2009/05/16

True Imageから直接ReadyNAS

Acronis True Imageは、Windows上では勿論、そのブータブルメディアからブートした状態でもNASへのバックアップ/レストアができる。ただ、GbEであってもローカルPCに直接繋いだストレージよりは遅いだろうと思って、これまでは使ってこなかった。ところが、実際にNASで試してみたら意外と速かった。

1. 基本的な速度


前提となるGbEの環境は以下のとおり。
  • ローカルPC: ThinkPad X61s
    • CPU: Core2 Duo L7700(1.8GHz)
    • メモリ: 4GB
    • 有線LAN: Intel 82566MM Gigabit Network Connection
  • NAS: NETGEAR ReadyNAS Duo(ST9320320AS×2)
  • ハブ: Buffalo LSW-GT-5W
この環境でReadyNAS上をフォルダをネットワークドライブとして共有し、X61s上のWindows 7 RCからCrystalDiskMark(2.2.0)で計測すると、結構な速度が出る。テストサイズは100MB(左)と、ReadyNASには256MBのメモリがあるので1000MB(右)も加えた。
  • Windows 7 RCなのは、ネットワーク速度はXPよりVista以降の方が速くなるから(自動的にパラメータを調整する機能がある)。

  • 100MBの方は、以前にX60s上のXPから計測したときより随分速い。
    • 改めてX60s、X61s上のXPから計測してみると、なぜか全体的に速くなっていた(ハードウェア構成は変わっていない)。シーケンシャルとランダム(512KB)のRead以外はWindows 7 RCと大体同じ。なお、ReadyNASのファームウェアは4.1.5にアップデートしてあるが、以前計測したときの4.1.4に戻しても同程度だったので、ファームウェアの差ではない。
    • シーケンシャルとランダム(512KB)のReadは、XPよりWindows 7 RCの方が断然速い(6割増し)。

  • 1000MBの方は、シーケンシャルのReadは依然速い。シーケンシャルとランダム(512KB)のWriteもあまり落ちてない。
ReadyNASに対して、ローカルのストレージとしては以下のとおり(他に光学メディアもあり得るが、速度面で比較にならないので除外)。
  • 内蔵SSD: X25-M
  • ウルトラベースX6内のHDD: Travelstar 5K500.B-250
  • USBメモリ: Green House PicoBoost 8GB
  • USB外付けHDD: LaCie Little Disk 500GB
これらのCrystalDiskMarkによる速度は以下のようになる。テストサイズは、バックアップ/レストアではGB単位のデータを扱うので1000MBで計測したが、ReadyNAS以外は100MBと1000MBで特に違いはなかった。

(注)テストサイズを1000MB、試行回数を5回とし、3回連続で計測した値の平均。

USB勢のシーケンシャルとランダム(512KB)のWriteが遅いが、これはX61sのUSBの宿痾といえるもの。X60sではもっと速い。

2. バックアップ/レストアの処理時間


これらのストレージを使ったバックアップ/レストアにかかる時間を以下の条件で手動計測。
  • バージョンはAcronis True Image 11 Home (build 8219)。設定は圧縮レベルを「高」とする以外はデフォルト。
  • 対象はX61sにWindows 7 RCをクリーンインストールし、Lenovoのドライバを入れたパーティション。
    • パーティションの使用領域は8.25GB、ファイル数は57,706。
    • バックアップファイルのサイズは2.83GB(圧縮レベル「高」の状態)。
  • 以下の2通りの場合で実行。
    • Windows 7 RC上で、これにインストールしたTrue Imageから別のWindows 7 RCのあるパーティションをバックアップ/レストア。
    • PicoBoostをTrue Imageのブータブルメディアとし、これからブートした状態のTrue Imageからバックアップ/レストア。
さて、結果は以下のようになった。


さらに、この処理時間でバックアップファイルのサイズを割って処理速度を出すと以下のようになる。


これは単純にストレージの転送速度に依るものではないが、
  • バックアップでは、ReadyNASは内蔵SSDとウルトラベースX6内のHDDに比べてさほど遜色がない。USB勢に対しては、X61sのUSBによるハンデがあるとしても、ReadyNASの優位は変わらないと思う。

  • レストアでは、ReadyNASはWindows 7 RC上では一番遅いが、内蔵SSDより少し遅い程度。ブータブルメディアからブートした状態では内蔵SSDとウルトラベースX6内のHDDに比べてかかる時間は倍程度になる。USB勢に対しては、ReadyNASの方が少し速い(レストアではUSB勢もハンデはない)。
実際の使用場面を考えると、バックアップはWindows上で、レストアはブータブルメディアからブートした状態で行うことが多いと思うが、この場合、ReadyNASはバックアップでは内蔵ストレージとさほど変わらず、レストアでは内蔵ストレージの倍程度の時間で済み、いずれもUSBより遅くなることはないといえる。勿論、この優劣関係は実際のストレージの構成によって変わってくるが。

したがって、バックアップファイルをNASに保存しておくポリシーであれば、一旦ローカルのストレージにコピーするようなことをせずとも、直接NASとの間でバックアップ/レストアする方が、手間的にも(普段通りにネットワークに繋いだ状態からUSBメモリを挿せば開始できる)、時間的にも(コピーする時間も合わせれば)有利ということになると思う。

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