2009/07/02

LogicoolからBluetooth M555b

Logicoolから久々のBluetoothマウス、それもHyper-fastスクロールホイールを積んだBluetooth Mouse M555bが出たので、早速試してみた。外形的には以前にVX Nanoと比較したV550 Nanoと同じで、そのBluetooth版という趣。

V550 Nanoの表面がマット仕上げなのに対して、M555bは艶の強いグロス仕上げ。持ったときに指に貼り付く感じなのはマウスとして好みが分かれそうだが、触った感触でV550 Nanoと判別できるので、使い分けにいいかもしれない。

違いは、M555bにはドック用の窪みがないこと、Bluetooth用の「CONNECT」ボタンがあること、無線レシーバー用のソケットがないこと。バッテリー部分の蓋はどちらでも嵌められたので、全く同じ。単4に被せて単3にするアダプターも当然使える。

重量的にもほとんど違いはない。

本体(レシーバー、
電池抜き)(g)
本体+単3×2
(g)
本体+単4×2
(g)(注)
V550 Nano6911797
M555b6811696
(注)アダプター×2を含む。

Bluetooth接続は、PC側はThinkPad X60sだが、「Bluetooth接続アシスタント」で簡単に完了。動作も快調。

一方、電池の保ちに関してはBluetoothになってかなり悪くなっており、単3×2の標準状態でSetPointの表示は以下のとおり。

75日=2.5箇月なので、公称スペック通り。V550 Nanoの18箇月と比べて標準状態で実に1/7以下となる。なお、単4×2の状態にしても、この日数表示は変わらなかったので、単4と気づいていない模様。


[追記]

SetPointには、これをインストールするとマウスのプロパティの「ポインタオプション」のタブで「ポインタの速度を設定する」と「ポインタの精度を高める」の設定をしても、再起動するとデフォルトに戻るという不具合がある。これは最新の4.72.40でも直ってなかった(X60s上のXP SP2、X61s上のXP SP3とWindows 7 RCで確認)。

ただ、TrackPointとの使い分けという面から言えば、「トラックポイント」のタブで設定したことは再起動しても残っているので、そちらで設定すれば実用上の問題はない。

2009/07/01

人工衛星を擬人化

現代萌衛星図鑑人工衛星の擬人化本が出ている。何でもかんでも擬人化すればいいというものではないと思うが、この本に関しては擬人化もありだと思った。絵柄が合う合わないはあるし、随所に挿入されているコミックはやや恥ずかしい感じもするが。


タイトルは『現代萌衛星図鑑』となっているが、中身はこれまでの日本の人工衛星(の一部)の物語をまとめたもの。
  • CHAPTER-1: 気象観測衛星 ひまわり
  • CHAPTER-2: ハレー彗星探査機 すいせい・さきがけ
  • CHAPTER-3: 技術試験衛星VII型 きく7号 おりひめ・ひこぼし
  • CHAPTER-4: 環境観測技術衛星 みどりII
  • CHAPTER-5: 次世代型無人宇宙実験システム USERS
  • CHAPTER-6: 小惑星探査機 はやぶさ
  • CHAPTER-7: 月周回衛星 かぐや
人工衛星(探査機)は、打ち上げ前は大事に手塩にかけて育てられ、ロケット打ち上げという一大イベントで宇宙に旅立つが、その後は(地上と交信しながらも)宇宙の孤独の中で独力で役目を果たし、最後はそのまま宇宙でひっそり停止するか、天体にぶつけられて生涯を終える。勿論、人間の作った機械なのだが、一つの生き様として擬人化するに十分な素質があるのだなと思う。

1. かぐや


表紙になっているのは月周回衛星の『かぐや』で、お供の『おきな』と『おうな』もウサギの姿であるがしっかり描かれている。2007年9月の打ち上げ以来、ほぼ順調にミッションを果たし、6月に月に落とされて生涯を終えた。

『かぐや』に関しては少し思い入れがあって、一度はロケットの打ち上げを見ておこうと思って、H-IIA 13号機の打ち上げを種子島まで見に行った。以下はJAXAによる映像。


これを実際に肉眼で見ると(長谷展望公園から。映像とは角度が違う)、ロケットエンジンの光が眩しくてロケット本体はほとんど見えず、まさに光の矢が駆け上がっていくようだった。打ち上げ延期の繰り返しで日程調整が大変だったが、当日は雲はあったが晴れてラッキーだった。


この『かぐや』の名前はJAXAが公募したもので、単純に応募数が一番多かったらしい。個人的には、かぐや姫は月から地球に来て月に帰る往復なのだから、地球から月に行く片道だけの『かぐや』とは違うと思わないでもなかったが。

ともあれ、JAXAは『かぐや』という名前を採用するとともに、2つの子衛星にもかぐや姫の話から『おきな』と『おうな』という名前を付けた。つまり、人工衛星の擬人化はJAXA自身も既にしていたわけである。さらに考えてみれば、太陽系の天体の名前でも(日本語ではピンと来ないが)神話上の人物(神)はありふれているわけで、擬人化自体は宇宙では何の問題もないのかもしれない。

2. はやぶさ


現代萌衛星図鑑この擬人化が一番効いているのは、個人的には小惑星探査機の『はやぶさ』のように思う。『はやぶさ』ははるばる小惑星イトカワまで行った後、またはるばる地球に帰る途上にあるが、地球へ向けて出発した時点で既にボロボロというか、死にかけというか、一回死んでいたというか、まあ大変な状態になっていて、それでも帰ってくるらしい。イトカワで採取できたかもしれない試料を抱えて。

JAXAのサイトにも情報は十分あるが、それがどういう状態を意味しているのかは素人にはあまりピンと来ない。それがこの本のイラスト(118ページ)では、意識朦朧ながらも栄養ドリンクを飲んで何とかがんばっている現在の『はやぶさ』を、イトカワに接触後にバッテリ切れで記憶が飛んで消えてしまった以前の『はやぶさ』(天使の輪付き)が見守っているような構図で、(どこまで正確かは別として)分かりやすいし、親しみがわく。擬人化の効果は大きいと思う。

3. Planet-C

さて、2010年は宇宙探査的には、6月の『はやぶさ』の帰還のほかに、金星探査機であるPlanet-Cの打ち上げが予定されている。失われた火星探査機の『のぞみ』(Planet-B)に続く惑星探査機で、名前はまた公募されるのだろう。慣例に従えば、
  • 採用された名前を応募した人の中から抽選で打ち上げ前の見学に招待されるという特典もあるので(競争率は高いが)、応募する価値はある。
  • 応募数の多い名前が採用されるだろうから、これを狙うなら他の人がどういう名前を応募しそうか予測しなければならない。
金星といえば「明けの明星」「宵の明星」だから、まず『みょうじょう』があり得る。また、他に金星と縁のある言葉はあまり見当たらないので、「こじつけは何でもできるよね」的な名詞となるおそれもある(火星探査機『のぞみ』、ISS実験棟『きぼう』等)。一方、『かぐや』も単に月探査機とか呼ばれていたら、それほど関心を集められたか疑問なので、擬人化の効果は捨てがたいと思う。

なかなか難しいが、考えておこうと思う。たぶん当たらないが。

[追記]

Planet-Cの名前については、公募はせず、プロジェクトチームで検討して『あかつき』と決定したとのこと。金星にそういう呼び方があるとは知らなかった。『のぞみ』でもやったメッセージキャンペーンはやるとのこと(12月25日まで)。