本題とは関係ないトリビア。
(このエントリは一続きのエントリの5/5)
5.1. 上蓋の変化
1プラッタのモデルの上蓋が、5K320以降はプラッタ直上が扇状に凹んだものになっている(ラベルの材質も2プラッタのモデルとは微妙に違う)。
以前のシリーズではこの凹んだ部分に補強板が貼り付けてあったので、1プラッタのモデルでは補強板を省略したのかと思っていたが、2プラッタの5k320-250aも、外した上蓋も裏から見るとごく浅く凹んでいるだけで補強板はなくなっていた。
5.2. SATAコネクタの変化
SATAコネクタは、5K250と5K320までは上にカバーのないタイプだったが、5K500.Bから上にカバーの付いたものに変わっている。コネクタの折損を防ぐためかもしれない。Momentusは以前からカバー付き。
5.3. ラッチの変化
5K250まではVCMの脇に2ピース構成のイナーシャ・ラッチが付いていたが、5K320以降は1ピースのものに変わっている。以下はVCM側の裏側だが、5K250では基台にラッチの軸が上下2本差し込まれているが、5K320では下側の軸は跡だけになり、5K500.Bでは完全に消えている。
5K320-250aのラッチを見ると、ラッチ自体は軸が中心にあるシーソー型で、白いプラスチック製だが、プラッタ側の腕に金属が仕込まれている。
これでVCMの永久磁石に引きつけられるようになっているが、アンロード時にはVCMから出ている鈎爪に押され、反時計回りに回った位置にある(左)。もしロード時にこのまま動かなければ、ラッチとVCMの鈎爪が噛み合うことになるが、ロード時には鈎爪がプラッタと反対側に動くにつれ、ラッチも永久磁石に引かれて時計回りに回り、VCMの鈎爪を避ける位置となる(右)。
ラッチを外したところ。
ラッチ単体を下側から見たところ。仕込まれている金属が見える。
基本的に、VCMの鈎爪の動きに応じて動くだけなので、これがどのようにラッチとして働くのか、よく分からない。
2009/03/21
プラッタ容量と速度の実際(補足)
補足として、実際の記録密度を試算してみる。
(このエントリは一続きのエントリの4/5)
4.1. 記録密度の手掛かり
ベンチマーク結果から、公称の線記録密度(最大)と実際の速度との関係に無視できないぐらい大きなバラツキがあることが分かる。
この公称スペックの「最大」というのがどれぐらいの範囲内での「最大」かということが問題であるが、それが直接分かる情報はない。ただ、Specificationには記録面のデータフォーマットの例があるので(実際のフォーマットは記録面ごとに違う)、記録面上のデータ領域の物理的サイズが分かれば、この例の場合の記録密度は計算できる。
4.2. 物理的サイズを見る
よって、気は進まないが(以下略)、5K320-80aの上蓋を開けてヘッドの動きを見ることにする。上蓋を開けたらいつ死んでもおかしくないので、予め先頭(外周)と末尾(内周)に100MBのパーティションを作成しておく。USBアダプタに取り付けてPCに接続し、上蓋のネジを外す。
上蓋を開けたところ。ヘッドがプラッタの下側に付いていたらどうしようかと思っていたが、上側に付いていてラッキー。
外周と内周のパーティションに対し、それぞれHD Tune ProのFile Benchmarkを実行中の状態を撮影。ヘッドは微細に動いているはずであるが、見た目には静止している。後から計算すると100MB分のトラックの幅は0.016mmなので、分からなくて当然。
内周の方はアームがもう少し内側に回りそうに見えるが、VCMの方にストッパー(青いプラスチック)があるので、物理的にほぼ限界。参考までに、5K320-250aのアームをストッパーに当たるまで回した状態が以下。
アームの動きの全体は、HD Tune ProのBenchmark(Read)を実行中の状態でこんなもの。
この後、HD Tune ProのRandom Accessを実行中にヘッドの動きがおかしくなり、後は下り坂を転げ落ちるように。上蓋を開けてから30分も経ってないが、目的は果たした。
資料を見ると、ヘッドは黒いスライダーの先端側の側面に貼り付けられた構造になっているらしい。よって、プラッタ側から見た状態(左)から、上から見たとき(右)のヘッドの位置は特定できる。
このヘッドの位置を画像から読み取り、プラッタ直径の65mm(2.5インチHDDの標準)を基準として計算すると以下のようになる。
ヘッドの位置から見て、このHDDのデータ領域は外径も内径も物理的に可能なサイズ一杯を使っていると考えてよいと思うので、このサイズを以下の計算の前提とする。
[修正]
ヘッドの位置について、サスペンションの丸い窪みの位置と見なしていたものから修正した(より先端側になる)。これに伴って、以下の記述も修正した。
4.3. ざくざく計算
さて、5K320のSpecificationの4.3 Cylinder allocationに、160GBプラッタのデータフォーマットの例がある。この例では最外周にあるゾーン0のトラック当たりセクター数は1512なので、最外周のトラックの線記録密度は以下のように計算できる。
1512(トラック当たりセクター数)×512(byteへ換算)×8(bitへ換算)÷{30.6(トラック半径=データ領域外径半径)(注1)×2×π(トラック長へ換算)}×25.4(インチへ換算)÷1000(Kへ換算)(注2)≒816.9(KBPI)
これは、ゾーン内では原理的に外周の方が線記録密度は低くなるが(セクター数が同じで、トラック長が長くなるので)、それでも公称の線記録密度(最大)の1154(KBPI)より随分と低い。
次に、トラック密度は、ゾーンごとに計算できる情報はないので、全体で計算すると、この例ではトラック数(=シリンダ数)は138306なので、以下のようになる。
138306(トラック数)÷{30.6(データ領域外径半径)-14.3(データ領域内径半径)}×25.4(インチへ換算)÷1000(Kへ換算)≒214.9(KTPI)
これは、公称のトラック密度(最大)の216(KTPI)ぎりぎりである。Specificationにある表には「160GB/p Mid BIP-Mid TPI format」という表記があるので、中間的なTPIの場合の例かと思っていたが、いきなりほぼ最大値というのは、よく分からない。
気を取り直して考えてみると、これは以下のことを示唆しているように思う。
さらに、これから全ゾーンを通しての線記録密度(仮定)を計算し、同様に示すと(注4)、以下のようになる。
トラック当たりセクター数は原理的に速度と正の相関関係にあるので、速度のグラフと同じ形になるが、速度が外周から内周にかけて下がっていく一方、線記録密度はほぼ横這いになっていることが分かる。
参考までに、ここまでの計算は以下のとおり。
さらに、物理的サイズは他のシリーズでもほとんど同じと考えてよいと思うので、その仮定の上で、5K160、5K250、5K500.Bについても同じ計算をしてみる。
いずれもトラック密度は既に公称値(最大)にほぼ等しいので、逆にいえば、線記録密度はこれより低いことはあり得ないはず(低いと必要な容量を満たせなくなる)。したがって、これがほぼ下限となるが、それにしても低いのが分かる。シリーズを経るにつれて上がっているが、公称値の大体70%強である。
つまり、公称スペックに照らしてあり得る線記録密度の幅が、差し引き20%強もあることになる。実際の製品におけるバラツキはまた別とはいえ、これでは記録面ごとに、さらにはHDD個体ごとに相当の個体差があっても不思議ではない。
4.4. まとめ
(このエントリは一続きのエントリの4/5)
- プラッタ容量と速度の実際(スペック)
- プラッタ容量と速度の実際(ベンチマーク)
- プラッタ容量と速度の実際(評価)
- プラッタ容量と速度の実際(補足)
- プラッタ容量と速度の実際(トリビア)
4.1. 記録密度の手掛かり
ベンチマーク結果から、公称の線記録密度(最大)と実際の速度との関係に無視できないぐらい大きなバラツキがあることが分かる。
この公称スペックの「最大」というのがどれぐらいの範囲内での「最大」かということが問題であるが、それが直接分かる情報はない。ただ、Specificationには記録面のデータフォーマットの例があるので(実際のフォーマットは記録面ごとに違う)、記録面上のデータ領域の物理的サイズが分かれば、この例の場合の記録密度は計算できる。
4.2. 物理的サイズを見る
よって、気は進まないが(以下略)、5K320-80aの上蓋を開けてヘッドの動きを見ることにする。上蓋を開けたらいつ死んでもおかしくないので、予め先頭(外周)と末尾(内周)に100MBのパーティションを作成しておく。USBアダプタに取り付けてPCに接続し、上蓋のネジを外す。
上蓋を開けたところ。ヘッドがプラッタの下側に付いていたらどうしようかと思っていたが、上側に付いていてラッキー。
外周と内周のパーティションに対し、それぞれHD Tune ProのFile Benchmarkを実行中の状態を撮影。ヘッドは微細に動いているはずであるが、見た目には静止している。後から計算すると100MB分のトラックの幅は0.016mmなので、分からなくて当然。
内周の方はアームがもう少し内側に回りそうに見えるが、VCMの方にストッパー(青いプラスチック)があるので、物理的にほぼ限界。参考までに、5K320-250aのアームをストッパーに当たるまで回した状態が以下。
アームの動きの全体は、HD Tune ProのBenchmark(Read)を実行中の状態でこんなもの。
この後、HD Tune ProのRandom Accessを実行中にヘッドの動きがおかしくなり、後は下り坂を転げ落ちるように。上蓋を開けてから30分も経ってないが、目的は果たした。
資料を見ると、ヘッドは黒いスライダーの先端側の側面に貼り付けられた構造になっているらしい。よって、プラッタ側から見た状態(左)から、上から見たとき(右)のヘッドの位置は特定できる。
このヘッドの位置を画像から読み取り、プラッタ直径の65mm(2.5インチHDDの標準)を基準として計算すると以下のようになる。
プラッタ中心からの長さ(半径) | ||
---|---|---|
画像より(pixel) | 実サイズ換算(mm) | |
プラッタ外径 | 1018 | 32.5(基準) |
データ領域外径 | 960 | 30.6 |
データ領域内径 | 448 | 14.3 |
ヘッドの位置から見て、このHDDのデータ領域は外径も内径も物理的に可能なサイズ一杯を使っていると考えてよいと思うので、このサイズを以下の計算の前提とする。
[修正]
ヘッドの位置について、サスペンションの丸い窪みの位置と見なしていたものから修正した(より先端側になる)。これに伴って、以下の記述も修正した。
4.3. ざくざく計算
さて、5K320のSpecificationの4.3 Cylinder allocationに、160GBプラッタのデータフォーマットの例がある。この例では最外周にあるゾーン0のトラック当たりセクター数は1512なので、最外周のトラックの線記録密度は以下のように計算できる。
1512(トラック当たりセクター数)×512(byteへ換算)×8(bitへ換算)÷{30.6(トラック半径=データ領域外径半径)(注1)×2×π(トラック長へ換算)}×25.4(インチへ換算)÷1000(Kへ換算)(注2)≒816.9(KBPI)
(注1)実際はより細かい精度で計算しているので、完全には合わない。以下同じ。
(注2)公称スペックの中ではK=1000のようなので。
これは、ゾーン内では原理的に外周の方が線記録密度は低くなるが(セクター数が同じで、トラック長が長くなるので)、それでも公称の線記録密度(最大)の1154(KBPI)より随分と低い。
次に、トラック密度は、ゾーンごとに計算できる情報はないので、全体で計算すると、この例ではトラック数(=シリンダ数)は138306なので、以下のようになる。
138306(トラック数)÷{30.6(データ領域外径半径)-14.3(データ領域内径半径)}×25.4(インチへ換算)÷1000(Kへ換算)≒214.9(KTPI)
これは、公称のトラック密度(最大)の216(KTPI)ぎりぎりである。Specificationにある表には「160GB/p Mid BIP-Mid TPI format」という表記があるので、中間的なTPIの場合の例かと思っていたが、いきなりほぼ最大値というのは、よく分からない。
気を取り直して考えてみると、これは以下のことを示唆しているように思う。
- この例ではトラック密度は基本的に均一になる。仮に粗密があるとすると、密な部分のトラック密度がもっと高くなり、公称の上限を越えてしまうので。
- この例ではデータ領域に物理的に可能なサイズ一杯を使っている。仮に一部だけ使っているとすると、トラック密度がもっと高くなり、(以下同文)。
(注3)ゾーンごとのトラック当たりセクター数×トラック数=ゾーンごとの容量を元に、ゾーン間の境界の位置を容量ベースで求めた上で、それにゾーンごとの外径半径を割り当てた。
さらに、これから全ゾーンを通しての線記録密度(仮定)を計算し、同様に示すと(注4)、以下のようになる。
(注4)各ゾーンの最外周トラックの線記録密度(原理的にゾーン内で最低値となる)と最内周トラックの線記録密度(同じく最高値となる)を求め、前後するゾーン間で繋いだ。なお、HDDの最外周トラックと最内周トラックの線記録密度はトラック密度の仮定なしに計算できるので、その間が仮定によるものとなる。
トラック当たりセクター数は原理的に速度と正の相関関係にあるので、速度のグラフと同じ形になるが、速度が外周から内周にかけて下がっていく一方、線記録密度はほぼ横這いになっていることが分かる。
参考までに、ここまでの計算は以下のとおり。
Specification にある例 | Specification にある例より計算 | 物理的サイズを 加えた計算 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
ゾーン | トラック 当たり セクター数 | トラック 数 | 容量 (MB) | 最外周 トラック長 (mm) | 線記録密度 (KBPI) | ||
最外周 トラック | 最内周 トラック | 公称値と の比率 | |||||
0 | 1512 | 8188 | 6339 | 192.57 | 816.9 | 843.5 | 73.1% |
1 | 1476 | 3916 | 2959 | 186.49 | 823.4 | 836.5 | 72.5% |
2 | 1440 | 6942 | 5118 | 183.58 | 816.1 | 839.6 | 72.8% |
3 | 1404 | 7031 | 5054 | 178.43 | 818.7 | 843.3 | 73.1% |
4 | 1377 | 3827 | 2698 | 173.20 | 827.1 | 840.9 | 72.9% |
5 | 1350 | 5963 | 4122 | 170.36 | 824.4 | 846.4 | 73.3% |
6 | 1323 | 4806 | 3255 | 165.93 | 829.5 | 847.7 | 73.5% |
7 | 1269 | 9078 | 5898 | 162.37 | 813.1 | 848.4 | 73.5% |
8 | 1242 | 5874 | 3735 | 155.62 | 830.3 | 854.2 | 74.0% |
9 | 1224 | 3649 | 2287 | 151.26 | 841.9 | 857.2 | 74.3% |
10 | 1188 | 6853 | 4168 | 148.55 | 832.0 | 861.5 | 74.7% |
11 | 1134 | 6853 | 3979 | 143.46 | 822.4 | 852.6 | 73.9% |
12 | 1116 | 3738 | 2136 | 138.38 | 839.1 | 856.2 | 74.2% |
13 | 1080 | 8722 | 4823 | 135.60 | 828.6 | 870.2 | 75.4% |
14 | 1044 | 3471 | 1855 | 129.12 | 841.2 | 858.3 | 74.4% |
15 | 1026 | 3471 | 1823 | 126.55 | 843.5 | 861.1 | 74.6% |
16 | 999 | 4450 | 2276 | 123.97 | 838.4 | 861.4 | 74.6% |
17 | 972 | 6408 | 3189 | 120.66 | 838.1 | 872.5 | 75.6% |
18 | 918 | 7921 | 3723 | 115.90 | 824.0 | 868.1 | 75.2% |
19 | 891 | 4272 | 1949 | 110.02 | 842.5 | 867.5 | 75.2% |
20 | 864 | 6942 | 3071 | 106.85 | 841.3 | 883.9 | 76.6% |
21 | 810 | 5251 | 2178 | 101.70 | 828.7 | 861.7 | 74.7% |
22 | 756 | 8633 | 3342 | 97.80 | 804.3 | 860.7 | 74.6% |
23 | 729 | 2047 | 764 | 91.39 | 829.9 | 844.0 | 73.1% |
合計 | 138306 | 80742 |
さらに、物理的サイズは他のシリーズでもほとんど同じと考えてよいと思うので、その仮定の上で、5K160、5K250、5K500.Bについても同じ計算をしてみる。
シリーズ | 公称スペック (最大容量 モデル) | Specification にある例 | 物理的サイズを 加えた計算 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
線記録 密度 (最大) (KBPI) | トラック 密度 (最大) (KTPI) | トラック当たり セクター数 | トラック 数 | 線記録密度 (KBPI) (公称値との比率) | トラック密度 (KTPI) (公称値と の比率) | |||
ゾーン 0 | ゾーン 23 | 最外周 トラック | 最内周 トラック | |||||
5K160 | 902 | 146 | 1116 | 576 | 90576 | 602.9 (66.8%) | 666.8 (73.9%) | 140.7 (96.4%) |
5K250 | 1100 | 186 | 1368 | 704 | 116559 | 739.1 (67.2%) | 815.0 (74.1%) | 181.1 (97.4%) |
5K320 | 1154 | 216 | 1512 | 729 | 138306 | 816.9 (70.8%) | 844.0 (73.1%) | 214.9 (99.5%) |
5K500.B | 1356 | 270 | 1920 | 912 | 172675 | 1037.3 (76.5%) | 1055.8 (77.9%) | 268.3 (99.4%) |
いずれもトラック密度は既に公称値(最大)にほぼ等しいので、逆にいえば、線記録密度はこれより低いことはあり得ないはず(低いと必要な容量を満たせなくなる)。したがって、これがほぼ下限となるが、それにしても低いのが分かる。シリーズを経るにつれて上がっているが、公称値の大体70%強である。
つまり、公称スペックに照らしてあり得る線記録密度の幅が、差し引き20%強もあることになる。実際の製品におけるバラツキはまた別とはいえ、これでは記録面ごとに、さらにはHDD個体ごとに相当の個体差があっても不思議ではない。
4.4. まとめ
- HGSTに関しては、同じシリーズでも記録密度は公称スペックからして容量別モデルによって違う。したがって、例えば5K320を全て同じプラッタ容量=同じ記録密度=同じ速度というような意味で160GBプラッタと言うのは正しくない。速度が気になるなら、そのシリーズのSpecificationを確認した方がよい。
- さらに、線記録密度にはある程度の個体差がある。これは不良品の場合でも、CPUのオーバークロック耐性のような定格外の場合でもなく、普通の状態で存在する。したがって、実際のHDDの速度にも相当の個体差が普通にあり得る。同じシリーズで同じプラッタ容量でも、同じ速度とは全く限らない。
- HGST以外のHDDメーカーに関しては、記録密度はあるシリーズの面記録密度(最大)ぐらいしか情報がないので不明であるが、想像するに、横並びで競争している以上、同じようなことをしているのではないかと思う。コストに直結しそうであるし。
- あるHDDの容量と速度だけからプラッタ容量を推測するのは、ほとんど無理。速度から直接推測できるのは線記録密度までで、トラック密度によっても記録面の容量は変わるし、線記録密度はシリーズごとに画然と分かれるわけでもないし、記録面数(=ヘッド数)は外からは確認できないし、容量の構成は様々あり得るので。
2009/03/20
プラッタ容量と速度の実際(評価)
ベンチマーク結果について、その意味するところを評価してみる。勿論、正確なところはHDDメーカーの人しか分からないだろうから、そういう前提で。
(このエントリは一続きのエントリの3/5)
3.1. ベンチマーク自体について
基本的に、複数のベンチマーク結果が傾向として一致しているので、HDDの素の性能を反映していると考えてよいと思う。
2台の5K320-80について、HD Tune ProのBenchmark(Read)の結果を重ねると(5K320-80aのグラフから読み取った値を5K320-80bのグラフ上に作図)以下のようになる。
この2つの個体は製造時期も同じ、工場も同じ(Travelstarは全部タイ製だが)、ファームウェアも同じなので、記録面の個体差と考えてよいと思うが、結構な差が出ている。先頭で5MB/sの差があり、一貫して5K320-80bの方が高い。この差があって同じ容量ということは、5K320-80bの方が線記録密度が高くて、トラック数が少ないと考えるのが自然。
先のホワイトペーパーによれば、記録面ごとに線記録密度は違うので、それはすなわち記録面ごとにトラック数も違うということになるはず(トラック数が一定とすると、容量を調整できなくなる)。これを敷衍すると、複数の記録面を持つHDDでは記録面ごとにトラックの数/間隔/位置が違うことになり、全記録面に共通するシリンダという概念が成立しなくなるが、どうなのだろう。
3.3. 5K320-120と5K250-120について
公称スペックから予想されるとおり、ほとんど同じ。最大速度は5K250-120の方がわずかに高い(スペック上の線記録密度(最大)は5K250-120の方がわずかに高い)。


3.4. 5K320-250と5K250-250について
2つの5K320-250の差が激しい。5K320-250bは公称スペックから予想されるとおり、160GBプラッタ組を上回っている。線記録密度(最大)の差1207-1154=53(KBPI)にしては、差が付きすぎている感じもあるが。
一方の5K320-250aは、むしろ5K250-250にかなり近い。というか、最大速度では負けている。


もしやと思ったのは、公称スペックでは5K320-250は3ヘッドであること。これが4ヘッドになっていた場合、2プラッタ4ヘッドで250GBの容量となり、5K250-250と条件が同じになる。それに合わせた記録密度になっていれば、速度が近くても不思議ではない。
問題は、ヘッドはサスペンションやアームを含めても非常に軽いので(1g以下)、プラッタ(単体で5g程度)と違って重量から確認できないこと。完動している機械を壊すのはモノに対する態度として気が進まないが、他に方法がないので、5K320-250aの上蓋を開けてみることにした。
ネジ7本(T6×6、T5×1)を外して、上蓋を開ける。
さてヘッドはと見ると、
ビンゴ。ヘッドはしっかり4つある。さすがに、公称スペックと明らかに違うというのは新鮮。まあ、「仕様は予告なく変更することがあります」ということか。
Oct-08製造の5K320-250bは公称スペックどおりのようなので、あえて想像すれば、シリーズ最高の記録密度の記録面は歩留まりが低かったので、記録密度を下げたというのが直球だが、5K320-250aはFeb-09製造で、習熟度も上がりきった頃だろうし、より記録密度の高い5K500.Bの生産も始まっているしで、謎。
ちなみに、5K320-250aは上蓋を開けて写真をとった後、起動してみたら既に死んでいた。他にも試したいことがあったのに。
3.5. 5K250-80について
公称スペックから予想されるとおり、5K250の中では飛び抜けて遅い。
以前に5K160-80(1プラッタ2ヘッドで80GBの容量なので、5K250-80と同じ条件)をCrystalMark 2004で計測した記録があったので、ほぼ同じ条件(環境は一部ドライバを更新したのみ。設定はデフォルトで、5回連続して計測した値から最高と最低を除いた平均をとる)で計測したのが以下。

5K250-80は5K160-80と同じか、やや下回る。この2つは公称スペックでは線記録密度(最大)が902(KBPI)で同じなので、それが反映されたということか。
3.6. 5K320-80と5K320-160と5K320-320について
160GBプラッタ組について、個体差がありそうだが、5K320-80a以外は最大速度が比較的近い。なお、記録面数(=ヘッド数)と速度の間に有意な相関関係がある兆しはない。1ヘッドの5K320-80bが4ヘッドの5K320-320に最大速度で優るぐらいなので。
この容量の記録面では、後述のSpecificationの例によれば、最外周のゾーン0のトラック当たり容量は約738KBになる。CrystalDiskMarkのテストサイズを100MBとすると、100MBは約135のトラックに当たるので、この実行中は少なくともこのトラック間の移動が発生することになる。1ヘッドでは同じ記録面を移動するだけなのに対し、4ヘッドでは記録面間の移動も入るはずだが、違いは分からない。
現在のHDDでは記録面ごとにサーボ情報を見てトラッキングするようなので、記録面間の移動でも単にヘッドを電気的に切り替えるだけでなく、何某かのシーク動作も入るとすれば、同じ記録面での移動と変わらないのかもしれないと思う。
[追記]
HD Tune ProのRandom AccessにおけるIOPSとアクセスタイムを見ても、記録面の構成にかかわらずほとんど同じか、差があっても記録面数と有意な相関関係は見られない。すなわち、記録面数が多い方がシーク動作が少なくなってアクセスタイムが短くなるという現象は見られない。
3.7. 5K250-200について
5K250-200は5K250のSpecificationにないが、5K250の中での速度は思考実験で計算した記録密度から外れてないように思う。
3.8. 5K500.Bについて
5K500.B-500は5K500.B-250を最大速度で5MB/s上回るが、記録面の個体差か。
3.9. Travelstar全体について
記録密度と速度の関係について、内部転送速度は線記録密度の関数と見なし、線記録密度と直接ではなく、公称スペックの内部転送速度とベンチマークの実測値(CrystalDiskMarkのSeq. Read)を比較してみる。
5400.5-160と5400.5-320は、最大速度が大体同じで(5400.5-160の方が少し高い)、ある意味理想的なグラフになっている。
ちなみに、シリーズ最大容量が同じ5K320と比べて、シーケンシャル・アクセスでは速いが、ランダム・アクセスでは遅い。
3.11. 全体を通して
共通の傾向として、
(このエントリは一続きのエントリの3/5)
- プラッタ容量と速度の実際(スペック)
- プラッタ容量と速度の実際(ベンチマーク)
- プラッタ容量と速度の実際(評価)
- プラッタ容量と速度の実際(補足)
- プラッタ容量と速度の実際(トリビア)
3.1. ベンチマーク自体について
基本的に、複数のベンチマーク結果が傾向として一致しているので、HDDの素の性能を反映していると考えてよいと思う。
- パーティションがない状態でも傾向として一致しているので、ファイルシステム/クラスタサイズ/フラグメンテーションによる影響はない。
- 健康状態に問題のある個体はない。
- PC本体のインターフェイス/電源供給能力がネックになっている兆しはない。
2台の5K320-80について、HD Tune ProのBenchmark(Read)の結果を重ねると(5K320-80aのグラフから読み取った値を5K320-80bのグラフ上に作図)以下のようになる。
この2つの個体は製造時期も同じ、工場も同じ(Travelstarは全部タイ製だが)、ファームウェアも同じなので、記録面の個体差と考えてよいと思うが、結構な差が出ている。先頭で5MB/sの差があり、一貫して5K320-80bの方が高い。この差があって同じ容量ということは、5K320-80bの方が線記録密度が高くて、トラック数が少ないと考えるのが自然。
先のホワイトペーパーによれば、記録面ごとに線記録密度は違うので、それはすなわち記録面ごとにトラック数も違うということになるはず(トラック数が一定とすると、容量を調整できなくなる)。これを敷衍すると、複数の記録面を持つHDDでは記録面ごとにトラックの数/間隔/位置が違うことになり、全記録面に共通するシリンダという概念が成立しなくなるが、どうなのだろう。
3.3. 5K320-120と5K250-120について
公称スペックから予想されるとおり、ほとんど同じ。最大速度は5K250-120の方がわずかに高い(スペック上の線記録密度(最大)は5K250-120の方がわずかに高い)。


3.4. 5K320-250と5K250-250について
2つの5K320-250の差が激しい。5K320-250bは公称スペックから予想されるとおり、160GBプラッタ組を上回っている。線記録密度(最大)の差1207-1154=53(KBPI)にしては、差が付きすぎている感じもあるが。
一方の5K320-250aは、むしろ5K250-250にかなり近い。というか、最大速度では負けている。


もしやと思ったのは、公称スペックでは5K320-250は3ヘッドであること。これが4ヘッドになっていた場合、2プラッタ4ヘッドで250GBの容量となり、5K250-250と条件が同じになる。それに合わせた記録密度になっていれば、速度が近くても不思議ではない。
問題は、ヘッドはサスペンションやアームを含めても非常に軽いので(1g以下)、プラッタ(単体で5g程度)と違って重量から確認できないこと。完動している機械を壊すのはモノに対する態度として気が進まないが、他に方法がないので、5K320-250aの上蓋を開けてみることにした。
ネジ7本(T6×6、T5×1)を外して、上蓋を開ける。
さてヘッドはと見ると、
ビンゴ。ヘッドはしっかり4つある。さすがに、公称スペックと明らかに違うというのは新鮮。まあ、「仕様は予告なく変更することがあります」ということか。
Oct-08製造の5K320-250bは公称スペックどおりのようなので、あえて想像すれば、シリーズ最高の記録密度の記録面は歩留まりが低かったので、記録密度を下げたというのが直球だが、5K320-250aはFeb-09製造で、習熟度も上がりきった頃だろうし、より記録密度の高い5K500.Bの生産も始まっているしで、謎。
ちなみに、5K320-250aは上蓋を開けて写真をとった後、起動してみたら既に死んでいた。他にも試したいことがあったのに。
3.5. 5K250-80について
公称スペックから予想されるとおり、5K250の中では飛び抜けて遅い。
以前に5K160-80(1プラッタ2ヘッドで80GBの容量なので、5K250-80と同じ条件)をCrystalMark 2004で計測した記録があったので、ほぼ同じ条件(環境は一部ドライバを更新したのみ。設定はデフォルトで、5回連続して計測した値から最高と最低を除いた平均をとる)で計測したのが以下。

5K250-80は5K160-80と同じか、やや下回る。この2つは公称スペックでは線記録密度(最大)が902(KBPI)で同じなので、それが反映されたということか。
3.6. 5K320-80と5K320-160と5K320-320について
160GBプラッタ組について、個体差がありそうだが、5K320-80a以外は最大速度が比較的近い。なお、記録面数(=ヘッド数)と速度の間に有意な相関関係がある兆しはない。1ヘッドの5K320-80bが4ヘッドの5K320-320に最大速度で優るぐらいなので。
この容量の記録面では、後述のSpecificationの例によれば、最外周のゾーン0のトラック当たり容量は約738KBになる。CrystalDiskMarkのテストサイズを100MBとすると、100MBは約135のトラックに当たるので、この実行中は少なくともこのトラック間の移動が発生することになる。1ヘッドでは同じ記録面を移動するだけなのに対し、4ヘッドでは記録面間の移動も入るはずだが、違いは分からない。
現在のHDDでは記録面ごとにサーボ情報を見てトラッキングするようなので、記録面間の移動でも単にヘッドを電気的に切り替えるだけでなく、何某かのシーク動作も入るとすれば、同じ記録面での移動と変わらないのかもしれないと思う。
[追記]
HD Tune ProのRandom AccessにおけるIOPSとアクセスタイムを見ても、記録面の構成にかかわらずほとんど同じか、差があっても記録面数と有意な相関関係は見られない。すなわち、記録面数が多い方がシーク動作が少なくなってアクセスタイムが短くなるという現象は見られない。
3.7. 5K250-200について
5K250-200は5K250のSpecificationにないが、5K250の中での速度は思考実験で計算した記録密度から外れてないように思う。
3.8. 5K500.Bについて
5K500.B-500は5K500.B-250を最大速度で5MB/s上回るが、記録面の個体差か。
3.9. Travelstar全体について
記録密度と速度の関係について、内部転送速度は線記録密度の関数と見なし、線記録密度と直接ではなく、公称スペックの内部転送速度とベンチマークの実測値(CrystalDiskMarkのSeq. Read)を比較してみる。
- まず内部転送速度の単位をMiBに変換する。すなわち、内部転送速度(Mbps)÷8(byteへ換算)×{1000^2/1024^2(MBからMiBへ換算。公称スペックの中ではK=1000なので)}。
- この内部転送速度(MiB)でベンチマークの実測値を割ると、比率が出る。
- さらに、中間辺りの5K320-320の比率を基準として、他も同じ比率と仮定してモデルごとの内部転送速度に掛けると、仮定値が出る。
- 実測値と仮定値との差から、速度のバラツキが出る。
略称 (便宜的に) | 公称 スペック | 公称 スペック より計算 | ベンチマーク 結果 | 公称スペックと ベンチマーク結果 より計算 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
内部転送 速度 Data transfer rates (buffer to/from media) (Mbps) | 内部転送 速度 (MiB/s) | CrystalDisk Markによる Seq. Readの 実測値 (MiB/s) | 内部転送 速度と 実測値の 比率 | 5K320 -320の 比率を 基準とした 仮定値 (MiB/s) | 実測値と 仮定値と の差 (MiB/s) | |
Travelstar 5K250 | ||||||
5K250-80 | 530 | 63.18 | 46.04 | 0.73 | 44.55 | 1.48 |
5K250-120 | 643 | 76.65 | 54.55 | 0.71 | 54.05 | 0.50 |
5K250-160 | 619 | 73.79 | 48.68 | 0.66 | 52.03 | -3.36 |
5K250-200 | - | - | 50.20 | - | - | - |
5K250-250 | 665 | 79.27 | 59.73 | 0.75 | 55.90 | 3.83 |
Travelstar 5K320 | ||||||
5K320-80a | 729 | 86.90 | 57.83 | 0.67 | 61.28 | -3.45 |
5K320-80b | 729 | 86.90 | 63.34 | 0.73 | 61.28 | 2.05 |
5K320-120 | 674 | 80.35 | 53.62 | 0.67 | 56.66 | -3.03 |
5K320-160 | 729 | 86.90 | 64.90 | 0.75 | 61.28 | 3.62 |
5K320-250a | 775 | 92.39 | 55.51 | 0.60 | 65.15 | -9.63 |
5K320-250b | 775 | 92.39 | 68.39 | 0.74 | 65.15 | 3.24 |
5K320-320 | 729 | 86.90 | 61.28 | 0.71 | 61.28 | 0.00 |
Travelstar 5K500.B | ||||||
5K500.B-250 | 875 | 104.31 | 84.31 | 0.81 | 73.55 | 10.76 |
5K500.B-500 | 875 | 104.31 | 89.61 | 0.86 | 73.55 | 16.06 |
- 内部転送速度と実測値の比率は、5K250と5K320は大まかに0.7前後(5K320-250aは公称スペックと実物が違うので除外)、5K500.Bは0.8台。
- 5K250と5K320の実測値と仮定値のバラツキは上下に3MB/s台(5K320-250aは同じく除外)。個体差と考えればこんなものかもしれない。
- 5K500.Bで比率が上がっているのは、プラッタとの内部転送から先の性能も上がっているのだろうと思う。
5400.5-160と5400.5-320は、最大速度が大体同じで(5400.5-160の方が少し高い)、ある意味理想的なグラフになっている。
ちなみに、シリーズ最大容量が同じ5K320と比べて、シーケンシャル・アクセスでは速いが、ランダム・アクセスでは遅い。
3.11. 全体を通して
共通の傾向として、
- グラフは概ね上に膨らんだ弧を描く(縦軸に速度、横軸に容量ベースの位置をとった場合)。これは縦軸方向の速度はトラック当たりセクター数と正の相関関係にあるので直線的に下がるのに対し、横軸方向は容量ベースであるが故に(HDDの外からはそれしか観測のしようがない)伸びが指数的に減っていくから。円弧と円面積の関係。
- 同じシリーズでは先頭の最大速度での差に比べ、末尾の最低速度では差がかなり縮まる。これは個別に見れば最低速度は最高速度の50%前後で大体揃っているので、変ではない。
プラッタ容量と速度の実際(ベンチマーク)
実際に試したHDDとベンチマーク結果はこんなもの。
(このエントリは一続きのエントリの2/5)
2.1. ベンチマーク対象
ベンチマークを行ったのは最終的に以下の16台。
5K250と5K320の外観。下段が5K250で上段が5K320。ほとんど同じだが、裏面のPCBはレジストのバリエーションが意外にあるので、緑系のグラデーションができそう。
5K500.Bと5400.5の外観。基本的な配置は同じだが、ラベルの向きが上下逆になっている。裏面は意外に違いが多い。例えば、スピンドルモータへの配線が5K500.Bは4本であるが、5400.5は3本である。
なお、この中で5K320-160と5K320-320、5400.5-320は使用歴があるが、他はほとんど新品。
2.2. ベンチマーク方法
ベンチマーク方法は以下のとおり。こんなことは二度とやらないだろうからなるべくやってみたが、正直骨が折れた。
2.3. Travelstar 5K320と5K250
先頭300MBと末尾300MBに対するCrystalDiskMarkの結果。


先頭300MBに対するSandra LiteのFile SystemsのBenckmarkの結果。

HD Tune ProとCrystalDiskInfoの結果。
これだけでは比較しにくいので、HD Tune ProのBenchmark(Read)のグラフを5%ごとに読み取って作図した(HD Tuneは値によって自動的にスケールが変わるので、グラフを直接重ねられない)。バラツキが大きいので直接結ぶことはせず、近似曲線を引いた。


Sandra LiteのPhysical DisksのBenchmark(Read)の結果。こちらも近似曲線で示した。


2.4. Travelstar 5K500.B
先頭300MBと末尾300MBに対するCrystalDiskMarkの結果。


先頭300MBに対するSandra LiteのFile SystemsのBenckmarkの結果。

HD Tune ProとCrystalDiskInfoの結果。
同じく、HD Tune ProのBenchmark(Read)のグラフから作図。

同じく、Sandra LiteのPhysical DisksのBenchmark(Read)の結果。

2.5. Momentus 5400.5
先頭300MBと末尾300MBに対するCrystalDiskMarkの結果。


先頭300MBに対するSandra LiteのFile SystemsのBenckmarkの結果。

HD Tune ProとCrystalDiskInfoの結果。
同じく、HD Tune ProのBenchmark(Read)のグラフから作図。

同じく、Sandra LiteのPhysical DisksのBenchmark(Read)の結果。

結果は以上のとおりで、数字が全てを物語っているが、一応次に評価を。
(このエントリは一続きのエントリの2/5)
- プラッタ容量と速度の実際(スペック)
- プラッタ容量と速度の実際(ベンチマーク)
- プラッタ容量と速度の実際(評価)
- プラッタ容量と速度の実際(補足)
- プラッタ容量と速度の実際(トリビア)
2.1. ベンチマーク対象
ベンチマークを行ったのは最終的に以下の16台。
略称 (便宜的に) | 容量 (GB) | 型番 | プラッタ 数 | ヘッド 数 | 製造 年月 (注1) | ファーム ウェア | 重量 (g) (注2) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Travelstar 5K250 | |||||||
5K250-80 | 80 | HTS542580K9SA00 | 1 | 2 | May-08 | BBBOC31P | 89 |
5K250-120 | 120 | HTS542512K9SA00 | 1 | 2 | Nov-07 | BB2OC31P | 91 |
5K250-160 | 160 | HTS542516K9SA00 | 2 | 3 | May-08 | BBCOC31P | 99 |
5K250-200 | 200 | HTS542520K9SA00 | 2 | 4 | Oct-07 | BBDOC31P | 99 |
5K250-250 | 250 | HTS542525K9SA00 | 2 | 4 | Jun-08 | BBFOC31P | 99 |
Travelstar 5K320 | |||||||
5K320-80a | 80 | HTS543280L9A300 | 1 | 1 | Sep-08 | FB1OC40C | 87 |
5K320-80b | Sep-08 | FB1OC40C | 87 | ||||
5K320-120 | 120 | HTS543212L9A300 | 1 | 2 | Oct-08 | FBBOC40C | 87 |
5K320-160 | 160 | HTS543216L9A300 | 1 | 2 | Apr-08 | FB2OC40C | 87 |
5K320-250a | 250 | HTS543225L9A300 | 2 | 3 | Feb-09 | FBEOC40C | 96 |
5K320-250b | Oct-08 | FBEOC40C | 97 | ||||
5K320-320 | 320 | HTS543232L9A300 | 2 | 4 | Aug-08 | FB4OC40C | 97 |
Travelstar 5K500.B | |||||||
5K500.B-250 | 250 | HTS545025B9A300 | 1 | 2 | Feb-09 | PB2OC60G | 89 |
5K500.B-500 | 500 | HTS545050B9A300 | 2 | 4 | Feb-09 | PB4OC60F | 99 |
Momentus 5400.5 | |||||||
5400.5-160 | 160 | ST9160310AS | 1 | 2 | 2008/11 | SD03 | 89 |
5400.5-320 | 320 | ST9320320AS | 2 | 4 | 2008/06 | 0303 | 98 |
(注1)5400.5の場合は保証期間(工場出荷から5年間)から逆算したもの。
(注2)キッチンスケールによる実測値。
- 主な対象は5K320と5K250で、この2つのシリーズは容量が近く(容量別では4つまで共通)、その他のスペックはキャッシュ容量(8MB)を含めて大体同じなので、プラッタによる違いを観察できると期待。
- 5K320-80と5K320-250が2台あるのは、最初に入手した個体の結果が腑に落ちなかったので、追加したもの。
- 5K500.Bと5400.5は同じプラッタ容量の1プラッタと2プラッタの増量分。
5K250と5K320の外観。下段が5K250で上段が5K320。ほとんど同じだが、裏面のPCBはレジストのバリエーションが意外にあるので、緑系のグラデーションができそう。
5K500.Bと5400.5の外観。基本的な配置は同じだが、ラベルの向きが上下逆になっている。裏面は意外に違いが多い。例えば、スピンドルモータへの配線が5K500.Bは4本であるが、5400.5は3本である。
なお、この中で5K320-160と5K320-320、5400.5-320は使用歴があるが、他はほとんど新品。
2.2. ベンチマーク方法
ベンチマーク方法は以下のとおり。こんなことは二度とやらないだろうからなるべくやってみたが、正直骨が折れた。
- 全体を通しての速度計測のため、パーティションなしの状態で、HD Tune Pro 3.50のBenchmarkのRead/Write、Random AccessのRead/Writeの4セットを実行。設定は「Test speed/accuracy」をAccurate側一杯にした以外はデフォルト。
- 同じく、パーティションなしの状態で、Sandra Lite 2009.SP2 [2009.1.15.72]のPhysical DisksのBenchmarkのReadを実行。
- 先頭及び末尾の速度計測のため、先頭と末尾に300MBのパーティション(NTFS、クラスタサイズ4KB)を作成し、CrystalDiskMark 2.2を実行(テストサイズを100MB、試行回数を5とし、3回連続で計測した値の平均をとる)。
- 先頭の速度確認のため、先頭300MBのパーティションに対し、HD Tune ProのFile Benchmarkを実行。
- 同じく、先頭300MBのパーティションに対し、Sandra Lite 2009.SP2のFile SystemsのBenchmarkを実行。
- 健康状態に問題がないことの確認のため、CrystalDiskInfo 2.5を実行。
- 対象のHDDをThinkPad X60sの本体コネクタに接続し、ウルトラベースX6から起動したSSDからベンチマークを実行。OSはWindows XP SP2、ドライバ等は大体2009年2月時点のもの。
- キャッシュを含めて実際の使用場面と同じ状態で計測するポリシーなので、キャッシュを切るような特別なことはしない(「ディスクの書き込みキャッシュを有効にする」にチェックした状態)。
- TravelstarはAAMを無効にした状態とする。
2.3. Travelstar 5K320と5K250
先頭300MBと末尾300MBに対するCrystalDiskMarkの結果。


先頭300MBに対するSandra LiteのFile SystemsのBenckmarkの結果。

HD Tune ProとCrystalDiskInfoの結果。
これだけでは比較しにくいので、HD Tune ProのBenchmark(Read)のグラフを5%ごとに読み取って作図した(HD Tuneは値によって自動的にスケールが変わるので、グラフを直接重ねられない)。バラツキが大きいので直接結ぶことはせず、近似曲線を引いた。


Sandra LiteのPhysical DisksのBenchmark(Read)の結果。こちらも近似曲線で示した。


2.4. Travelstar 5K500.B
先頭300MBと末尾300MBに対するCrystalDiskMarkの結果。


先頭300MBに対するSandra LiteのFile SystemsのBenckmarkの結果。

HD Tune ProとCrystalDiskInfoの結果。
同じく、HD Tune ProのBenchmark(Read)のグラフから作図。

同じく、Sandra LiteのPhysical DisksのBenchmark(Read)の結果。

2.5. Momentus 5400.5
先頭300MBと末尾300MBに対するCrystalDiskMarkの結果。


先頭300MBに対するSandra LiteのFile SystemsのBenckmarkの結果。

HD Tune ProとCrystalDiskInfoの結果。
同じく、HD Tune ProのBenchmark(Read)のグラフから作図。

同じく、Sandra LiteのPhysical DisksのBenchmark(Read)の結果。

結果は以上のとおりで、数字が全てを物語っているが、一応次に評価を。
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