(このエントリは一続きのエントリの2/2)
2.1. Partial testとFull test
Partial testのぎざぎざが偽のものだとしても、直ちにPartial testはダメで、Full testの方がいいとも言い切れない。この点は自分も逆に考えていた。
なぜFull testでは乱れの少ないきれいなチャートになるかというと、比較的大きなサイズの計測結果からまとめて計算することで、その間の動きをすべて平均化してしまうから。例えば1TBのHDDをFull testで計測すると、200等分の5GBごとにまとめて計算することになる。
こういう平均化は小さくランダムな動きをならして安定的な値を得るには役立つが、記録面の波形はDisk Gazerで見られるように画然として存在するし、その高さも幅も決して小さなものではない。HD Tuneのように位置ごとの速度を示すよう設計されたベンチマークで、波形を押し潰すようにして平均化することが果たして正しいか。
むしろ、チャートの各位置の範囲に含まれる速度の幅をなるべくそのまま表示した方がいいように思う。図にすると、
左側のような一本の線より、右側のような太さのある帯のイメージ。
結局は使う人が何を見たいかによるが、Partial testもその性格を理解して使うなら(という前提は往々にしてスルーされるものだが)、速度の幅をある程度示すものとしてアリではないかと思う。
2.2. Partial test中の違い
という前提でPartial testについて改めて考えると、5段階あるPartial testの各計測点におけるテストサイズは以下のようになっていた。
Fast側から | 各計測点における 速度との比 | |
---|---|---|
平均 | 概数 | |
1 | 13.0% | 1/8 |
2 | 25.5% | 1/4 |
3 | 50.5% | 1/2 |
4 | 100.5% | 1 |
5 | 200.6% | 2 |
比は4段目を中心として2の倍数になっているが、1段目などはかなり小さい。
これが結果にどう影響するかというと、7K1000で段を変えながら計測すると以下のようになる。
段が低いとぎざぎざが激しく、段が高くなるにつれなだらかになるのが分かる。
このどちらの方がいいかとなると、なだらかになるのはテストサイズが大きくなる分、面の間に掛かりやすくなって双方の面の中間の値になる、すなわち双方ともの本来の値から乖離するということだから、実際の速度の幅を忠実に示すという観点からは、逆にテストサイズが小さい低い段の方が、面の本来の値を伝える計測点が多くなって望ましい、と考えることができる。
2.3. まとめ
HD Tuneのぎざぎざの形は偽のものだが、その点を理解して使うなら、むしろPartial testの、その中でもより粗い低い段の方が結果的に実際の速度を忠実に示すので望ましい、という一見転倒した結論になった。我ながら予想外。
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