『はやぶさ2』については、6月の報道で、既に4月末に設計を終え、製造に入ったといわれていて、7月には「はやぶさ2プロジェクト」のギャラリーにイラストが公開されている。で、JAXA相模原キャンパス(つまりISAS)の特別公開に行ったら、早速新しい模型が展示されていた。
昨年の1/10模型は正直あまり見るべきところがなかったが、今年は設計が固まったせいか、かなり力の入った模型になっている。
ぱっと見て『はやぶさ』と大きく違うのは、スタートラッカーが2基に増えた、高利得アンテナ(HGA)が平面の2枚に増えた、低利得アンテナ(LGA)の形状が変わった(『あかつき』などと同じ。ただし、位置はほぼ同じ)、中利得アンテナが2基から1基に減った、など。その他のアンテナが2基、太陽センサーも見える。
サンプラーホーン、再突入カプセルは基本的に同じ。
高利得アンテナが薄い板になっているが、これは『あかつき』用の実物を見ても、ハニカムの板一枚という感じなので、こんなもの。
中利得アンテナは2軸の可動式になっていて、これ1基で半天球をカバーできるということらしい。
イオンエンジン周辺は基本的には同じ。
サンプラーホーン側の中央に衝突装置のEFP、その脇にターゲットマーカー群があるのはいいとして、サンプラーホーンを挟んで円筒形のものが左右に2基ある。これは何かと思って調べたら、ミネルバ2は複数機が搭載されるようなので(はやぶさ2ミッションにおけるミネルバ2ローバの検討状況)、ミネルバ2のコンテナではないかと思う。観測センサーにも当然変更がある。
その他、『はやぶさ』とは位置が変更された機器もある。
この他に電波無響室で電気試験中の1/2模型もあった。試験対象の低利得アンテナ(LGA)以外は発泡剤で作ったはりぼてということだったが、高利得アンテナのうち左がKaバンド、右がXバンドということが分かる。
と、プロジェクトが着々と進んでいることが見て取れたが、今年度の予算で削られた分、来年度の予算で取り返せないとまずいという事情もあって、そういえば、もう予算作成の時期ではある……。他の科学探査との優先順位とか内部的に色々事情はあるのだろうが、うまく行って『はやぶさ2』が無事1999 Ju3に旅立てることを祈る。
[追記]
KaバンドとXバンドの高利得アンテナの使い分けについては、公式リーフレット(2012年版)の「はやぶさ」「はやぶさ2」に説明がある。
なお、この1/10模型はしばらく前から同じロビーで展示されていたようなので、通常展示に戻った現在も見られると思う。
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