2015/01/31

無線LANのSSIDをC#から取得する

無線LANのSSIDをC#からAPIで取得するコードを書いてみた。

1. 背景


アプリから無線LANのSSIDを取得したいときがあるが、標準の.NET FrameworkにもWinRTにもそれが可能なAPIは用意されていない。C++にはNative Wifi APIがあるが、このマネージド実装のManaged Wifi APIは開発が止まって久しく、かといってP/Invokeの宣言を起こすのも大変そうなので敬遠していた。実用上はNetshの出力をパースすれば大体足りるし。

それが、ふとMSDNでこんなエントリを見かけた。
「おおっ」と思いつつダウンロードしたが、実体部分はC++のライブラリで、それをC#から使うものだった(タイトルどおりではある)。悔しかったので少し探したところ、幾つかサンプルが挙げられていた。
これらとMSDNを合わせ見た結果、必要なピースは揃ってそうだったので書いてみた。

2. 利用可能なネットワークのSSIDを取得する


手順としては以下のようになる。
  1. WlanOpenHandleでハンドルを取得する。このdwClientVersionはOSによって変わるが、Vista以降は2。
  2. WlanEnumInterfacesでPCにある無線LANインターフェイス(無線LANアダプター)の情報を取得する。
  3. WlanGetAvailableNetworkListで各インターフェイスから見える無線LANネットワークの情報を示すWLAN_AVAILABLE_NETWORKを取得する。これは各インターフェイスの感度にも左右されるが、インターフェイスが複数あれば当然、単数でも試した限りでは重複があり得る。
  4. WLAN_AVAILABLE_NETWORKからSSIDを取得する。
public static IEnumerable<string> GetAvailableNetworkSsids()
{
  var clientHandle = IntPtr.Zero;
  var interfaceList = IntPtr.Zero;
  var availableNetworkList = IntPtr.Zero;

  try
  {
    uint negotiatedVersion;
    if (WlanOpenHandle(
      2, // Client version for Windows Vista and Windows Server 2008
      IntPtr.Zero,
      out negotiatedVersion,
      out clientHandle) != ERROR_SUCCESS)
      yield break;

    if (WlanEnumInterfaces(
      clientHandle,
      IntPtr.Zero,
      out interfaceList) != ERROR_SUCCESS)
      yield break;

    var interfaceInfoList = new WLAN_INTERFACE_INFO_LIST(interfaceList);

    Debug.WriteLine("Interface count: {0}", interfaceInfoList.dwNumberOfItems);

    foreach (var interfaceInfo in interfaceInfoList.InterfaceInfo)
    {
      if (WlanGetAvailableNetworkList(
        clientHandle,
        interfaceInfo.InterfaceGuid,
        WLAN_AVAILABLE_NETWORK_INCLUDE_ALL_MANUAL_HIDDEN_PROFILES,
        IntPtr.Zero,
        out availableNetworkList) != ERROR_SUCCESS)
        continue;

      var networkList = new WLAN_AVAILABLE_NETWORK_LIST(availableNetworkList);

      foreach (var network in networkList.Network)
      {
        Debug.WriteLine("Interface: {0}, SSID: {1}, Quality: {2}",
          interfaceInfo.strInterfaceDescription,
          network.dot11Ssid,
          network.wlanSignalQuality);

        yield return network.dot11Ssid.ToString();
      }
    }
  }
  finally
  {
    if (availableNetworkList != IntPtr.Zero)
      WlanFreeMemory(availableNetworkList);

    if (interfaceList != IntPtr.Zero)
      WlanFreeMemory(interfaceList);

    if (clientHandle != IntPtr.Zero)
      WlanCloseHandle(clientHandle, IntPtr.Zero);
  }
}
P/Invokeの宣言はレポジトリの方を参照。

3. 接続中のネットワークのSSIDを取得する


手順は2.までは上と同じ。
  1. WlanOpenHandleでハンドルを取得する。
  2. WlanEnumInterfacesでPCにある無線LANインターフェイスの情報を取得する。
  3. WlanQueryInterfaceで各インターフェイスの現在の接続状況を示すWLAN_CONNECTION_ATTRIBUTESを取得する。このためにはOpCodeにwlan_intf_opcode_current_connectionを指定する。
  4. WLAN_CONNECTION_ATTRIBUTESのisStateで接続中かどうか判別できるので、接続中ならwlanAssociationAttributesのWLAN_ASSOCIATION_ATTRIBUTESからSSIDを取得する。
public static IEnumerable<string> GetConnectedNetworkSsids()
{
  var clientHandle = IntPtr.Zero;
  var interfaceList = IntPtr.Zero;
  var queryData = IntPtr.Zero;

  try
  {
    uint negotiatedVersion;
    if (WlanOpenHandle(
      2, // Client version for Windows Vista and Windows Server 2008
      IntPtr.Zero,
      out negotiatedVersion,
      out clientHandle) != ERROR_SUCCESS)
      yield break;

    if (WlanEnumInterfaces(
      clientHandle,
      IntPtr.Zero,
      out interfaceList) != ERROR_SUCCESS)
      yield break;

    var interfaceInfoList = new WLAN_INTERFACE_INFO_LIST(interfaceList);

    Debug.WriteLine("Interface count: {0}", interfaceInfoList.dwNumberOfItems);

    foreach (var interfaceInfo in interfaceInfoList.InterfaceInfo)
    {
      uint dataSize;
      if (WlanQueryInterface(
        clientHandle,
        interfaceInfo.InterfaceGuid,
        WLAN_INTF_OPCODE.wlan_intf_opcode_current_connection,
        IntPtr.Zero,
        out dataSize,
        ref queryData,
        IntPtr.Zero) != ERROR_SUCCESS) // If not connected to a network, ERROR_INVALID_STATE will be returned.
        continue;

      var connection = (WLAN_CONNECTION_ATTRIBUTES)Marshal.PtrToStructure(queryData, typeof(WLAN_CONNECTION_ATTRIBUTES));
      if (connection.isState != WLAN_INTERFACE_STATE.wlan_interface_state_connected)
        continue;

      var association = connection.wlanAssociationAttributes;

      Debug.WriteLine("Interface: {0}, SSID: {1}, BSSID: {2}, Signal: {3}",
        interfaceInfo.strInterfaceDescription,
        association.dot11Ssid,
        association.dot11Bssid,
        association.wlanSignalQuality);

      yield return association.dot11Ssid.ToString();
    }
  }
  finally
  {
    if (queryData != IntPtr.Zero)
      WlanFreeMemory(queryData);

    if (interfaceList != IntPtr.Zero)
      WlanFreeMemory(interfaceList);

    if (clientHandle != IntPtr.Zero)
      WlanCloseHandle(clientHandle, IntPtr.Zero);
  }
}
なお、3.のWlanQueryInterfaceはそのインターフェイスが接続中でないときはERROR_INVALID_STATEを返してくる。

4. まとめ


Windows 7とWindows 8.1、ついでにWindows 10 TPで確認したところ問題なさそうだったので、とりあえずこれで行けると思う。

しかしAPIで取得できるとコマンド出力をパースするよりわずかでも速いし、気持ちすっきりするのがいい。まあP/Invokeのマーシャリングは結構泥臭いけど。

[追記] UTF-8のSSID

SSIDというとASCII文字列と思われがちだが、IEEE 802.11の規格を読むとSSIDは0-32のOctet stringとされていて、平たくいうと長さ0-32のバイト配列とされている。これは現在はUTF-8も使えることになっていて、当然日本語を使うこともできる(それで駄洒落を作るのが少しネタになっていた)。

Native Wifi APIでSSIDの情報を格納するのはDOT11_SSIDだが、この説明でも"The SSID that is specified by the ucSSID member is not a null-terminated ASCII string."と釘が刺されている。

このDOT11_SSIDに対応するP/Invoke用の構造体を初め以下のように書いていた。
[StructLayout(LayoutKind.Sequential)]
private struct DOT11_SSID
{
  public uint uSSIDLength;

  [MarshalAs(UnmanagedType.ByValTStr, SizeConst = 32)]
  public string ucSSID;

  public override string ToString()
  {
    if ((ucSSID == null) || (ucSSID.Length < (int)uSSIDLength))
      return null;

    return ucSSID.Substring(0, (int)uSSIDLength);
  }
}
これには問題があって、uSSIDLengthの示す長さを勘違いしていることもさることながら、実際に試してみるとUnmanagedType.ByValTStrでは正しくマーシャリングされず、「の」が「縺ョ」のように文字化けを起こす。これを回避するには、ucSSIDをまずはバイト配列にマーシャリングした上で、これから文字列に変換すればうまく行った。
[MarshalAs(UnmanagedType.ByValArray, SizeConst = 32)]
public byte[] ucSSID;

public override string ToString()
{
  return Encoding.UTF8.GetString(ucSSID, 0, (int)uSSIDLength);
}
さらに、規格に忠実にバイト配列としても取り出せるようにまとめ直せば、こんな感じ。
[StructLayout(LayoutKind.Sequential)]
private struct DOT11_SSID
{
  public uint uSSIDLength;

  [MarshalAs(UnmanagedType.ByValArray, SizeConst = 32)]
  public byte[] ucSSID;

  public byte[] ToBytes()
  {
    return (ucSSID != null)
      ? ucSSID.Take((int)uSSIDLength).ToArray()
      : null;
  }

  public override string ToString()
  {
    return (ucSSID != null)
      ? Encoding.UTF8.GetString(ToSsidBytes())
      : null;
  }
}
ちなみに、Windows 8.1のNetshの出力を見るとUnmanagedType.ByValTStrを使ったときと同じように文字化けする。一方、設定のネットワークから見ると文字化けしないので、NetshのUTF-8対応が遅れているようで、Windows 10 TPでも解消してないらしい。
ということで、UTF-8対応ができるという点が、現状APIによる方法が明確に優れている点になる。

[追記] ライブラリ公開

ライブラリとしてまとめたので、コードをなるべく合わせるよう修正した。

2015/01/28

Windows 10 TPのインストール時のエラー

Windows 10 TPのインストール時に遭遇したエラーについての記録。

1. エラーの状況


最近のWindowsのインストールで問題が出ることはあまりないですが、久々に謎なエラーに遭遇しました。前提として、UEFI Onlyに設定したThinkPad X230でUEFI用に作成したUSBメモリから起動してのインストールです。

状況としては、
  1. Build 9926の日本語版のISOファイルからUSBメモリを作成し、これから起動しようとしたところ、「お使いのPCに必要なメディアドライバーがありません。」というエラーが表示されて進めない。


  2. IntelのIRSTのドライバーファイルを読み込ませてみたが、変化なし。たぶんこのメッセージどおりの問題ではない。
  3. ISOファイルのハッシュ値を確認したが、ダウンロードサイトに示されたとおり。
  4. USBメモリを作成し直してみたが、エラーは変わらず。そもそもUEFI用のUSBメモリの作成方法は簡単で(後述)、間違う余地は少ない。
  5. 英語版のISOファイルからUSBメモリを作成してみたが、"A media driver your computer needs is missing."という同内容のエラーが出る。


  6. 単純な問題ではない気配がしてきたので、ISOファイルをDVD-Rに焼いてインストールしたところ、問題なく終了。問題はUSBメモリの起動にある。
  7. 残しておいたBuild 9879のISOファイルからUSBメモリを作成してみたが、エラーは変わらず。Build 9926特有の問題ではないが、しかし以前は問題なかったはず。
  8. ふとUSBメモリを差すコネクタをX230の向かって左側から右側に変えたところ、エラーは出ず、ハードウェアと関係があることが判明。正確には左側2箇所のコネクタ(USB.3.0)のどちらでもエラーが出るが、右側1箇所のコネクタ(USB2.0)では出ない。なお、左側でも通常時は問題ないし、左側で作成したUSBメモリで右側から起動もできる。
  9. 確認のため、USBメモリをそれまでのPicoDrive F3 32GBから、Express RC8 25GBとJetFlash 760 16GB(いずれもUSB3.0)に変えてみたが、エラーの出る条件は変わらず。USBメモリ側の問題ではない。
  10. さらに確認のため、USBメモリをPicoBoost 8GB(USB 2.0)に変えてみたところ、左右どちらでもエラーは出ず。エラーが出るのはUSB3.0の場合のみ。
  11. 念のため、Windows 8.1 Enterprise評価版のISOファイルを使ってみたところ、USB3.0のUSBメモリでも左右どちらでもエラーは出ず。エラーが出るのはWindows 10 TPの場合と判明。
以上をまとめると、
  • X230の左側のUSBコネクタ(USB3.0)
  • USB 3.0のUSBメモリから
  • Windows 10 TPのインストーラーを起動
しようとした場合にこのエラーが出る、ということになります。

真っ先に疑われるのはX230のUSBコネクタの劣化あるいは埃詰まりで、通常時には問題ないものがインストール時に顕在化するというのは昔からあることですが、
  • 製造から1年足らずで、2箇所のコネクタに同じ問題が出るものか。
  • USB3.0用のメス側の接点はベロの先端に、かつX230の場合は下向きに付いているので、埃は付着しにくい。
ということがあって、保留です。

一つ明らかなのは、Windows 10 TPのインストーラーはUSB3.0の認識に何か変更があったっぽい、ということですが、まあ問題に遭遇でもしない限り無駄知識ですけど。

[追記1]

コメントいただいた情報によればX1 CarbonのUSB3.0コネクタでも同じエラーが出るそうで、かつX230の右側のコネクタはUSB2.0なので、エラーが出る条件としてはUSB3.0がやはりキーのようです。

[追記2]

Microsoft CommunityのWindows Insider Programにポストしました。
[追記3]

Insider PreviewのBuild 10074のISOではこのエラーは出なくなりました(日本語版、英語版とも)。問題は解決されたようです。

2. UEFI用のUSBメモリの作成


なお、UEFIではブートに関するノウハウが従来と変わりました。パーティションがアクティブであること、専用のブートセクタであることは必要なくなりました。代わりにパーティションがFAT32であることが必須です。

したがってブータブルなUSBメモリを作成するには、とにかくFAT32でフォーマットして、ISOファイル(x64版であること)の中身をコピーするだけです。特別なツールやDiskPartを使う場面は基本的にないと思います。

この点に関して、Microsoftの高橋さんが書かれている方法のうちアクティブとブートセクタの部分は、従来の場合と両対応にするために必要なことであって、UEFIだけ考える場合は必要ないと思います。

2015/01/26

Windows 10 TPのバージョン判定(続)

Windows 10 TPのバージョン判定を新しいBuild 9926で試してみると、

マニフェストファイルにWindows 10のcompatibilityの記述あり。

同なし。

VerifyVersionInfoがGetVersion/GetVersionExと同じ呪縛にかかった模様。意図された動作かどうか、現状分からないが。

最後まで残るとすれば、個人的な予想ではWMIではないかと。WMIはシステム管理にも使われるので、アプリ対策の都合だけで変えにくいと思うので。