1. Short stroke
全領域を計測するのではなく、先頭から指定の容量分だけを計測するもの。HDDでは先頭から段々速度が落ちていくが、一定の容量を決めて比較するのに向く。
PDFのマニュアルには以下の説明がある。
Short Stroke
Short stroking is a technique to maximize performance by only using a small part of the hard drive.
Hard drives are faster at the outer tracks because of the higher data density. A hard drive starts reading and writing at the outer tracks. Speed decreases when the read/write heads move towards the inner tracks.
By discarding the inner tracks the average speed will be higher. The seek times will also improve (decrease) because the read/write heads don't have to move long distances.
ただ、外周の速度が速いのは、「higher data density」のためというより、外周の方が線記録密度が高いということはないので(以前の計算例)、線速度の速さ(単位時間当たりにアクセス可能なビット数)のためという方が正確だと思う。
ともあれ、Short strokeが小さい方がシーケンシャルアクセスの平均は当然高くなる他、アクセス時間も短く、ランダムアクセスは速くなる。以下はTravelstar 5K500.Bで50GB、100GB、250GB、500GBとした場合の例。
(注)ThinkPad X61sの本体に入れた状態での計測。
2. Benchmarkの設定
シーケンシャルアクセスで「Full test」(全セクタの計測)を指定できるようになった他、結果をテキストコピーする際に生の値も入れるようにすることが可能になった。
この生の値を利用すれば、結果の差が大きくグラフのスケールが違ってしまう場合でも、別途グラフを作図して比較することが可能になる。以下は新旧4つのHDDをShort strokeを80GBに固定して計測した例。
製品名 | 型番 | 容量 (GB) | バッファ (MB) |
---|---|---|---|
Travelstar 5K500.B | HTS545050B9A300 | 500 | 8 |
Scorpio WD2500BEVS | 250 | ||
Momentus PSD | ST91608220AS | 160 | |
Travelstar 80GN | IC25N080ATMR04 | 80 |
(注)ThinkPad X61sのウルトラベースX6内に入れた状態で計測。5K500.Bはウルトラベースがボトルネックになるため、本体内より低くなる。
このシーケンシャルの生の値からグラフをまとめて作図すると以下のようになる。
3. Cache
Extra testsとして幾つかの計測パターンがある。Cache(バッファ)の効果を計測できるものもあるが、上の4つのHDDの例を見る限り、必ずしも明確な結果は出ない。
4. 単位系
容量に関してはSI接頭辞(1MB=1000×1000Bytes)に従うが、それを表記で示すためにkB、mB、gB、tBなど小文字を使う形式をとっている。マニュアルには以下の説明がある。
Unit of storage capacity
There is a lot of confusion when it comes to showing the capacity of hard drives. Hard drive manufacturers use the SI notation where 1 KB equals 1000 bytes. Windows uses the binary notation where 1 KB equals to 1024 bytes.
Although generally HD Tune Pro uses the binary notation, for showing the hard drive capacity the SI notation is used. To differentiate with the binary notation, the first letter will be a noncapital letter.
なお、速度(MB/s)に関しては2進接頭辞(1MB=1024×1024Bytes)。
5. まとめ
媒体上の記録位置によって違いが出るHDDの計測のための追加設定が主で、計測する指標自体に大きな違いはないので、SSDを対象にする場合はほとんど関係ないと言ってよいと思う。
[追記]
試験的にThinkPad X60sにインストールしたところ、HD Tune Proを起動するとOS(XP SP3、Windows 7とも)の操作が重くなってほとんどフリーズ状態になることが判明した。原因不明。大体同じデバイス構成のX61sでは問題なし。
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