2009/09/07

新型ThinkPad USBキーボード

久々に出た新型のThinkPad USB Keyboard with TrackPoint(ThinkPad USBトラックポイントキーボード)が到着。英語版(FRU: 55Y9003)。基本情報はLenovo米国のAnnouncement Letterに、背景についてはDesign Mattersに説明がある(The Keyboard You Helped Design)。

1. 各部


X61sに接続した状態。キーボード自体は新配列のT400sとほとんど同じ。最近のThinkPadと同じく、横のエッジが立った、平たくすっきりした造形。
ThinkPad USB Keyboard with TrackPoint

新型(右)のフットプリント(314mm×222mm)は旧型(左)とほとんど同じだが、パームレスト部分がすっきりしている分、少し大きめに見える。
ThinkPad USB Keyboard: Top view

裏面も旧型(左)より新型(右)の方がすっきりしている。新型にはUSBハブがない分、USBケーブルの収納スペースが広い。ケーブル長も旧型の1mに対して新型は1.5mと、長くなっている。
ThinkPad USB Keyboard: Bottom view

新型(上)には旧型(下)のようなスライドパッドはないので、そのクリックボタン部分の張り出しもないが、パームレスト先端が少し薄く長くなっている。上2列はキーが平たく、わずかに高くなっているのが分かる。

旧型(左の下)の凝った脚に対して新型(左の上)の脚はシンプルだが、ラバーコートされている。高さは脚を立てない状態で19mm、立てた状態で37mm。表面仕上げは旧型(右の下)は黒でも少し青みがかっているが、新型(右の上)はThinkPadの筐体と同じつや消し黒。
ThinkPad USB Keyboard: FeetThinkPad USB Keyboard: Surface finish

[追記]

分解されたMacoteauさんによれば(トラックポイントキーボードを分解トラックポイントキーボードを分解 #2)、本当にT400sのキーボードをUSBに接続できるようにしたものと判明(ベンダーはNMBらしい)。電源ボタンのパターンまであるとは。

分解にはラベルの下の隠しネジを外す必要があるとのこと。

2. 動作


ドライバを入れるとマウスのプロパティにUSB TrackPointとしてタブが現れるので、TrackPointの設定が可能。このドライバはWindows 7にも対応と明記されている。
ThinkPad USB Keyboard: Mise property

特殊キーはT400sに合わせてあり、Announcement Letterによれば3桁以前のレガシーなThinkPadでは機能しないとされているものが多い。一方、レガシーなX60s/X61s上のXP SP3(システム制御ドライバーをインストール済み)で試したところ、T400s特有のマイクミュートとFn+F6のVoIPキー、NumLk以外は機能したので、まず問題なく使える。
Announcement Letterの記述実際の
動作
ThinPad
Hot Key
Function
Key
Operation
System
Models:
All other
legacy
systems
Lock your ComputerFn+F2NoOK
Manage battery & powerFn+F3NoOK
Enter sleep (standby)Fn+F4YesOK
Manage wireless settingsFn+F5NoOK
Change camera & microphone
settings
Fn+F6NoNO
Change display settingsFn+F7NoOK
Change input device settingsFn+F8YesOK
EasyEject UtilityFn+F9NoOK
Enter hibernationFn+F12NoOK
Magnify screen contentsFn+SpaceNoOK
Increase display brightnessFn+HomeNoOK
Decrease display brightnessFn+EndNoOK
Launch Lenovo ThinkVantage
Productivity Center
Blue button
(ThinkVantage)
YesOK
Increase speaker volumeVolume Up keyNoOK
Decrease speaker volumeVolume Down KeyNoOK
Speaker MuteMute KeyNoOK
Mircophone MuteMute MicNoNO
NumLK on/offFn+NumLkNoNO
Page ForwardPage Forward KeyNoOK
Page BackwardPage Back KeyNoOK
TrackPoint function
YesOK

ブラウザキー(Page Forward Key、Page Back Key)については別エントリで無効化

[全体に関する追記]

オンラインマニュアルには以下の記述がある(P15)。
Fnファンクション・キーの組み合わせは、SLシリーズを除くすべてのThinkPadで機能します。Fnファンクション・キーの組み合わせのほとんどは、SLシリーズ、Lenovoデスクトップ・コンピューター、または他の製造メーカーのコンピューターでは機能しません。

ということは、Announcement Letterでは保険をかけていたということか。

[NumLkに関する追記の修正]

NumLkの動作はむしろ正常であることに気づいた。というのも、外部キーボードのNumLkとの関係については、本体のBIOSに設定があるので。「Config」から「Keyboard/Mouse」に入ると「ThinkPad NumLock」という項目がある。
ThinkPad USB Keyboard: BIOS Settings

この設定を「Synchronized」にすると、USBキーボードと本体のキーボードのNumLk状態は完全に同期する。この場合、USBキーボードのNumLk状態を示すオンスクリーン表示と、本体のNumLkのインジケータも同期する。

逆に「Independent」にすると(これまではこの設定になっていた)、このヘルプによれば、本体からNumLk入力した後の外部キーボードの状態は以下のようになる。
  • 本体がOnになっている状態では、「ThinkPad Numlock can be disabled independently of the Numlock state on an external keyboard.」ということで、本体からNumLk入力しても外部キーボードはOffにならない。
  • 本体がOffになっている状態では、「If ThinkPad Numlock is enabled, the external keyboard NumLk will also be enabled.」ということで、本体からNumLk入力すると外部キーボードもOnになる。
実際の動作は以下のとおりで、本体からNumLk入力した後はこのヘルプのとおりになる。外部キーボードからNumLk入力した後の本体の状態は元から保証されていない。
入力前の状態本体USBキーボード
OffOnOffOn
本体からNumLk入力後OK (On)OK (Off)OK (On)NO (On)
USBキーボードからNumLk入力後NO (Off)OK (Off)OK (On)OK (Off)

ただ、本体からのNumLk入力ではUSBキーボードのオンスクリーン表示は出ないので、その状態がわかりにくくはある。

3. 評価


キーボードは個々人の嗜好と、部品の個体差があるので一概に言うのは難しいが、
  • キータッチは少し重めのしっかりしたもので、かなり良い。個人的には600のキーボードを彷彿とさせる。旧型とは段違いと言っていい。
  • ただし、特に脚を立てた状態では、キーボード自体のわずかなばたつきも感じられる。この原因には、構造的にキーボードが筐体にネジで固定されてないこと、プラスチック筐体の柔さがあると思う。この点ではThinkPadのキーボードには及ばない(この点の出来はThinkPadでも良し悪しがあるが)。

  • TrackPointのクリックボタンは軽く、カチカチという音はしない。ただし、キーボードの底面が筐体に当たる音がする。

  • すっきりしたデザインと、つや消し黒の質感の高い仕上げで、キー間の隙間が狭いキーボードも相俟って、外観的には文句はない。
全体的に良い出来で、旧型は期待して買うと「あれ?」という感じがあったのに対して、新しいThinkPadのキーボードを反映した、期待に違わない出来だと思う。

個人的にしいて言えば、中を開けてキーボードの底面と下の筐体を両面テープで固定すればばたつきを完全に抑えられると思うが、上半分の固定に爪が使われていて開けにくい+ラベルの下にあるネジを外す必要があるのが難点か。

4. その他


Announcement Letterには寸法について以下の記述がある。
Physical specifications -- Unpackaged
  • Approximate weight: 0.97 lb (without palm rest) 440 g
  • Approximate height: 312.8 mm (12 in)
  • Approximate depth: 19 mm (0.75 in)
  • Approximate width: 220 mm (8.67 in)

重量は実測値で446gなので、概ねこのとおりだが、「without palm rest」については、パームレストは脱着式ではないし、パームレストが付いてこの重量なので、謎。

それから「ThinkPad USB Keyboard with TrackPoint」という名称について、ThinkPad用であること(特殊キーは)、USB接続であること、TrackPointがあることは旧型も変わらないので、意味的に旧型と区別できていない。ということを考えると、もっと特別な名前を付けるか、Logicoolの周辺機器のように記号番号を付けた方がいいと思う。

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