2010/02/28

記録面と速度の実際(他の例)

他のHDDについて、記録面の仮説を頭に置きながら見てみる。

(このエントリは一続きのエントリの2/5)

2.1. 5400.5の場合


5400.5-320aでは先頭1GBの波形は以下のようになる。
Momentus 5400.5-320 a: HD Tune Pro (Seq. Read, 1GB, 64KB, Full)

少し不思議な形である。5400.5-320bでは以下。
Momentus 5400.5-320 b: HD Tune Pro (Seq. Read, 1GB, 64KB, Full)

5400.5-320aと似ているが、少し違う。計測する範囲を変えてみると以下のようになる。
Momentus 5400.5-320 a&b: HD Tune Pro (Seq. Read, 64KB, Full) compiled

範囲を狭くするにつれ波形が見えてくること、波形がずっと続いているらしいことは5K500.Bと同じ。

しばらくこの波形の意味が分からなかったが、先に80GNの例を見て気づいた。これは左右が反転している。つまり、ある記録面の組の後、次の組は最初の記録面に戻るのではなく、最後の記録面からの折り返しで始まる。この折り返しを繰り返すと、こういう鏡像の連続になる。こう考えて先頭1GBを解釈してみる。
Momentus 5400.5-320: HD Tune Pro (Seq. Read, 1GB, 64KB, Full) compiled

これを見ると、
  • 5K500.Bとは違い、5400.5-320aと320bで記録面の組の容量(全体で176MB)は一致している。
  • 記録面の容量は各44MBになるので、5K500.Bの半分ぐらい。
  • 5400.5-320aの方が、記録面の速度のバラツキが大きい。最高の面で78MB/s程度、最低の面で65MB/s程度なので、17%の幅がある。

2.2. MK3263GSXの場合


MK3263GSXでは先頭1GBは以下のようになる。
MK3263GSX: HD Tune Pro (Seq. Read, 1GB, 64KB, Full)

計測する範囲を変えてみると以下のようになる。
MK3263GSX: HD Tune Pro (Seq. Read, 64KB, Full) compiled

このHDDでは記録面は3つなので、解釈は簡単。ただ、組の最初と最後の面の高さが同じなので、単純な繰り返しなのか、折り返しなのかは判別できない。
MK3263GSX: HD Tune Pro (Seq. Read, 1GB, 64KB, Full) compiled

これを見ると、
  • 記録面の容量は各66MBで、組全体ではきっかり200MB。
  • 速度は、高い面が77MB、低い面が74MBなので、幅は4%ある。

2.3. WD2500BEVSの場合


WD2500BEVSでは先頭1GBは以下のようになる。
WD2500BEVS: HD Tune Pro (Seq. Read, 1GB, 64KB, Full)

計測する範囲を変えてみると以下のようになる。
WD2500BEVS: HD Tune Pro (Seq. Read, 64KB, Full) compiled

組の最初と最後の面の高さが同じだが、4つの水平面の繰り返しとして解釈できる。
WD2500BEVS: HD Tune Pro (Seq. Read, 1GB, 64KB, Full) compiled

これを見ると、
  • 記録面の容量は各89MBで、組全体では355MBといったところ。
  • 速度は、最高の面が59MB/s、最低の面が55Mb/sなので、幅は7%ある。

2.4. 5400.3PSDの場合


5400.3PSDでは先頭1GBは以下のようになる。
Momentus 5400.3 PSD: HD Tune Pro (Seq. Read, 1GB, 64KB, Full)

計測する範囲を変えてみると以下のようになる。
Momentus PSD 5400.3: HD Tune Pro (Seq. Read, 64KB, Full) compiled

変化がなさ過ぎるが、5400.5と同様の折り返し式と考えれば、以下のように解釈できる。
Momentus 5400.3 PSD: HD Tune Pro (Seq. Read, 1GB, 64KB, Full)

これを見ると、
  • 記録面の容量は各29MBで、組全体では114MBといったところ。

2.5. 80GNの場合


80GNはクラシックなPATAのHDDであるが、この先頭1GBは以下のようになる。
Travelstar 80GN: HD Tune Pro (Seq. Read, 1GB, 64KB, Full)

とても分かりやすい。4つの記録面が折り返しながら続いている。計測する範囲を変えてみると以下のようになる。
Travelstar 80GN: HD Tune Pro (Seq. Read, 64KB, Full) compiled

全体的に波形がよく出ている。計測する範囲が広くなるにつれ波形が鈍っていく様子も分かる。解釈も簡単。
Travelstar 80GN: HD Tune Pro (Seq. Read, 1GB, 64KB, Full)

これを見ると、
  • 記録面の容量は各97MBで、組全体では390MB。この記録面の容量は5K500.Bとさほど違わないので、HGSTでは初めからこのぐらいのサイズだったらしい。
  • 速度は、最高の面で30MB/s、最低の面で27MB/sなので、幅は9%。
80GNについては少し意味があって、この前のシリーズの40GNはFixed FormattingだったことがSpecificationから分かるので、HGST(当時はIBM)でAdaptive Formattingが適用されたほぼ最初のシリーズになる。したがって、その最初からこういう波形が存在したことになる。

2.6. 4K120の場合


4K120はさらにクラシックなシリーズであるが、Fixed Formattingなので参照用として。この先頭1GBは以下のようになる。
Travelstar 4K120: HD Tune Pro (Seq Read, 1GB, 64KB, Full)

計測する範囲を変えてみると以下のようになる。
Travelstar 4K120: HD Tune Pro (Seq. Read, 64KB, Full) compiled

このHDDは記録面が2つあるが、波形は見られない。ただその確認。

2.7. C4K60の場合


独特なサイズの1.8インチHDDで、当時の2.5インチHDDと比べて高い記録密度を持つが、Adaptive FormattingかどうかはSpecificationからは分からない。このC4K60-60と30の先頭1GBは以下のようになる。
Travelster C4K60-30, 60: HD Tune Pro (Seq. Read, 1GB, 64KB, Full)

C4K60-60の記録面は4つ、C4K60-30の記録面は2つだが、完全に水平で波形は全く見られない。計測する範囲を変えてみると以下のようになる。
Travelster C4K60-30, 60: HD Tune Pro compiled

ゾーンの変化以外はほとんど水平になっている。C4K60-60と30では容量が倍違うが、全容量で見たときの形もよく似ているので、割合ベースで重ねてみた。
Travelster C4K60-30, 60: HD Tune Pro compiled

完全に一致する。したがって、これらは完全に同じ記録面を使って構成されている、つまり、Fixed Formattingであることが分かる。

2.8. 中間まとめ


以上をまとめると、
  • Seagate、東芝、Western Digitalの最近のHDDにもHGSTと似た波形が存在し、同じ仮説を当てはめることができる。

  • これは同時に、同じゾーンでも記録面によって速度に違いがあることを意味するので、これらのメーカーもAdaptive Formattingか、類似の方式をとっているらしい。

  • Adaptive Formattingが適用された最初のHDDからこの波形は存在するので、この仮説はそれ以降の全てのHDDに当てはまる可能性がある(Adaptive Formattingゆえに記録面ごとにトラック密度が違う問題を避けられる)。

  • Fixed FormattingのHDDではこういう波形は出ない。
次は角度を変えて、トラック間の移動時間から見てみる。

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