が、スキャンコードの表に照らし合わせてみると、
  • 進むキー=38+e04d=左Alt+右カーソル
  • 戻るキー=38+e04b=左Alt+左カーソル
これらは、「進む」と「戻る」のキーボードショートカットである。つまり、このキーボードのブラウザキーは単独キーボードショートカットになっていた、というオチ。

タネが分かれば話は簡単で、キーボードショートカットを無効にする方法は幾らもあるが、例えばFirefoxではadd-onのKeyconfigで簡単に設定できる。
ThinkPad USB Keyboard: Firefox Keyconfig

無効にするだけなら、この「進む」と「戻る」のキーを削除すれば終わり。

2009/09/19

HTV到着

18日朝、HTVがISSに到着、結合された。
(NASAのHuman Space Flight Galleryより)

まだISSから分離して大気に落下させるまでプロジェクトとして完了ではないが、ロケットと宇宙機という巨大技術がまだ成熟には遠い中で、初号機でここまで出来たのは良かった。周辺環境や今後のことなど必ずしも容易ではないのだろうが、まずは成功したことは良かった。



スペースシャトルの落日~失われた24年間の真実~宇宙への輸送といえば、少し前に松浦晋也さんの『スペースシャトルの落日』を読んだ。内容にもう少し技術的な詰めが欲しかったが(基本的な材料は提示されている)、メッセージは初めから明快で、「スペースシャトルは宇宙船として巨大な失敗作である。」ということである(P6)。

かつて子供心に、使い捨てロケットの後は宇宙往還機で、そのまま普通に宇宙旅行する時代が来ると直線的な未来を信じて、途中で事故はあっても、それを乗り越えて進んでいくのだと思っていた。それが、そのうちスペースシャトルの退役と使い捨てロケットへの回帰と変わり、腑に落ちないままだった。

しかし、初飛行以来30年近くにわたる実績が、当初の期待(と世界が思わされてきたもの)を大きく下回ることは事実で、細かい技術論は抜きにして、失敗作と扱われても仕方がないと思う。

いや、もっと予算を投入して改良を続けていけば化けたのかもしれないが、NASAの潤沢な予算をもってしての(他の宇宙機関に比べれば)30年近い結果がこれなのだから、どうにもならない。

HTVが成功し、NASAもアレスで使い捨てロケットに回帰すれば、ロシアと欧州、それに民間のSpaceXを含めて宇宙への輸送は使い捨てロケットの時代に戻ることになる。端から見ると時代が巻き戻るようで面白くないが、宇宙往還機が時代より早すぎたとすれば仕方がない。

当分はそうとして、さらに先の未来を想像してみると、
  1. カプセル型宇宙機が大化けする(垂直に宇宙港に降りてくるような)。
  2. 人間だけ乗せる小型の往還機をロケットの先端に取り付ける形(HOPEのような)になる。
  3. 空中発進型の往還機(SpaceShipOneのような)が一気に進む。
意外と、消えゆく運命と思っていたカプセル型宇宙船の復権で、想像を膨らませる範囲は広がったのかもしれない。

2009/09/13

Intel SSD Toolbox(予定)

12日に行われた「Intel Technology Day in Akiba 2009」におけるIntel天野氏のプレゼンテーションで、IntelのSSDのS.M.A.R.T.について言及があった。AKIBA PC Hotline!に動画と資料の写真がある(「だれにも聞けないSSDの疑問」を「神様」が解説 XP/Vista用のTrimツールも準備中、廉価版の話題も)。

この中のQ6で(動画の11:38から)、SSDの寿命を判断するためのS.M.A.R.T.の項目として以下を挙げている(Q6の資料による。項目名は口頭とは少し違い、Q7の資料とも少し違うので、正式なものか不明)。
  • E1: Host Writesインジケータ(書き込み量の統計)
  • E9: Media Wearインジケータ(ウェアレベリングのレベル)
  • E8: Available Reserved Space(予備領域の残り)
また、Q7では、S.M.A.R.T.の値を見るためのツールとしてWindowsベースの「SSD Toolbox」を開発中であり、Q4に、すなわちWindows 7が出るぐらいまでにリリースしたいとのこと(SSD事業部のスケジュールは遅れがちで信用できないという問題があるらしいが)。

ということで、ようやくというか、意外に早くというか、S.M.A.R.T.の情報が公開されそうである。静かに社内で粛々と準備を進めてきていたわけで、結構なことである。

この「SSD Toolbox」のS.M.A.R.T.項目はこんな感じ(Q7の資料から。RC版らしい)。
IDDescriptionRawValueWorstThreshold
04Start/Stop Count01001000
05Re-allocated Sector Count71001000
09Power-On Hours Count51001000
0CPower Cycle Count51001000
C0Power-off Retract Count31001000
E1LBA's Written47682002000
E8Available Reserved Space0999910
E9Media Wearout Indicator099990
B8End-to-End Data Integrity Error Count010010099
(注)B8は第二世代(G2)から追加されたもの。

以前に酷使したX25-Mは現在以下のとおり。E1、E9、E8は変わってないが、いつの間にか05が1になっている。
CrystalDiskInfo (05:1)

E1の書き込み量と、E8の予備領域はまあ分かるし、しきい値からすれば余裕がありそうだが、E9の「Media Wearout Indicator」は口頭の説明でもよく分からなかった。ついでに05との関係も気になるところ。

その辺を含めて、細かい見方については然るべきときが来れば説明するとのことなので、今後に期待。

ちなみに、プレゼンテーションの最後はSSD事業部の人によるビデオで、
  • SSDを熱い砂漠上でバイク車で轢く
  • SSDを投擲する
  • SSDをジェットエンジンのドラッグカーの噴射で吹き飛ばす
この後でそれぞれSSDをノートに挿して起動してみせるもので、馬鹿馬鹿しくて笑える。

[追記1]

ひよひよさんがCrystalDiskInfoで早速、対応されている(CrystalDiskInfo 3.0.0 RC5)。
CrystalDiskInfo 3.0.0 RC5

和訳は、難しい。

[追記2]

Intel自身がまともな和訳を付けてくれるのが一番なので、以下はIntelへの駄目元のメッセージ。

「Intel日本の方、まともな和訳を付けてくださーい。Matrix Storage Consoleの「生成」なんて恥ずかしい訳にならないようにお願いしまーす!(というか、Matrix Storage Consoleの方も直した方がいいですよ)」

(参考)Intel Matrix Storage Consoleの「生成」問題

SATAの転送モードが現在どうなっているかを示す部分に、日本語では「生成」という単語が出てくるが、何かの用語かと思いきや、英語の「Generation」の誤訳である問題。
  • 150MB/s =「Generation 1」(意味的に近いのは第一世代)→「生成 1」
  • 300MB/s =「Generation 2」(同じく第二世代)→「生成 2」
「Generation」には、辞書的には「代」「世代」という意味の他に「生成」という意味もあるが、それを取り違えたものと思われる。
Intel Matrix Storage Console

この和訳を作成した人の問題もさることながら、それがそのままリリースされ、現在に至るも修正されていないことが(上は2009年9月時点の最新の8.9.0.1023)Intel社内のチェック体制に不安を抱かせるものとなっている。

なお、どうしても気になる場合は、PlugInSATA_JPN.dll中のリソースを書き換えてしまう方法がある。

[追記3]

SATAの転送モードは、Intel Rapid Storage Technology 10.1.0.1008では「1.5 Gb/秒」、「3.0 Gb/秒」といった転送速度で示されるようになった。
Intel Rapid Storage Technology

2009/09/07

新型ThinkPad USBキーボード

久々に出た新型のThinkPad USB Keyboard with TrackPoint(ThinkPad USBトラックポイントキーボード)が到着。英語版(FRU: 55Y9003)。基本情報はLenovo米国のAnnouncement Letterに、背景についてはDesign Mattersに説明がある(The Keyboard You Helped Design)。

1. 各部


X61sに接続した状態。キーボード自体は新配列のT400sとほとんど同じ。最近のThinkPadと同じく、横のエッジが立った、平たくすっきりした造形。
ThinkPad USB Keyboard with TrackPoint

新型(右)のフットプリント(314mm×222mm)は旧型(左)とほとんど同じだが、パームレスト部分がすっきりしている分、少し大きめに見える。
ThinkPad USB Keyboard: Top view

裏面も旧型(左)より新型(右)の方がすっきりしている。新型にはUSBハブがない分、USBケーブルの収納スペースが広い。ケーブル長も旧型の1mに対して新型は1.5mと、長くなっている。
ThinkPad USB Keyboard: Bottom view

新型(上)には旧型(下)のようなスライドパッドはないので、そのクリックボタン部分の張り出しもないが、パームレスト先端が少し薄く長くなっている。上2列はキーが平たく、わずかに高くなっているのが分かる。

旧型(左の下)の凝った脚に対して新型(左の上)の脚はシンプルだが、ラバーコートされている。高さは脚を立てない状態で19mm、立てた状態で37mm。表面仕上げは旧型(右の下)は黒でも少し青みがかっているが、新型(右の上)はThinkPadの筐体と同じつや消し黒。
ThinkPad USB Keyboard: FeetThinkPad USB Keyboard: Surface finish

[追記]

分解されたMacoteauさんによれば(トラックポイントキーボードを分解トラックポイントキーボードを分解 #2)、本当にT400sのキーボードをUSBに接続できるようにしたものと判明(ベンダーはNMBらしい)。電源ボタンのパターンまであるとは。

分解にはラベルの下の隠しネジを外す必要があるとのこと。

2. 動作


ドライバを入れるとマウスのプロパティにUSB TrackPointとしてタブが現れるので、TrackPointの設定が可能。このドライバはWindows 7にも対応と明記されている。
ThinkPad USB Keyboard: Mise property

特殊キーはT400sに合わせてあり、Announcement Letterによれば3桁以前のレガシーなThinkPadでは機能しないとされているものが多い。一方、レガシーなX60s/X61s上のXP SP3(システム制御ドライバーをインストール済み)で試したところ、T400s特有のマイクミュートとFn+F6のVoIPキー、NumLk以外は機能したので、まず問題なく使える。
Announcement Letterの記述実際の
動作
ThinPad
Hot Key
Function
Key
Operation
System
Models:
All other
legacy
systems
Lock your ComputerFn+F2NoOK
Manage battery & powerFn+F3NoOK
Enter sleep (standby)Fn+F4YesOK
Manage wireless settingsFn+F5NoOK
Change camera & microphone
settings
Fn+F6NoNO
Change display settingsFn+F7NoOK
Change input device settingsFn+F8YesOK
EasyEject UtilityFn+F9NoOK
Enter hibernationFn+F12NoOK
Magnify screen contentsFn+SpaceNoOK
Increase display brightnessFn+HomeNoOK
Decrease display brightnessFn+EndNoOK
Launch Lenovo ThinkVantage
Productivity Center
Blue button
(ThinkVantage)
YesOK
Increase speaker volumeVolume Up keyNoOK
Decrease speaker volumeVolume Down KeyNoOK
Speaker MuteMute KeyNoOK
Mircophone MuteMute MicNoNO
NumLK on/offFn+NumLkNoNO
Page ForwardPage Forward KeyNoOK
Page BackwardPage Back KeyNoOK
TrackPoint function
YesOK

ブラウザキー(Page Forward Key、Page Back Key)については別エントリで無効化

[全体に関する追記]

オンラインマニュアルには以下の記述がある(P15)。
Fnファンクション・キーの組み合わせは、SLシリーズを除くすべてのThinkPadで機能します。Fnファンクション・キーの組み合わせのほとんどは、SLシリーズ、Lenovoデスクトップ・コンピューター、または他の製造メーカーのコンピューターでは機能しません。

ということは、Announcement Letterでは保険をかけていたということか。

[NumLkに関する追記の修正]

NumLkの動作はむしろ正常であることに気づいた。というのも、外部キーボードのNumLkとの関係については、本体のBIOSに設定があるので。「Config」から「Keyboard/Mouse」に入ると「ThinkPad NumLock」という項目がある。
ThinkPad USB Keyboard: BIOS Settings

この設定を「Synchronized」にすると、USBキーボードと本体のキーボードのNumLk状態は完全に同期する。この場合、USBキーボードのNumLk状態を示すオンスクリーン表示と、本体のNumLkのインジケータも同期する。

逆に「Independent」にすると(これまではこの設定になっていた)、このヘルプによれば、本体からNumLk入力した後の外部キーボードの状態は以下のようになる。
  • 本体がOnになっている状態では、「ThinkPad Numlock can be disabled independently of the Numlock state on an external keyboard.」ということで、本体からNumLk入力しても外部キーボードはOffにならない。
  • 本体がOffになっている状態では、「If ThinkPad Numlock is enabled, the external keyboard NumLk will also be enabled.」ということで、本体からNumLk入力すると外部キーボードもOnになる。
実際の動作は以下のとおりで、本体からNumLk入力した後はこのヘルプのとおりになる。外部キーボードからNumLk入力した後の本体の状態は元から保証されていない。
入力前の状態本体USBキーボード
OffOnOffOn
本体からNumLk入力後OK (On)OK (Off)OK (On)NO (On)
USBキーボードからNumLk入力後NO (Off)OK (Off)OK (On)OK (Off)

ただ、本体からのNumLk入力ではUSBキーボードのオンスクリーン表示は出ないので、その状態がわかりにくくはある。

3. 評価


キーボードは個々人の嗜好と、部品の個体差があるので一概に言うのは難しいが、
  • キータッチは少し重めのしっかりしたもので、かなり良い。個人的には600のキーボードを彷彿とさせる。旧型とは段違いと言っていい。
  • ただし、特に脚を立てた状態では、キーボード自体のわずかなばたつきも感じられる。この原因には、構造的にキーボードが筐体にネジで固定されてないこと、プラスチック筐体の柔さがあると思う。この点ではThinkPadのキーボードには及ばない(この点の出来はThinkPadでも良し悪しがあるが)。

  • TrackPointのクリックボタンは軽く、カチカチという音はしない。ただし、キーボードの底面が筐体に当たる音がする。

  • すっきりしたデザインと、つや消し黒の質感の高い仕上げで、キー間の隙間が狭いキーボードも相俟って、外観的には文句はない。
全体的に良い出来で、旧型は期待して買うと「あれ?」という感じがあったのに対して、新しいThinkPadのキーボードを反映した、期待に違わない出来だと思う。

個人的にしいて言えば、中を開けてキーボードの底面と下の筐体を両面テープで固定すればばたつきを完全に抑えられると思うが、上半分の固定に爪が使われていて開けにくい+ラベルの下にあるネジを外す必要があるのが難点か。

4. その他


Announcement Letterには寸法について以下の記述がある。
Physical specifications -- Unpackaged
  • Approximate weight: 0.97 lb (without palm rest) 440 g
  • Approximate height: 312.8 mm (12 in)
  • Approximate depth: 19 mm (0.75 in)
  • Approximate width: 220 mm (8.67 in)

重量は実測値で446gなので、概ねこのとおりだが、「without palm rest」については、パームレストは脱着式ではないし、パームレストが付いてこの重量なので、謎。

それから「ThinkPad USB Keyboard with TrackPoint」という名称について、ThinkPad用であること(特殊キーは)、USB接続であること、TrackPointがあることは旧型も変わらないので、意味的に旧型と区別できていない。ということを考えると、もっと特別な名前を付けるか、Logicoolの周辺機器のように記号番号を付けた方がいいと思う。

2009/09/02

1.8インチIDEのIndilinx SSD

PhotoFastのG-Monster 1.8 IDE V3の32GBモデル(PF18Z32GSSDIDEV3)をThinkPad X40に入れてみた。X40にはサムスンのZIFのSSDを入れていたが、SSDといっても最初期のもので、今となっては見劣りがするので。

1. 基板上の構成


プラスチックの外装を開けると、Indilinxのコントローラが現れる。
G-Monster 1.8 IDE V3: PCBG-Monster 1.8 IDE V3: PCB

全体の構成としては、
  • コントローラはIndilinxのIDX110M00-LC(Barefoot)
  • DRAMキャッシュとしてエルピーダのS51321CBH-6DTT-F。容量は512Mbit(=64MB)
  • PATAとSATAのブリッジとしてSunplusITのSATALink SPIF223A-HF022。このチップはPATAとSATAの変換アダプターでもよく使われている。
  • NANDフラッシュとしてサムスンのK9LBG08U0M×8。MLCで、容量は32Gbit(=4GB)×8=32GB。なお、チップ自体を重ねたりはしていない。
上3つは先に出ていた2.5インチIDEのG-Monster IDE V2と同じ。さらに上2つはSATAのG-Monster V3と同じもの。つまり、OCZのVertexをはじめとするIndilinxのSSDにブリッジチップを付けたものと考えてよいはず。ただし、フラッシュチップが8個なので、チャネル数も半分になる。

[参考] G-Monster IDE V2の基板
価格.comクチコミ掲示板: Let'snote R3換装成功

したがって、基本的にIndilinxのSSDとして情報を見ることができる。以下はCrystalDiskInfo(3.0.0 Beta2)とJSMonitor(0.4b)で見たところ。
G-Monster 1.8 IDE V3: CrystalDiskInfoG-Monster 1.8 IDE V3: JSMonitor

ファームウェアのバージョン番号は1571で、SATAのG-Monster V3と同じ。これはIndilinxのSSDに共通するIndilinx製のファームウェアなので、このことからしても、このSSDは普通のIndilinxのSSDをブリッジチップで変換しているだけだと思う。

なお、重量的には実測値で31g、基板だけでは17gになる。

ちなみに、基板の画像はエプソンのGT-X770でスキャンしたもの。スキャナーは簡単かつ非常に鮮明と、基板撮りには良いことづくめだが(裏面は基板の汚れまではっきり分かる)、センサーが斜め方向から見ているのか、凹凸のある部分は少し斜めになっている。なお、キャノンのCISセンサーのものは(薄型のスキャナと複合機にある)、わずかに離れただけでぼけるので基板撮りには使えない。

[参考] CCDセンサーとCISセンサーの違い
日経トレンディネット: スキャナーのCCDとCISの違いは?

2. X40に取り付ける


取り付けはIDEなのでそのまま挿して終わりかと思いきや、コネクタにうまく嵌りにくい。よく見ると、本体側のコネクタに被さる金属板が、微妙にSSDの外装に干渉していた。強引に押し込めば入らないでもないが、後で問題が起きても面倒なので、金属板の角の部分を削り取った。以下は仮組中の状態(赤矢印が削った部分)。
G-Monster 1.8 IDE V3: Trial fitting

その他は寸法的には問題なし。ブラケットにもそのまま収まる(ブラケットなしでも可)。
G-Monster 1.8 IDE V3: With the bracket

電源的にはPhotoFastのサイトではなぜか記載が落ちているが、3.3Vと5Vの両対応。実際にX40本体とウルトラベースの両方でそのまま問題なく動いた。
G-Monster 1.8 IDE V3: Package

認識も問題なし。
G-Monster 1.8 IDE V3: In BIOS settings

3. 性能とWiper


ベンチマーク的にはCrystalDiskMarkとHD Tune Proでは以下のようになる。
G-Monster 1.8 IDE V3: CrystalDiskMarkG-Monster 1.8 IDE V3: HD Tune Pro (File Benchmark)
(注)X40本体に入れた状態で、2GBのNTFSのパーティション(クラスタサイズは4KB)を作成し、ウルトラベースX4からXP SP3を起動して計測。
G-Monster 1.8 IDE V3: HD Tune Pro (Sequential Benchmark and Random Access)
  • CrystalDiskMarkでは、シーケンシャルライトの速度があまり出ていない。ただし、これは他の人の環境では出てたりするので、よく分からない。

    [参考]
    宇宙~いんまいぶれいん~: G-MonsterV3でX40とX41のSSD化を試してみた

  • HD Tune Proでは、シーケンシャルライトもそれなりに出ている。基本的にはきれいな直線。
  • HD Tune Proのランダムアクセスの数字はそれなりに高い。ただし、CrystalDiskMarkでもそうだが、4KBのランダムライトは公称の12MB/sの半分程度に留まる。
シーケンシャルライトは少し面白いところがあって、CrystalDiskMarkを続けるとその部分の速度が落ちてくるが、他のことをしているうちに回復して直線に戻る。以下は落ちた状態と戻る途中。
G-Monster 1.8 IDE V3: HD Tune Pro (Sequential Write Benchmark)

IndilinxのSSDの挙動はファームウェアで色々違うようだが、速度の自動回復のメカニズムは既に入っている模様。

ついでに、Wiper(Beta v3.0, Build Date: 2009-05-25)を実行してみたところ、一応正常に完了する。
G-Monster 1.8 IDE V3: Wiper 2

ただし、何度か試したが、XP SP3が正常に起動しなくなる問題が出た(症状は様々)。よって、そのままでは使えないが、バックアップしておいてレストアすればいいのだろう。それ以前に、自動回復がうまく働いていればその必要もないが。

2009/09/01

ThinkPadの起動ロゴ

ThinkPadの起動画面(電源を入れて最初に現れるもの)は背景をユーザー作成の画像に差し替え可能である。実用的な意味は別になく、何のためにあるのかよく分からないが、とにかく可能。やり方はBIOSのアップデートファイル中にあるREADME.TXTかBIOS_LOGO.TXTを参照。

適用するとこんな感じになる。テストベッドはX61s。


画像には以下の制限があるので、写真をそのままとかは無理。
  • サイズは640x480、色数は16色。
  • 同梱のツールで(そういうものまで同梱されているのが何か真面目)圧縮した状態で10KB以下。
  • 上に3箇所の固定要素が入るので、うまく躱さないといけない。
ということで、色々作成してみたもの。

まずは抽象図形。赤い軌跡。
Boot Logo: Red Crescent

白い放物線。
Boot Logo: White Arc

青い光芒。
Boot Logo: Blue Light

シルエット形式として、ミクその1。
Boot Logo: Miku 1

ミクその2。斜めの方が浮遊感がある。
Boot Logo: Miku 2

絵ということでは、輪郭のあるアニメ絵が向くと思う。Requiem for the Phantomのアイン改め江漣。起動していきなりこの視線に晒されると、少し怖いかもしれない。
Boot Logo: Ein

その他の