2010/01/26

X40の限界

ThinkPad X40(IDEの1.8インチHDD専用)に変換基板を介してSATAのSSDを繋げた場合、どの程度の性能まで期待できるかを確認してみた。

1. 先例

IDEとSATAの間の変換基板を介してSATAのSSDを繋げた例として、以下が見つかる。
いずれも変換基板はTEFTECの変換名人シリーズのSATA-44A(同じものが複数のルートで流通している)を使用。結線の本数は少ないので、MicroSATAコネクタを調達すれば(SSDの基板に直接、チップを傷めずにハンダ付けする自信はないので)何とかできなくもないように思う。

2. 実験

既にIDEコネクタのSSD(G-Monster 1.8 IDE V3)があるので(これもSATAのSSDをオンボードでIDEに変換しているわけだが)、性能的に交換する意味がありそうな1.8インチ以下のSSDとなると、IntelのX18-Mぐらいしか思いつかない。そこでX18-Mを繋いだらどうなるか、同性能のX25-Mを実験的に繋いで確認してみる。

変換基板は先例と同じSATA-44A。延長用のSATAケーブル(コネクタの一部を削ってある)を使用。
X40 + IDE-SATA bridge

これにX25-Mを接続。電源は別途供給する。
X40 + IDE-SATA bridge + X25-M

この状態でCrystalDiskMarkを行うと以下のようになる。
CrystalDiskMark: X40 + IDE-SATA bridge + X25-M

X25-Mをもってしてこの程度。ReadはPATA(Ultra DMA mode 5)の上限(100MB/s)を考えればそれなりだが、Writeは本来の速度が出ていない。

参考までに、G-Monster 1.8 IDE V3では以下のとおり。それぞれ得手不得手があるが、全体的にはたいして違わない。
G-Monster 1.8 IDE V3: CrystalDiskMark

試しに、Travelstar 5K500.Bを繋ぐと以下のようになる。
CrystalDiskMark: X40 + IDE-SATA bridge + 5K500.B

なぜかシーケンシャルライトの速度がSSD勢より出ているが、本来の速度よりは低い。

3. 結論

これ以上SSDを交換してもX40側の限界で性能発揮は難しいことが分かった。諦めが付いた。

2010/01/22

HDDスピーカーとシーク音

HDDからシーク音が出る理由が長い間の疑問だったが、それが解消したという話。

1. HDDスピーカー自作

HDDスピーカーそのものはYouTubeなどでは一つのジャンルを成していて、少し興味はあったが、作り方を調べるまで追求はしてなかった。それが、HDDスピーカー自作の同人誌「HDDスピーカーの作り方」が出ているという。


とりあえずYouTubeに出ている例を見ると、工作としてはボイスコイルモーター(VCM)のコイルに線を2本繋げるだけらしい。ということで、手許の死んだHDD(Travelstar 5K320)で試してみた。

VCMのコイルからは2本の線が出ている。それを辿っていくと、フレキシブルケーブルを通って、筐体外側のコネクタに繋がる。

コネクタにはPCBに接するピンが出ている。

PCBでは筐体側にある接点からビアを通してパターンが走っているので、その途中で古いイヤホンの線をハンダ付けした。極性は分からないので適当。なお、 5K320のPCBは練習で潰してしまったので、これは4K40のもの。

組み立て直したところ。別にPCBを切る必要はないが。
HDD Speaker: Backside

これでPCスピーカーのヘッドホン端子に繋ぎ、音量を最大にしてみる。

(曲はトラボルタさん作の「ココロ」)

正直、びっくりした。ちゃんと曲が聴ける。
  • VCM単体では音量は小さい。これを増幅するため、ヘッドをプラッタに落としたほか、下にボウル、上に計量カップを配置している。
  • 高音はそれなりに出るが、低音はない。音質は増幅のやり方次第で変わる。
  • アームは全く動かない(肉眼では)。ヘッドホンを見てもドライバーの振動は見えないのと同じだと思う。(ヘッドをランプにアンロードした状態から)ロードさせるだけの力が入力にない模様。
自分でやってみて、店頭展示について思ったこと。
  • 音量が小さいというのはある意味当然で、スピーカーをコーンもなくコアのドライバーだけで鳴らしているようなものだから。
  • アームの動きを見せるためにはVCMに音を増幅させるものを付けられないわけで、音と動きの両方を見せるには、複数台で共鳴板を追加した音係と、腕振り係を組み合わせた方がいいと思う。
2. HDDのシーク音

先日の機会に、HDDから音が出る理由の話になったとき、それはVCMが動くときに上下の永久磁石に磁力がかかって微妙に動くから(うろ覚え)という話をうかがった。

VCMがスピーカーのボイルコイルに由来することは知っていたが、それが実際に音を出すポテンシャルを持っていたことをこのHDDスピーカーで初めて認識した。つまり、VCMを駆動する力が、同時にスピーカーと同じ原理で音も発生させるわけである、おそらく。アームを動かせないような入力でも立派に曲が聴けるのだから。

ゆえに、HDDからシーク音が出る理由を訊かれることがあるとすれば、自信をもってこう答えればいい。

実はHDDの中に小さなスピーカーが仕込まれているんだ!

嘘ではないと思う。それとロード/アンロード音にも寄与しているはず。

[追記]

3.5インチでHDDスピーカーを作られたmisoさんの例(続続・HDDスピーカー)を見ると、VCMの方で曲が流れるのと同時に、ヘッドの方でガリゴリ音が出ているようなので、シーク音が発生するのはやはりヘッドの方かもしれない。

2010/01/04

HD Tune Proの追加設定

HD Tune Proが一年ぶりに3.50から4.00にバージョンアップした。ただし、変更点はHDDにおける結果をきっちり比較したい場合の追加設定が主なもの。

1. Short stroke

全領域を計測するのではなく、先頭から指定の容量分だけを計測するもの。HDDでは先頭から段々速度が落ちていくが、一定の容量を決めて比較するのに向く。
HD Tune Pro 4.00: Short stroke

PDFのマニュアルには以下の説明がある。
Short Stroke
Short stroking is a technique to maximize performance by only using a small part of the hard drive.
Hard drives are faster at the outer tracks because of the higher data density. A hard drive starts reading and writing at the outer tracks. Speed decreases when the read/write heads move towards the inner tracks.
By discarding the inner tracks the average speed will be higher. The seek times will also improve (decrease) because the read/write heads don't have to move long distances.

ただ、外周の速度が速いのは、「higher data density」のためというより、外周の方が線記録密度が高いということはないので(以前の計算例)、線速度の速さ(単位時間当たりにアクセス可能なビット数)のためという方が正確だと思う。

ともあれ、Short strokeが小さい方がシーケンシャルアクセスの平均は当然高くなる他、アクセス時間も短く、ランダムアクセスは速くなる。以下はTravelstar 5K500.Bで50GB、100GB、250GB、500GBとした場合の例。
HD Tune Pro 4.00: Sample short strokes
(注)ThinkPad X61sの本体に入れた状態での計測。

2. Benchmarkの設定

シーケンシャルアクセスで「Full test」(全セクタの計測)を指定できるようになった他、結果をテキストコピーする際に生の値も入れるようにすることが可能になった。
HD Tune Pro 4.00: Full test and raw values

この生の値を利用すれば、結果の差が大きくグラフのスケールが違ってしまう場合でも、別途グラフを作図して比較することが可能になる。以下は新旧4つのHDDをShort strokeを80GBに固定して計測した例。
製品名型番容量
(GB)
バッファ
(MB)
Travelstar 5K500.BHTS545050B9A3005008
Scorpio WD2500BEVS250
Momentus PSDST91608220AS160
Travelstar 80GNIC25N080ATMR0480

HD Tune Pro 4.00: Sample tests
(注)ThinkPad X61sのウルトラベースX6内に入れた状態で計測。5K500.Bはウルトラベースがボトルネックになるため、本体内より低くなる。

このシーケンシャルの生の値からグラフをまとめて作図すると以下のようになる。
HD Tune Pro 4.00: Sample cumulated graphs from raw values

3. Cache

Extra testsとして幾つかの計測パターンがある。Cache(バッファ)の効果を計測できるものもあるが、上の4つのHDDの例を見る限り、必ずしも明確な結果は出ない。

4. 単位系

容量に関してはSI接頭辞(1MB=1000×1000Bytes)に従うが、それを表記で示すためにkB、mB、gB、tBなど小文字を使う形式をとっている。マニュアルには以下の説明がある。
Unit of storage capacity
There is a lot of confusion when it comes to showing the capacity of hard drives. Hard drive manufacturers use the SI notation where 1 KB equals 1000 bytes. Windows uses the binary notation where 1 KB equals to 1024 bytes.
Although generally HD Tune Pro uses the binary notation, for showing the hard drive capacity the SI notation is used. To differentiate with the binary notation, the first letter will be a noncapital letter.

なお、速度(MB/s)に関しては2進接頭辞(1MB=1024×1024Bytes)。

5. まとめ

媒体上の記録位置によって違いが出るHDDの計測のための追加設定が主で、計測する指標自体に大きな違いはないので、SSDを対象にする場合はほとんど関係ないと言ってよいと思う。

[追記]

試験的にThinkPad X60sにインストールしたところ、HD Tune Proを起動するとOS(XP SP3、Windows 7とも)の操作が重くなってほとんどフリーズ状態になることが判明した。原因不明。大体同じデバイス構成のX61sでは問題なし。