ReadyNAS Ultra 2の速度については、CPUのAtom 1.8GHzは現時点のAtom機としては最高クロックで、ソフトウェアRAIDもミラーリングだけだから負荷は低そうだし、同時に色々とやらせるのでもなければSingle coreもDual coreも変わらないだろうから、ReadyNASの中で速度に劣るということはないと思う。
そのUltra 2がどれぐらいの速度を示すのか。
(このエントリは一続きのエントリの2/5)
2.0. 環境
最初に、計測環境は以下のとおり。
- 使用するHDDの素の性能(PCに内蔵した場合、シーケンシャルアクセス)は以下のようなもの。
- Momentus 5400.5の320GBモデル: 65MB/s前後(関連エントリ)
- Travelstar 5K500.Bの500GBモデル: 85MB/s前後(関連エントリ)
- Deskstar 7K3000の2TBモデル: 160MB/s前後(関連エントリ)
- ディスク構成は全て同じHDD×2によるX-RAIDまたはX-RAID2。Flex-RAIDにすれば何か変わるかもしれないが、ReadyNASのメリットを半分捨てるようなものだと思うので。
- ネットワークは全てハブ(BuffaloのLSW-GT-5W)を介しての接続。前に見たとおり、このハブがボトルネックになることはないと思う。
- Ultra 2のRAIDiatorは4.2.15。Duoの方は4.1.7で、メモリは1GBに換装してある。
2.1. ネットワーク速度
Windowsで普通にCIFSで共有したときの速度はどうか。
改めてDuoについて
先に、改めてReadyNAS Duoの速度について幾つか確認しておく。というのも、クライアントPCにWindows 7を使うようになって結構変化があったので。
第一にジャンボフレームについて、クライアントPCのThinkPad X61sのネットワークアダプター(Intel 82566MM Gigabit Network Connection)にはジャンボフレームの設定がないが、ReadyNAS側のジャンボフレームの設定を変えるとどうなるか。
まずX61s上のXP SP3からCrystalDiskMark(3.0.1)で計測したのが以下。HDDは7K2000と5400.5の状態。
7K3000ではジャンボフレームはほとんど関係ないが、5400.5ではジャンボフレームを有効にするとシーケンシャルアクセス、とくにライトが激しく落ちる。
次に同じくX61s上のWindows 7 64bitから。
傾向はXPと同じで、5400.5ではジャンボフレームを有効にすると速度が激しく落ちる。これは5K500.Bの状態でも全く同じだった。ということを踏まえて、以下では基本的に無効にしている。
ジャンボフレームが無効のときで比べると、Windows 7の方がシーケンシャルリードで10MB/sぐらい速い。
そこで第二に、Windows 7とXPでテストサイズを100MBと1000MBにした場合を、それぞれ7K3000と5400.5の状態で比べる。
全体的にシーケンシャルアクセスはWindows 7の方が速いことが分かる。
第三にボリューム使用量について、使用量によって速度に変化があるか。言い換えれば、ボリュームが埋まっていくと速度が遅くなったりするか。ということで、使用量を0%、33%、66%の三段階に調整した上で、Windows 7から7K3000と5K500.Bの状態で確認する。なお、5K500.Bは1年ぐらい常用していた状態で、細かいファイルが大量にあるので、フラグメンテーションが進んでいると思う。
使用量によってほとんど差は出なかった。
第四に、Windows 7からでテストサイズが1000MBの場合の、3種類のHDDの結果を並べると、
HDDによって見るべき差ははないことが分かる。
まとめると、
- ReadyNAS側でジャンボフレームを有効にしても、(X61sからは)速度が上がらないばかりか落ちることがある。これはジャンボフレームの設定が合ってないときにはあり得ることだが。
- Windows 7にしただけでXPより速くなる。
- HDDによって、または、ボリューム使用量によって、速度はほとんど変わらない。したがって、こういうことを気にかけても意味はない。
Ultra 2の場合
さて、Ultra 2であるが、初っ端にいきなり問題にぶつかった。
デフォルトの状態ではリードの速度がまるで出ない。初期不良かと思ったが、調べてみると、デフォルトで有効になっているLowLatencyという機能をOFFにすることが有効だった(
CIFSでのNAS→PCのコピーが異常に遅い)。以下はこのLowLatencyのON/OFFによる違い。
LowLatencyがOFFのときが正常だと思うので、以下は全てこの設定で行く。
気を取り直して、第一にジャンボフレームについて確認しておく。Windows 7から7K3000と5400.5の状態。
ジャンボフレームが有効でも5400.5はさほど変わらないが、7K3000の方はライトが落ちている。いずれにせよ、ジャンボフレームでいいことはないので、無効で行くことにする。
第二に、ボリューム使用量による差をDuoと同じように見てみる。7K3000の状態。
やはり違いは出ない。
第三に、3種類のHDDの結果を並べると、
よく分からないことになった。7K3000が一番速いのは順当なのでそれはいいとして、5400.5もリードではそれほど変わらない。これらに対して、5K500.Bは大きく落ちている。確かに5K500.Bは1年ぐらい使用歴があるが、それはその前に使っていた5400.5も同じだったりする。いずれにせよ、素の性能差ほどの違いがあるわけでも、素の性能が素直に出てくるわけでもない。
一応、Duoとの比較では、全体的にリードもさることながら、ライトが大きく上昇していることが分かる。
Iometer
別のやり方として、Netgearが性能の示標に使っているIometerではどうなるか。設定ファイルのiometer.icfはNetgearのもの(
How to optimize the ReadyNAS performance)を利用し、テストサイズはUltra 2の
製品紹介ページと同じ9GBにして計測してみた。
このIometerによる計測はこれまでやったことがなかったが、何これ? という結果。確かにライトではUltra 2はDuoより10MB/sぐらい上がっているが、リードでは
Duoの時点でGbEの実用上の上限に近い100MB/sに達している。結果として、Ultra 2でさほど上がっているわけでもない。また、HDDによる差もあまり出てない。
性能の示標としては継続性が大事なのは分かるが、このIometerの計測方法ではGbEの上限に引っ掛かってしまって、本当の差が(あるとして)見えなくなっている可能性がある。これを今時の示標に使うのはどうかと思う。
Acronis True Image
また別のやり方として、 Acronis True Image 2010 Homeによるバックアップ/リカバリーの時間を計測してみた。USBメモリからブートし、X61s上のX25-Mに対して、ReadyNASへ直接バックアップ/ReadyNASから直接リカバリーを行う。対象はWindows 7のシステム兼ブートパーティションで、サイズは18.4GiB、使用領域は13.2GiB、ファイル数は73,836。
| HDD | ReadyNASへの
バックアップ | ReadyNASからの
リカバリー |
処理時間
(sec) | 処理速度
(MB/s) | 処理時間
(sec) | 処理速度
(MB/s) |
| Ultra 2 |
| 7K3000 | 607 | 23.51 | 345 | 41.36 |
| 5400.5 | 600 | 23.78 | 349 | 40.89 |
| Duo |
| 7K3000 | 860 | 16.59 | 666 | 21.43 |
| 5400.5 | 863 | 16.54 | 655 | 21.79 |
それぞれの処理中にずっとReadyNASにアクセスしているわけではないが、処理時間ではUltra 2はDuoよりバックアップで約30%、リカバリーで約50%の短縮を見せている。一方、HDDによる差はほとんどない。
まとめ
ネットワーク速度は突き詰めると深いし、手間もかかるのでこれぐらいに留めるが、
- Ultra 2でシーケンシャルリードはDuoから最大1.5倍(HDDによる)、ライトは2倍に上がった。
- 内蔵するHDDによる差はそれほどない。HDDの速度がそのままReadyNASの速度に反映されるわけでもないので、とくに気にする必要はないと思う。
- ボリューム使用量による速度への影響はほとんどない。
2.2. USB3.0ポートの速度
NAS上のデータのバックアップもやり方は色々あるが、外付けHDDを繋げてさくさくコピーできれば、それが一番シンプルで楽だと思う。が、DuoのUSB2.0ポートは遅すぎて、バックアップに使うにはあまり実用的でなかった。
その点、Ultra 2は前面のUSBポートがUSB3.0になっていて、普通のPCでのUSB3.0ポートの例を見るとほぼHDDの素の速度で接続できるようなので、Ultra 2でもそういう速度が出ればと結構期待していた。
とりあえず、USB HDDとして、USB3.0対応のシンプルBOX2.5(CSS25U3BL)に5K500.Bの120GBモデルを入れ、X61sからNTFSのパーティションを作成の上、Ultra 2とDuoにそれぞれ接続し、X61sからCIFSで共有してCrystalDiskMarkで計測した。テストサイズは100MBと1000MBで、同時にReadyNAS側の「高速USBディスクの書込み」の設定の違いも確認してみる。
まず「高速USBディスクの書込み」を有効にすることによる速度向上は見られない。となれば、わざわざ有効にする必然性がなくなる。
問題は、Duoのライトの壊滅的な遅さは放っといて、Ultra 2のライトも微妙なこと。これぐらいの速度ならUSB2.0でも出ないことはない。
確認として、CSS25U3BLに7K3000を繋げた場合と、Green HouseのUSB3.0対応のGH-HDC3035AKに5K500.Bを入れた場合、それからUSB2.0のLaCie little diskの500GBモデルも計測してみる。テストサイズは1000MBで(100MBではLaCie little diskで異常に高い値が出る)、「高速USBディスクの書込み」は無効。
USB3.0の3つの場合は、どれも大体同じ結果が出ている。リードの方はさすがUSB2.0ではあり得ない速度だが、ライトの方はLaCie little diskとほとんど変わらない。
ただ、これはあくまでネットワークを介してX61sから見たときの話なので、Ultra 2との間だけならどうか、というのが次。
バックアップジョブ
ReadyNASではFrontviewから設定するバックアップジョブで直接ファイルの転送ができる。これを使ってReadyNAS内のフォルダとUSB HDDの間でファイルを転送するバックアップジョブを作成し、この所要時間をログで見てみる。
対象はAcronis True Imageのイメージファイル計31.5GiB。USB HDDはCSS25U3BLに5K500.Bを入れて、ファイルシステムをそれぞれExt3とNTFSにした場合で、比較のためLaCie little diskも加えた。
| 速度(MB/s) |
CSS25U3BL
+ 5K500.B | LaCie
litte disk |
| 高速USBディスクの書込み | 有効 | 無効 |
| USB HDDのファイルシステム | Ext3 | NTFS |
| Ultra 2 --> USB HDD | 13.75 | 13.88 | 18.27 | 17.04 |
| USB HDD --> Ultra 2 | 49.81 | 49.89 | 46.46 | 27.08 |
左側から順に行ったが、「高速USBディスクの書込み」はやはり意味がなかった。また、Ext3よりNTFSの方がリードは速いことが分かる。
USB HDDからUltra 2へのリードはUSB2.0を超えているが、Ultra 2からUSB HDDへのライトはLaCie little diskと大差なかった。つまり、X61sからCrystalDiskMarkで計ったときと傾向は同じ。
まとめ
結局、Ultra 2のUSB3.0ポートは、リードではともかく、ライトではUSB2.0並みというのが現段階での結論(
Slow USB3 Backup - No faster than USB2)。勿論、それでもDuoのUSB2.0ポートよりは、はるかにましだが。
また、単純に速度の問題だけでなく、USB HDDの認識などにも変なところがあるので(
Ultra 2におけるUSB3.0の動作)、根本的にRAIDiatorのUSB3.0関連部分がまだ熟成されてない様子。
いずれも今後のアップデートに期待。
[追記]
RAIDiatorを4.2.19にアップデートして、どうなったかを確認してみた。まずは速度。CSS25U3BLに5K500.Bを入れてX61sから見た場合で、以下のとおり。
とくに変化なし。いい加減速度については諦めが入ってきた。ちなみに、X61sのUSB2.0ポートに直接接続した場合は以下のとおり。
一応、Ultra 2経由でもUSB3.0で接続した方が、直接USB2.0で接続するよりかは速い。
次に認識などについて、4.2.15時点であった問題は以下の2点。
- CSS25U3BLを挿した状態でUltra 2をブートすると、CSS25U3BLが認識されない。
- バックアップボタンの長押しでCSS25U3BLがアンマウントされない。
このうち2.は4.2.16で解決していたが、1.はまだだった。それが4.2.19では解決していた。よって、この問題は終了。
なお、自分が気づいた若干の注意点。
- アンマウントするときは、バックアップボタンをその上のLEDが消えるまで押し続けた方がよい。アンマウントの所要時間は一定していないので、中途半端に指を離すとUSB HDDへのバックアップ動作が始まってしまう。
- USB HDDには「usb_hdd_6」など番号の付いたフォルダー名が割り当てられるが、この番号はHDDがフォーマットされると変わる(ファイルシステムなどが同じでも)。したがって、ネットワークドライブに割り当てている場合は、フォーマットの度に割り当て直す必要がある。
次に
動作音について。