2009/09/19

HTV到着

18日朝、HTVがISSに到着、結合された。
(NASAのHuman Space Flight Galleryより)

まだISSから分離して大気に落下させるまでプロジェクトとして完了ではないが、ロケットと宇宙機という巨大技術がまだ成熟には遠い中で、初号機でここまで出来たのは良かった。周辺環境や今後のことなど必ずしも容易ではないのだろうが、まずは成功したことは良かった。



スペースシャトルの落日~失われた24年間の真実~宇宙への輸送といえば、少し前に松浦晋也さんの『スペースシャトルの落日』を読んだ。内容にもう少し技術的な詰めが欲しかったが(基本的な材料は提示されている)、メッセージは初めから明快で、「スペースシャトルは宇宙船として巨大な失敗作である。」ということである(P6)。

かつて子供心に、使い捨てロケットの後は宇宙往還機で、そのまま普通に宇宙旅行する時代が来ると直線的な未来を信じて、途中で事故はあっても、それを乗り越えて進んでいくのだと思っていた。それが、そのうちスペースシャトルの退役と使い捨てロケットへの回帰と変わり、腑に落ちないままだった。

しかし、初飛行以来30年近くにわたる実績が、当初の期待(と世界が思わされてきたもの)を大きく下回ることは事実で、細かい技術論は抜きにして、失敗作と扱われても仕方がないと思う。

いや、もっと予算を投入して改良を続けていけば化けたのかもしれないが、NASAの潤沢な予算をもってしての(他の宇宙機関に比べれば)30年近い結果がこれなのだから、どうにもならない。

HTVが成功し、NASAもアレスで使い捨てロケットに回帰すれば、ロシアと欧州、それに民間のSpaceXを含めて宇宙への輸送は使い捨てロケットの時代に戻ることになる。端から見ると時代が巻き戻るようで面白くないが、宇宙往還機が時代より早すぎたとすれば仕方がない。

当分はそうとして、さらに先の未来を想像してみると、
  1. カプセル型宇宙機が大化けする(垂直に宇宙港に降りてくるような)。
  2. 人間だけ乗せる小型の往還機をロケットの先端に取り付ける形(HOPEのような)になる。
  3. 空中発進型の往還機(SpaceShipOneのような)が一気に進む。
意外と、消えゆく運命と思っていたカプセル型宇宙船の復権で、想像を膨らませる範囲は広がったのかもしれない。

2009/09/13

Intel SSD Toolbox(予定)

12日に行われた「Intel Technology Day in Akiba 2009」におけるIntel天野氏のプレゼンテーションで、IntelのSSDのS.M.A.R.T.について言及があった。AKIBA PC Hotline!に動画と資料の写真がある(「だれにも聞けないSSDの疑問」を「神様」が解説 XP/Vista用のTrimツールも準備中、廉価版の話題も)。

この中のQ6で(動画の11:38から)、SSDの寿命を判断するためのS.M.A.R.T.の項目として以下を挙げている(Q6の資料による。項目名は口頭とは少し違い、Q7の資料とも少し違うので、正式なものか不明)。
  • E1: Host Writesインジケータ(書き込み量の統計)
  • E9: Media Wearインジケータ(ウェアレベリングのレベル)
  • E8: Available Reserved Space(予備領域の残り)
また、Q7では、S.M.A.R.T.の値を見るためのツールとしてWindowsベースの「SSD Toolbox」を開発中であり、Q4に、すなわちWindows 7が出るぐらいまでにリリースしたいとのこと(SSD事業部のスケジュールは遅れがちで信用できないという問題があるらしいが)。

ということで、ようやくというか、意外に早くというか、S.M.A.R.T.の情報が公開されそうである。静かに社内で粛々と準備を進めてきていたわけで、結構なことである。

この「SSD Toolbox」のS.M.A.R.T.項目はこんな感じ(Q7の資料から。RC版らしい)。
IDDescriptionRawValueWorstThreshold
04Start/Stop Count01001000
05Re-allocated Sector Count71001000
09Power-On Hours Count51001000
0CPower Cycle Count51001000
C0Power-off Retract Count31001000
E1LBA's Written47682002000
E8Available Reserved Space0999910
E9Media Wearout Indicator099990
B8End-to-End Data Integrity Error Count010010099
(注)B8は第二世代(G2)から追加されたもの。

以前に酷使したX25-Mは現在以下のとおり。E1、E9、E8は変わってないが、いつの間にか05が1になっている。
CrystalDiskInfo (05:1)

E1の書き込み量と、E8の予備領域はまあ分かるし、しきい値からすれば余裕がありそうだが、E9の「Media Wearout Indicator」は口頭の説明でもよく分からなかった。ついでに05との関係も気になるところ。

その辺を含めて、細かい見方については然るべきときが来れば説明するとのことなので、今後に期待。

ちなみに、プレゼンテーションの最後はSSD事業部の人によるビデオで、
  • SSDを熱い砂漠上でバイク車で轢く
  • SSDを投擲する
  • SSDをジェットエンジンのドラッグカーの噴射で吹き飛ばす
この後でそれぞれSSDをノートに挿して起動してみせるもので、馬鹿馬鹿しくて笑える。

[追記1]

ひよひよさんがCrystalDiskInfoで早速、対応されている(CrystalDiskInfo 3.0.0 RC5)。
CrystalDiskInfo 3.0.0 RC5

和訳は、難しい。

[追記2]

Intel自身がまともな和訳を付けてくれるのが一番なので、以下はIntelへの駄目元のメッセージ。

「Intel日本の方、まともな和訳を付けてくださーい。Matrix Storage Consoleの「生成」なんて恥ずかしい訳にならないようにお願いしまーす!(というか、Matrix Storage Consoleの方も直した方がいいですよ)」

(参考)Intel Matrix Storage Consoleの「生成」問題

SATAの転送モードが現在どうなっているかを示す部分に、日本語では「生成」という単語が出てくるが、何かの用語かと思いきや、英語の「Generation」の誤訳である問題。
  • 150MB/s =「Generation 1」(意味的に近いのは第一世代)→「生成 1」
  • 300MB/s =「Generation 2」(同じく第二世代)→「生成 2」
「Generation」には、辞書的には「代」「世代」という意味の他に「生成」という意味もあるが、それを取り違えたものと思われる。
Intel Matrix Storage Console

この和訳を作成した人の問題もさることながら、それがそのままリリースされ、現在に至るも修正されていないことが(上は2009年9月時点の最新の8.9.0.1023)Intel社内のチェック体制に不安を抱かせるものとなっている。

なお、どうしても気になる場合は、PlugInSATA_JPN.dll中のリソースを書き換えてしまう方法がある。

[追記3]

SATAの転送モードは、Intel Rapid Storage Technology 10.1.0.1008では「1.5 Gb/秒」、「3.0 Gb/秒」といった転送速度で示されるようになった。
Intel Rapid Storage Technology

2009/09/07

新型ThinkPad USBキーボード

久々に出た新型のThinkPad USB Keyboard with TrackPoint(ThinkPad USBトラックポイントキーボード)が到着。英語版(FRU: 55Y9003)。基本情報はLenovo米国のAnnouncement Letterに、背景についてはDesign Mattersに説明がある(The Keyboard You Helped Design)。

1. 各部


X61sに接続した状態。キーボード自体は新配列のT400sとほとんど同じ。最近のThinkPadと同じく、横のエッジが立った、平たくすっきりした造形。
ThinkPad USB Keyboard with TrackPoint

新型(右)のフットプリント(314mm×222mm)は旧型(左)とほとんど同じだが、パームレスト部分がすっきりしている分、少し大きめに見える。
ThinkPad USB Keyboard: Top view

裏面も旧型(左)より新型(右)の方がすっきりしている。新型にはUSBハブがない分、USBケーブルの収納スペースが広い。ケーブル長も旧型の1mに対して新型は1.5mと、長くなっている。
ThinkPad USB Keyboard: Bottom view

新型(上)には旧型(下)のようなスライドパッドはないので、そのクリックボタン部分の張り出しもないが、パームレスト先端が少し薄く長くなっている。上2列はキーが平たく、わずかに高くなっているのが分かる。

旧型(左の下)の凝った脚に対して新型(左の上)の脚はシンプルだが、ラバーコートされている。高さは脚を立てない状態で19mm、立てた状態で37mm。表面仕上げは旧型(右の下)は黒でも少し青みがかっているが、新型(右の上)はThinkPadの筐体と同じつや消し黒。
ThinkPad USB Keyboard: FeetThinkPad USB Keyboard: Surface finish

[追記]

分解されたMacoteauさんによれば(トラックポイントキーボードを分解トラックポイントキーボードを分解 #2)、本当にT400sのキーボードをUSBに接続できるようにしたものと判明(ベンダーはNMBらしい)。電源ボタンのパターンまであるとは。

分解にはラベルの下の隠しネジを外す必要があるとのこと。

2. 動作


ドライバを入れるとマウスのプロパティにUSB TrackPointとしてタブが現れるので、TrackPointの設定が可能。このドライバはWindows 7にも対応と明記されている。
ThinkPad USB Keyboard: Mise property

特殊キーはT400sに合わせてあり、Announcement Letterによれば3桁以前のレガシーなThinkPadでは機能しないとされているものが多い。一方、レガシーなX60s/X61s上のXP SP3(システム制御ドライバーをインストール済み)で試したところ、T400s特有のマイクミュートとFn+F6のVoIPキー、NumLk以外は機能したので、まず問題なく使える。
Announcement Letterの記述実際の
動作
ThinPad
Hot Key
Function
Key
Operation
System
Models:
All other
legacy
systems
Lock your ComputerFn+F2NoOK
Manage battery & powerFn+F3NoOK
Enter sleep (standby)Fn+F4YesOK
Manage wireless settingsFn+F5NoOK
Change camera & microphone
settings
Fn+F6NoNO
Change display settingsFn+F7NoOK
Change input device settingsFn+F8YesOK
EasyEject UtilityFn+F9NoOK
Enter hibernationFn+F12NoOK
Magnify screen contentsFn+SpaceNoOK
Increase display brightnessFn+HomeNoOK
Decrease display brightnessFn+EndNoOK
Launch Lenovo ThinkVantage
Productivity Center
Blue button
(ThinkVantage)
YesOK
Increase speaker volumeVolume Up keyNoOK
Decrease speaker volumeVolume Down KeyNoOK
Speaker MuteMute KeyNoOK
Mircophone MuteMute MicNoNO
NumLK on/offFn+NumLkNoNO
Page ForwardPage Forward KeyNoOK
Page BackwardPage Back KeyNoOK
TrackPoint function
YesOK

ブラウザキー(Page Forward Key、Page Back Key)については別エントリで無効化

[全体に関する追記]

オンラインマニュアルには以下の記述がある(P15)。
Fnファンクション・キーの組み合わせは、SLシリーズを除くすべてのThinkPadで機能します。Fnファンクション・キーの組み合わせのほとんどは、SLシリーズ、Lenovoデスクトップ・コンピューター、または他の製造メーカーのコンピューターでは機能しません。

ということは、Announcement Letterでは保険をかけていたということか。

[NumLkに関する追記の修正]

NumLkの動作はむしろ正常であることに気づいた。というのも、外部キーボードのNumLkとの関係については、本体のBIOSに設定があるので。「Config」から「Keyboard/Mouse」に入ると「ThinkPad NumLock」という項目がある。
ThinkPad USB Keyboard: BIOS Settings

この設定を「Synchronized」にすると、USBキーボードと本体のキーボードのNumLk状態は完全に同期する。この場合、USBキーボードのNumLk状態を示すオンスクリーン表示と、本体のNumLkのインジケータも同期する。

逆に「Independent」にすると(これまではこの設定になっていた)、このヘルプによれば、本体からNumLk入力した後の外部キーボードの状態は以下のようになる。
  • 本体がOnになっている状態では、「ThinkPad Numlock can be disabled independently of the Numlock state on an external keyboard.」ということで、本体からNumLk入力しても外部キーボードはOffにならない。
  • 本体がOffになっている状態では、「If ThinkPad Numlock is enabled, the external keyboard NumLk will also be enabled.」ということで、本体からNumLk入力すると外部キーボードもOnになる。
実際の動作は以下のとおりで、本体からNumLk入力した後はこのヘルプのとおりになる。外部キーボードからNumLk入力した後の本体の状態は元から保証されていない。
入力前の状態本体USBキーボード
OffOnOffOn
本体からNumLk入力後OK (On)OK (Off)OK (On)NO (On)
USBキーボードからNumLk入力後NO (Off)OK (Off)OK (On)OK (Off)

ただ、本体からのNumLk入力ではUSBキーボードのオンスクリーン表示は出ないので、その状態がわかりにくくはある。

3. 評価


キーボードは個々人の嗜好と、部品の個体差があるので一概に言うのは難しいが、
  • キータッチは少し重めのしっかりしたもので、かなり良い。個人的には600のキーボードを彷彿とさせる。旧型とは段違いと言っていい。
  • ただし、特に脚を立てた状態では、キーボード自体のわずかなばたつきも感じられる。この原因には、構造的にキーボードが筐体にネジで固定されてないこと、プラスチック筐体の柔さがあると思う。この点ではThinkPadのキーボードには及ばない(この点の出来はThinkPadでも良し悪しがあるが)。

  • TrackPointのクリックボタンは軽く、カチカチという音はしない。ただし、キーボードの底面が筐体に当たる音がする。

  • すっきりしたデザインと、つや消し黒の質感の高い仕上げで、キー間の隙間が狭いキーボードも相俟って、外観的には文句はない。
全体的に良い出来で、旧型は期待して買うと「あれ?」という感じがあったのに対して、新しいThinkPadのキーボードを反映した、期待に違わない出来だと思う。

個人的にしいて言えば、中を開けてキーボードの底面と下の筐体を両面テープで固定すればばたつきを完全に抑えられると思うが、上半分の固定に爪が使われていて開けにくい+ラベルの下にあるネジを外す必要があるのが難点か。

4. その他


Announcement Letterには寸法について以下の記述がある。
Physical specifications -- Unpackaged
  • Approximate weight: 0.97 lb (without palm rest) 440 g
  • Approximate height: 312.8 mm (12 in)
  • Approximate depth: 19 mm (0.75 in)
  • Approximate width: 220 mm (8.67 in)

重量は実測値で446gなので、概ねこのとおりだが、「without palm rest」については、パームレストは脱着式ではないし、パームレストが付いてこの重量なので、謎。

それから「ThinkPad USB Keyboard with TrackPoint」という名称について、ThinkPad用であること(特殊キーは)、USB接続であること、TrackPointがあることは旧型も変わらないので、意味的に旧型と区別できていない。ということを考えると、もっと特別な名前を付けるか、Logicoolの周辺機器のように記号番号を付けた方がいいと思う。